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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、久し振りの地上に出る〜異世界生活八十一日目②〜

 前話同様、スライムさんとの会話(ジェスチャー)

[〇〇]

で表記致します。

 今のところ[肯定]・[否定]・[どちらでも無い]・[方向を示す]等の簡単な会話のみになります。

 多分二時間程眠っていたでしょうか?


 何やかんやこの世界に来て一番ぐっすり気持ち良く眠っていたのでは無いでしょうか?

 勿論、気絶は除きます。


「これもこのスライムさんベッドのお陰ですかね?ウォーターベッドみたいに体を包んでくれていましたし」

[肯定]

「やっぱり分裂していても動けるんですね。他のスライムもそうなんですか?」

[否定][どちらとも言えない]

「種類や個体による……って事ですかね?」

[肯定]

「じゃあブラッドスライムが分裂してもまともに動けない種だったのは運が良かったんですね……」


 ブラッドスライムとの戦いを思い出して冷や汗が流れました。

 もしもブラッドスライムがこのスライムの様に分裂して攻撃してきたら…………考えたくもありません。


「ところでベッドと見張りをしてくれているスライムさん以外はどちらに?合わせてもまだ小さいですよね?」

[洞窟の奥を示す]

「ん?奥に戻ったんですか?」


 出口迄の索敵とかでは無く?

 お腹が減って食料を確保しているとかなんですかね?


 そんな事を考えつつ、戻ってくるのを待っていると間も無くして、ガラガラと音が聞こえてきました。


「ん?この音ってもしかして……」

[肯定]


 見えてきたのは分裂したスライムの最後の一匹。

 その後ろには僕達が放棄せざるを得なかった荷車が五台連なって引かれている。


「……パワフル過ぎません?」

[否定]

「もっとパワーがあると……?」

[肯定]

「ははは……。もう笑いしか出てこないですね、それは」


 割と力が強い男二人で引いていた物をたった一匹、しかも僕達よりも速い…………うん、考えたら負けな気がしてきました。


「それにしてもわざわざ取ってきてくれたんですね、ありがとうございます。ゴルゾフさんが折角頑張って掘ってくれた物でしたから」

[否定]

「ん?あぁ、気にするな。って事ですね?」

[肯定]

「それでもですよ、ありがとうございます」

[肯定(花マル)]

「ははは、スライムさんめっちゃ器用ですね」

[肯定]


 スライムに感情があるとか無いとかは知りませんが、少なくとも僕の目の前にいるスライムは思考し、感情がある事は間違い無いでしょう。


 それから僕達は…………と言うよりは荷車を引いたスライムの頭?の上に座りながら、快適に地上へ向かう事になりました。


 これ僕、ただの荷物なのでは…………?






 荷車が破損したり脱輪しないギリギリの速度を保ちながら休む事無く一気に登り坂を登り終えると、遠くに光が見えました。

 洞窟内の光苔の明かりでも松明の様な日の明かりでも無く、あれぱ確実に太陽の光。

 微かにオレンジ掛かっているので、多分日暮れなのでしょう。


 そんな事を考えている間にもドンドン出口に近付いていましたが、出られる迄後数mの所で突如急停止。


 急ブレーキしてもクッション性が抜群で身体に負担が一切無いのが凄い…………じゃなくて!


「どうしたんですか?もしかして太陽の光が駄目……とか?」

[否定]

「ん〜?…………あ。もしかして最後は歩いて行けと?」

[肯定]

「分かりました。お気遣いありがとうございます」


 最後くらい自分の足で。とでも言いたいのでしょうか?

 ゆっくりと地面に降ろされた僕はだいぶ体が楽になったのを実感しつつ、出口に向かって歩みを進めます。




 そして、たった数日とは言え陽の光を浴びていなかった僕はその眩しさに目を細めながら無事に地上へと戻る事が出来ました。

 隣に居るスライムに改めて感謝を伝えつつ、周りを見渡してみます。


 うん、僕がこの世界に来て最初に放り出された森と大体同じ様な植生ですね。


 そして、目を閉じて周りの気配を探るのに意識を集中すると、様々な気配とともに知っている気配が…………三つ?


 え?フィズさんとゴルゾフさんと…………誰?


 何はともあれ、行ってみないとわからないのでそちらに向かう事にしました。

 僕とスライムだけならば真っ直ぐ最短距離を行けますが、荷車がある以上、少し迂回しながら目的地へ。


 あぁ、三人がいる場所は少し広場になっていたんですね。

 視界が開けた先に緊張した面持ちで、斧とナイフを構えている二人が見えました。 

 二人共、僕を見て一瞬フリーズしていましたが、フィズさんは直ぐに再起動して一直線へ僕の下へ。


「タケシ様〜〜!!」

「フィズさ…………ってうわぁっ!」


 勢いを殺す事無く全速力で走ったまま僕に飛び付いてきたフィズさん。

 何とか抱き留める事は出来ましたが、あまりの勢いにバランスを崩し押し倒される様に転倒してしまいました。


「タケシ様〜!タケシ様タケシ様タケシ様〜〜!!」

「はいはい、剛士ですよ。一応、今はゴーシィですかね?」

「どちらでも構いません!生きて……生きてると信じていました……」

「いや、さっき目が合った時は幽霊でも見た様な顔してましたよ?」

「うぅ〜……。タケ……ゴーシィ様の意地悪……。そんな事言うと女性にモテ無いですよ?」


 うぐはぁっ!!

 フィズさんの口撃に僕の急所が見事に粉砕されました…………。

 どうせモテ無いですよ〜だ…………。


「……ゴーシィ様、お帰りなさい」

「…………あ」


 この世界に来てからも屋敷では「お帰りなさい」と言われたりしていました。

 でもそれは、家に帰った時。と言うよりは宿泊中のホテルに戻った時の「お帰りなさい」でした。

 だからこの世界で初めて…………いや、違いますね。

 地下渓谷にいた時もフィズさんは僕が戻ると必ずこの「お帰りなさい」を言ってくれていました。


 まるでフィズさんがいる場所が僕の帰るべき場所の様に。


「…………ただいま」


 僕はそれだけ言って改めてフィズさんを強く抱きしめました。

 いつの間にか、彼女が僕にとってこんなに大切な存在になっている事を実感しながら…………。















「なぁ、儂等の事、忘れられてねぇか?」

[肯定]

 とうとう地上に出られ、二人共再会する事が出来た主人公。

 先程、三人と言った理由は次話で。

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