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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、本物の魔法を目にする〜異世界生活八十六日目②〜

 今回のタイトルは

【剛士、初の魔法を目にする〜異世界生活九日目③〜】

のセルフオマージュになります。

 ちょっと前に魔法と魔術の違いの説明をしたので(タイトルは全然違うタイトルですが)、今回は本物と題しました。

 相手のエルフが勝てば僕とフィズさんは村を出ていく事に。

 僕が勝てば野菜を手に入れられる(此方からも何か渡すのが条件ですが)事に。


 そんな一切釣り合いの取れていない決闘が始まろうとする最中、見届け人?審判?を買って出てくれたエルクリアさんは、一瞬僕を見た後に地面に手を翳しました。


 すると、瞬く間に地面から木が伸びてきたかと思えば、翳していた手を振ると枝葉が落ち、一本の木剣の様な形に。

 それを手に取ってこちらに投げ渡してきました。


「ゴーシィはそれを使ってちょうだい。いくら決闘とは言え、同族が死ぬのは見てられないわ」


 命を奪うつもりの無い僕は、元々腰に提げた(ゴルゾフさん曰く間に合わせの)剣を使わず、徒手空拳でやる予定でしたが、これを使って良いなら断然やり易いので、有り難く受け取りました。


 受け取った木剣を二・三度軽く振ってみると、材質が木の割には結構重さがありますが、寧ろ軽過ぎる方が使い難いので、丁度良さそうです。

 触った感じもかなり硬い感じですし、多少強めに振っても折れたりはしないでしょう。


 お互いの準備が整ったところで、エルクリアさんがこの決闘の条件を改めて、皆に聞こえる様に宣言し、開始の合図を宣言しました。


「これより、エルフ族トワールと異世界人ゴーシィの決闘を行う。どちらかが戦闘不能、もしくは負けを認めた場合その瞬間勝敗を決する。尚、互いに極力避けてもらいたいが、これは命を賭けた決闘。命を落とした場合も同様に負けとする。では…………始めっ!」


 野菜を手に入れる為の決闘が今、始まりました。

 いや、字面が締まらないな、野菜を賭けた決闘って…………。




 僕の心情とは裏腹に、決闘は始まりました。


 互いに距離がある状況、相手がどう動くかを見極める為に膠着状態。


 トワールと呼ばれた男性エルフは武器も何も持っていないので、無手での戦闘…………いや、多分それは無いでしょう。


 そうなると手段は一つ、魔法。


 この世界の魔法がどの様なものか分かりませんが、これはアニメや漫画の知識ですがどちらかと言えば中〜遠距離が得意だと推測されます。

 そうなると、木剣で戦う僕にとっては不利も不利。

 銃持ち相手にわざわざ遠い間合いで立ち会っているようなものですから。


 そうなると接近するしかありませんが、そこでも懸念が。


 魔法の発動速度です。

 銃で例えるとリロードから照準・発砲迄がどれ程短いのか見当が付きません。

 また、その狙いの正確さも不明なので、避けきれるかも定かではありません。

 多少被弾を覚悟する必要がありそうですね。


 やる事は決まりました。


 問題は相手がリロード(詠唱)してから発砲(魔法の発動)迄に距離を詰められるか否かのみ。

 ただ、それはやってみないと分かりません。


 僕は木剣の切っ先を相手に向け柄を顔の右側面に構えた、所謂霞の構えを取り、左脚を前に出し、重心を落としました。

 一度目を閉じて深く深呼吸をし、ゆっくり目を開きます。


 ここ迄ゆっくりと構えて相手が何もしてこないのを見るに、多分僕が動き出した後に後の先を取るつもりでしょう。

 だったら僕は先の先、もしくは後の先の先を取るしかありません。


 脚に力を溜め、右脚で地面を踏み抜く勢いで加速し、一直線に相手へと迫ります。


「〈大地よ、我に力を〉」


 僕が一歩踏み出し、二歩目を踏み込もうとした刹那。

 トワールが呪文の様なものを唱えると、彼の周りの地面に落ちていた幾つかの石が浮遊し始めました。


「〈敵を穿て〉」


 更にもう一節唱えると、浮遊していた石が弾丸の様に僕へと弾き出されます。


 落ちている石が浮遊し、相手の意のままに此方に飛んでくる、正に魔法。

 本物の魔法を間近で見た僕は若干の感動を覚えました。


 しかし、その感動に浸っている場合ではありません。



 その礫は正確無比。

 確実に僕に当たる場所に飛んできています。

 全て躱す事は無理だと判断し、致命傷になりそうな礫は木剣で叩き落とし、当たれば速度が鈍る下半身への攻撃だけを避けてそのまま突き進みます。


「くっ……。痛いでしょうがっ!」


 顎を守っている左肩と脇腹を守る左肘に石礫は当たりましたが気合で堪えます。

 吠えたのは大目に見て下さい、痛いもんは痛いんですよ。


 勢い殺さず、そのまま最短距離で眼前へと迫り、突きを繰り出す…………と思っていましたが、いくら木剣とは言え、この勢いで突けば命を奪う可能性があると思い、無理矢理軌道を変え、逆袈裟気味に相手の脇腹に木剣を叩き付け、そのまま振り抜きました。


「はぐうっ……!」


 相手は体をくの字に曲げ、エルフ族は体重が軽いのか、木剣の進行方向に従う様に脚を地面から離し、三メートル程ふっ飛ばされて、まともに受け身も取らずそのまま地面に倒れ込みました。


 相手の実力が分からない以上、殺さない様気を遣ったとは言え全力で脇腹に打ち込んだ逆袈裟。

 流石に直ぐに持ち直す事は無い…………と信じたいですが…………。


 残心をとりつつ、相手の動きを注視しますが、立ち上がるどころか動く気配はありません。

 視線をエルクリアさんに移すと、溜息を吐きつつエルクリアさんが高らかに宣言しました。


「勝負有り!トワールの戦闘不能により、勝負……ゴーシィ!!」

「ゴーシィ様!流石ですっ!」


 僕の勝利宣言の声と僕の勝利を喜ぶフィズさんの声以外の声は一切上がらないまま、僕とトワールさんの決闘は幕を閉じました。






 これ、逆にヘイトを集めてしまっただけでは?

 実は主人公、トワールが使うよりも前に本物の魔法を見ています。

 そう、皆さんもご存知の通り、フラウにトドメを刺そうとした主人公をエルクリアが止めた時とこの話の冒頭、同じくエルクリアが地面から木を生やし、木剣を創造した時です。

 

しかし、目の前で超常現象が起きたにも関わらず、それがあまりに一瞬且つ自然に起こり過ぎた為、「魔法を使った」と認識していませんでした。


 主人公的には今回初めて石の礫による攻撃を「魔法を使った」と認識したので、初めてと題名に付けました。

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