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剛士、湖を堪能する〜異世界生活六日目〜

 この話は全体的にグロい話がまたも入りますので、苦手な方はお気を付けください。

 現在極限サバイバル状態の為、ご理解頂くと幸いです。

 この世界に来て五日目の朝、昨晩何とか木に登り、腹痛に耐えながらも眠りに就きました。

 そして、今日―――


「僕!復活!」


 腹痛は何とか綺麗さっぱり無くなっていました。

 しかし、昨日は飲食を一切せず出すだけ出した上、全力で走ったり、緊張の糸を張り巡らせたので、フラつきがあります。


「これは軽く脱水状態になっていますね。それにもう一つ深刻な問題が…………」


 深刻な問題、それは塩。

 肉に塩を付けて食べたい。では無く、塩が必要。

 現在飲水はいつもの要領で確保中だが、塩に関しては確保する手段が乏しい。

 湖の水を少しだけ舌に乗せてみたが、やはり淡水らしく、そこから得るのは不可能。手頃な石や岩も岩塩とまではいかなくても塩を含んでいる感じはなさそう。

 ただ、手段が全く無い訳では無い。


「ただ、出来ればしたくないんですよねぇ…………」


 緊急時の塩分摂取の方法。

 それは動物の血を飲む事。

 血液には塩分以外にも鉄分やその他の栄養があるので、こんな状態では正に血の一滴すらご馳走となる。


 しかし、いくら訓練してたとは言え現代っ子な僕。

 抵抗等の生温い感情では無く、嫌悪感が凄まじい。


「だけど背に腹は代えられませんよね…………」


 幸い、先程からこの湖には喉の渇きを潤す為に野鳥や草食動物がやって来ている。

 その中にはあの牙兎もいた。

 まぁ、逆に考えればそれを餌にしている肉食動物も来るわけですが、それは今のところまだ見当たりません。

 夜行性が多いんですかね?


「さて、小動物を狩るか魚を狩るか…………」


 簡単なのは多分魚。

 遠目に見ても透き通った湖には魚が泳いでいるのが見えています。

 しかし魚は寄生虫がいる可能性(動物も絶対安全とは言えないが)があるので、昨日かそれ以上の腹痛に襲われたらと考えると憂鬱。


「よし、動物にしましょう。そうしましょう」


 どうしても無理なら魚を捕るとして、まずは危険が少なしそうな野鳥からです。

 僕がここにいるからか、少し遠くで警戒しながら水を飲んでいます。

 手作りのパチンコでは、直線の射程は多分20m程度でしょう。

 ギリギリまで近付いて撃つしかありません。


 なるべく物音を立てないように、ゆっくりと姿勢を低くし、目視で狙える距離まで近付きます。

 後は狙いを定めてパチンコを引き絞り、狙いを定めます。

 出来れば頭、外れても飛び立てない様に羽に当たれば良いんですが…………。

 そう願って放った石の礫は最短距離を通って野鳥の体、折り畳まれた翼の辺りに激突。

 仲間の反応で周りにいた鳥達は一斉に飛び立つが、撃たれた一羽は飛び立とうにも礫が直撃した翼を力無く引き摺り、歩くしか出来ない。

 ざわざわ苦しませる必要は無いので、手早く駆け寄り押さえ付けて手斧を首目掛けて振り下ろしました。


 辺りに血の匂いが漂う中、僕は一度手を合わせた後、その首と胴体を持ち上げる。


「行くぞ、剛士。覚悟を決めろ。必要なんだ、生きる為に。命を頂くんだ、無駄にするな」


 綺麗事を並べてはいるが、結局はただ飲みたくないだけですが。


 意を決して、切り口から血が流れる様に胴体を持ち上げ、切り口に口を近付ける。

 流れてくる液体はまだ暖かく、口に入るや否や、強烈な鉄の味と香りが口腔と鼻腔に支配されます。

 吐き出しさそうとする身体の拒絶反応を無理矢理抑え込み、強引に飲み下す。


「うぐっ…………!水、水ぅ〜!」


 ある程度飲んだ後、急いで用意していた飲水を飲み、口を濯いで血の味を消そうとしますが、中々取れません。


「液体なのに口に入った時の異物感が凄い。新鮮だったからか、そこまで生臭さが無かったのだけは唯一の救いですね」


 その後も口の中を濯ぎながら、野鳥の内蔵を抜き、湖に繋がる小川に沈めて冷やす。


 とりあえず一つ課題をクリアした(事にして)次へ移りましょうか。


「ここに来るまで移動ばかりでしたから、当面の間はこの湖の周辺を拠点にしましょう。まずは拠点探しからですね」


 草食動物を狙った肉食動物が来る可能性が高いので、湖から少しだけ離れた所に拠点を設営すべく、反時計回りに湖畔を歩く事にしました。




 スタート地点を6時の方角として4時の方角まで進んだ頃には、太陽は真上を過ぎ始めていました。

 時間にすれば3時前と言ったところ。 

 流石にこの木々が生い茂る深い森でも湖の真上は葉が覆っておらず、空がしっかりと見えます。


 因みに、湖は少し歪だが円形をしており、目測での大きさは直径で言えば5km程、外周は20km弱+α程だと思います。


「今日はここまでにして、野営の準備に移りましょう。とりあえず湖から少し離れた…………この辺りで良いですかね」


 畔から運んてきた石を並べ、その上に手頃な木を組み、いつも通りのパワー着火で焚き火を熾す。


「あ……折角鳥を冷やしていたのに忘れた…………」


 まぁこんな事もありますよね。

 食料確保の為にも一度湖に戻り、魚が潜んでいそうな岩を探して、ラノベでよく有る石打漁を実践してみましょう。


「いや、これ数十ヵ所やって、やっと二匹とか労力と成果が割に合わないですよ…………」


 現実はそう上手くいかないですね。

 とりあえず夕飯抜きは避けられたので文句は言えませんが。






 そんなこんなで拠点の周りに以前利用した簡易結界を用意して、焼いた魚を食し、日が落ちるまではせっせと昨日後悔した石の短槍造りに励み、異世界生活五日目は幕を閉じたのでした。

 現実では石打漁って石と石(岩と岩?)ではなくて、岩をハンマーでってのが本来のやり方みたいですね。

 ただ、禁止されている場合もあり、何処でもしてはいけないみたいです。

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