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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、新しい相棒を渡される〜異世界生活八十七日目②〜

 ゴルゾフさんに連れられて……と言うか担がれて彼の工房へ向かう事になったのですが―――


「いい加減降ろしてもらえませんか?」

「あぁ゙!?そうだったな、ほら、降りて自分で歩け」

「言われなくても歩きますよ」


 勝手に担いで連れてきたのに結構な言い分だな、この人。

 担がれてる間周りの視線が痛かった事ら忘れませんからね?


「それよりも早くないですか?出来るの。もっと掛かると思っていましたが…………」

「あぁ゙!?久々に刀なんて打つもんだからつい気合が入っちまってな!ひたすら打ってたらあっと言う間に出来た」


 あ、この人も没頭すると寝食を蔑ろにするオタクタイプですね。

 そういう人って早死にするんだけど……ドワーフの寿命で早死って言われてもどれくらい生きているんだろう?


 なんてくだらない事を考えている内にゴルゾフさんの工房へ到着しました。


「おめぇは裏に回っとけ。弟子達がいるから直ぐ分かる」

「え?ゴルゾフさんは?」

「儂は打った刀を持ってくるに決まってんだろ」


 一緒に行けば良いのでは?とも思いましたが、工房内には素人が入ってはいけない決まりでもあるんでしょう、素直にそれに従い裏に回ります。

 丁度入り口の真裏辺りに到着すると、ドワーフの人達が何やら大きな岩を並べていました。


「あの〜……ゴルゾフさんに言われて此方に来たゴーシィですが……」

「あ、ゴーシィの兄貴っすね。師匠が直ぐに来ると思うんで少し待っといてくだせぇ」


 一番近くにいた一人のドワーフがそう答えてくれました。

 何か話し方が如何にも丁稚みたいで少し面白いですね。


「あ、師匠!指示通り、()()()()()()()を固めたやつを並べやした!」

「あぁ゙!?ありがとよ。ほら、ゴーシィ。要望の品だ、違和感が無いか確認しろ」

「ありがとうございます。では、失礼して…………」


 渡されたのは刀身の長さが三寸(約90cm)の刀。

 所謂野太刀と呼ばれる刀であり、僕が使用するには刃渡りが長過ぎますがここは異世界、対人だけでは無く対魔物や獣相手にも振るうと考えた時に間合いの遠い武器が必要だと考えました。


 長さ的に腰に提げるのは憧れますが、現実的で無いので却下。

 一緒にお願いしていた特製の剣帯を使用して右肩から斜め掛けで背負う形にしました。

 流石にこの長さで居合とか不可能ですしね。


 軽く動いてみましたが、この状態での重さや重心のバランス、動きも問題無さそうですね。


 更にそこからゆっくりと抜刀、様々な構えを取り、素振りをしてみるとこの刀の異常さに気が付きます。


「これ…………見た目と重さが釣り合って無いですよね?」

「あぁ゙!?ミスリルだからな。ミスリルってのは不純物が無くなれば無くなる程軽くなるんだよ。だから、同じ長さの鉄製と比べると二・三割は軽い。だが、強度は二倍どころの話じゃねぇぞ」

「何ですか、そのご都合主義全開なファンタジー金属は…………」

「ふぁんたじー?何だそりゃ?」

「いえ、こっちの話です」


 ご都合主義とは言え、助かるものは助かりますね。

 このサイズの刀だと薙ぐだけで精一杯かも……と心配していましたが普通に振るう事も可能、つまり刃渡りの長い刀として扱えます。


 いや、金属の特性云々もですが、ゴルゾフさんの拵えも異常なんですけどね?

 完全に僕が扱う前提で、僕の好みにピッタリとハマる造り。

 馴染むどころか、月並みな表現ですが身体の一部と言える程簡単に扱えるのは寧ろ恐ろしい。


「大体分かっただろ?じゃあ斬ってみろ」

「……はい?」

「そこに試し斬りの()があるだろ?斬れ」

「的と言うか岩なんですが……。しかもさっきミスリルの原石って…………」

「あぁ゙!?ミスリルで造った刀だぞ?そこら辺の丸太や巻藁なんてミスリル武器を使えば初めて剣を持った子どもでも斬れる。おめぇが試すなら同じミスリルが斬れて初めて役に立つだろうが」


 いやいやいやいや。

 初めて剣を持った子どもが斬れるとかおかしいですからね?


 それにしても同じミスリルを斬る…………か。

 原石って言ったからには純度が低い……って言ってもフィズさんが国宝級とか言ってる純度だった筈…………。

 刃毀れさせたらどうしよう…………。


 でも、不安…………だけじゃないですね、楽しみになってきました。


「では…………いきます」


 刀を上段に構えて静止、息を整えて振り下ろしました。




「…………これは酷い」




 僕が振り下ろした刀は原石に触れた感触を一切伝える事無く、何も無い様に原石を通過して、地面に迄切れ込みを入れてしまいました。


 何、このチート武器…………。


「な、言っただろ?こいつならこれくらい簡単にやるってよ!賭けは儂の勝ちだ!おめぇ等の持っている一番上等な酒待ってこいよ!」


 豪快に笑いながら、ゴルゾフさんがお弟子さん達にそう伝えると周りが落胆の声を上げています。

 いや、人を賭けに使わないで下さいよ……。


「と言うか、賭けに使うって事は普通これ、斬れないんですか?」

「斬れない……訳じゃねぇぞ。ただ、純度が違うと言えミスリル同士だ、途中で止まったり、刃毀れ程度はするな」

「じゃあなんでこうなってるんですか?」

「あぁ゙!?淀み無い立ち姿と構え、無駄な力が一切入ってない振り、刃をしっかりと立てるその技術。その全てを実現出来た、ただのおめぇの実力だよ」

「僕の……実力……?」

「他の武器は知らねぇが、そこそこ長く生きてきた儂でもおめぇより刀の扱いが上手いもんは見た事ねぇ。誇れよ」

「…………はい」


 ヒト族……僕達とは違う時間軸で生き、異世界人を含めて色んな人間を見てきたゴルゾフさんからのお墨付き。

 嬉しくない訳が無い。






 こうして、僕は新たな相棒と少しの自信を手に入れる事が出来ました。

 野太刀、又は大太刀と呼ばれる刃渡りが長い刀ってロマンがありますよね。


 因みに刃渡りだけで主人公の半分以上あります。


 「それで抜けるのか?」と疑問もあるかもしれませんが、そこは触れないでいただけると助かります。

 一応、刀を抜く際刀と同時に鞘を逆方向に引く事で、抜刀する方法で。と考えていますが、実際刀を扱った事が無いので出来ないかもしれませんが、そこはファンタジーと主人公の謎技術って事で勘弁して下さい。

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