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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、野菜を欲する〜異世界生活八十六日目〜

 昨日、確かに稲を見付けて刈り取り、スライムに手伝ってもらって家迄運んできました。

 そこから乾燥や脱穀・籾摺り〜精米(一部省略)を経て食べられる迄に時間が掛かるのは昨日話した通りでした。


「おはようございます、ゴーシィ様。はい、こちらをどうぞ」


 僕の前に出されたのは貰った肉と…………白米。


 何故昨日の今日で食卓に並んでいるのか、その理由は昨日に遡ります。

 ただ、行程とか理由とかは僕は説明出来ません。


 何故かって?


 だって、スライムが一度体の中に入れて運んでくれた稲が出す時には丁寧に精米迄されて出てきたんですから。


 乾燥?脱穀?何それ?状態ですよ。


 無理矢理に解釈するなら、血液を食料にするブラッドスライムみたいに体内で稲の水分を吸収し、籾殻やぬか・胚芽のみを取り除いた状態で出した。としか説明出来ません。


 ファンタジー要素がまさかお米の精米にも及ぶなんて吃驚です。


 因みにスライムさんは米を出した後、そのまま何処かへ行ってしまいました。

 また会った時にちゃんとお礼を伝えなければ。


 と、色々言いましたが、有り難い事に変わりは無いので遠慮無くいただきます。


「あぁ〜……美味しい。もしかしたらインディカ米の可能性もありましたが、ちゃんとジャポニカ米ですねぇ……」

「インディカ?ジャポニカ?何ですか、それは?」

「お米の種類の話ですよ。簡単に言えばインディカ米は細長くて粘りが少なくてパラパラ、ジャポニカ米はずんぐりしていて粘り気があるんです」

「じゃあこのお米はゴーシィ様って事ですね!」


 待て待て。

 ジャポニカ米=僕って体型の話ですか?

 それとも粘り気があるって精神面の話ですか?

 満面の笑みで褒め言葉として言ったつもりかもしれませんがそれ、中々に心抉られる言葉なの分かってます?

 いや、悪気が一切無さそうですから分かってないですよね。

 まぁ、何か嬉しそうなので何も言いませんよ、もとい何も言えませんよ、僕は。


 そんなこんなで朝食を満喫した僕達は片付けをした後、村に繰り出す事にしました。


 とは言っても、今日は特に目的がある訳ではありません。

 食料はとりあえず確保出来たので、何かお手伝い出来る事があればとぼんやり考えていただけでした。






 その筈だったのに―――






「何故こんな状況に…………?」


 エルフ族の居住区の一角、広場の様にになっている場所で、僕は男性のエルフと少し距離を取って向かい合っていました。

 周りには「何だ何だ」と集まってきたギャラリー達と心配そうにこちらを見ているフィズさん。




 …………よく見るとエルクリアさん達もいるじゃないですか。




 きっかけは単純。

 目の前にいるエルフの男性が、


「村の中をヒト族が歩き回っているのが不快だ!出ていけ!」


と、イチャモンを付けてきた上に、


「俺と決闘して負けたら村から出ていけ!」


的な話になり、なし崩し的にこんな展開に……。


 どうやら、長の人達は止める気が無い様子。

 むしろ、この機会に力関係をハッキリさせた方が良いと乗り気みたいですね。


「はぁ……仕方無いですね……。あんまり暴力で云々は好きじゃないんですが…………」

「ぶつぶつ何を言っている!?良いか!もしお貴様が負けたらその女を連れて村から出ていけ!命までは取らないでいてやる!」


 まぁ、僕が負けたら出ていくのは(良くはないけど)良しとしましょう、自分が負けた場合の事を考えてはいないんですかね?


 そんな事を考えていたら人混みをかき分けてエルクリアさんが前に出てきました。


「話は聞いたわ。正式な決闘であれば、私が見届けましょう。貴方が勝ったらゴーシィとフィズが村を出る、それで良いわね?」

「は、はい!エルクリア様!」

「じゃあもし、貴方が負けたら?」

「は?」

「勝負は勝ち負けの二択でしょう?勝った時の条件は提示するのに負けた時の条件は提示しないのかしら?」

「え、エルクリア様は俺がこいつ負けるとお思いなのですか!?」

「もしも。の話よ。ゴーシィ、貴方が彼に望む事はあるかしら?」


 そのタイミングデ僕に振ってこないでくださいよ、エルクリアさん……。

 相手が凄い顔して睨みつけてきてるじゃないですか。


 僕は溜息を吐きたい気持ちを抑えて、条件を提示します。


「それでしたら、一つお願いがあります」

「言いなさい。エルクリアの名の下、貴方が勝てばどんな願いであろうとそれを守らせると約束するわ」

「いや、そんな大げさな事しなくて良いですよ。僕がお願いしたいのは、野菜を少し分けてもらえませんか?出来れば葉物だと嬉しいです。あ、勿論此方からも何かしらお渡ししますし、無ければ何かお手伝いするので」

「…………それだけ?」

「はい、昨日野菜を分けてもらえなくて困ってたんですよ」

「…………だ、そうだがどうかしら?」


 エルクリアさんは僕の条件を呑むか相手のエルフに問うが、相手は間抜けな顔をしてこちらを見ていました。


「き、貴様……本当にそれだけか?」

「はい」

「ヒト族はエルフであれば男女問わず慰み者にすると…………」

「いや、エルフ族の方々は綺麗だとは思いますが、流石に男性はちょっと…………」


 とんだド変態もいるんですね、この世界は。

 確かにエルフの男性も見た目が中性的で顔立ちが綺麗なので、そっちの趣味であればこの上無いのでしょうが、生憎僕はそんな趣味はありません。

 第一フィズさんがいますからね。




 決闘が始まるかと思いきや、その前から既にそんな雰囲気は無くなりつつありましたが、どうやら一度言った手前引き返せなくなったのでしょう。


 僕等のこの村での居住権と野菜の入手を賭けて決闘が始まる事になりました。







 こう見ると、リスクとリターンの釣り合い全く取れてないですが、気にしない事にしましょう。

 この小説が「面白い」・「続きが気になる」・「野菜大事だよね」と思ってくれた方、是非ブックマーク・いいね・コメントをお待ちいたしております。

 そうしてくれると作者が喜びます。


 今後とも作者共々お付き合いよろしくお願いいたします。

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