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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第三章 異世界転移したけどまたまたサバイバル生活!?

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ゴーシィ、大立ち回りをする〜異世界生活七十日目③〜

「はあぁぁぁぁ!!」




 正面のオークの頭目掛けて左手のバスターソードを振り下ろす。

 今度は左右から襲い掛かってくるオーク達に対して、胴体まで切り裂いたそれを抜き放つ反動を利用して、一回転しつつ横に薙ぐ。


 数体斬り裂いて勢いが弱まり、一体の胴体に食い込んでしまったのでそのままソレは手放し、右手に持っている剣でトドメを刺しつつ、体勢を整え、相手の攻撃に備えます。


 最低限の知能はあるのだろう、警戒の色を強めて距離を取られてしまいました。


 それもそうだろう、この大部屋に侵入してきてから五分も経たない内に仲間が十体は殺られています。

 しかも相手は自分達(オーク)と比べ、遥かに小さくか弱そうな人間一人に。


 ん?群れの中で他のオークより大きい個体が何か叫んでいますね。


 あれがボスでしょう。

 大きいオークならなんだろう?キングオークとでも呼びましょうか。

 その声に反応したオーク達は一部がキングオークを守る様に集まり、一部は一体ずつ距離を取って(バスケットボールサイズ)を拾い始めました。


「やっぱり投石がきますよ…………ねっ!」


 そうはさせません。


 散らばっているオーク達を目掛けて全力で走り、一体一体を確実に仕留めていきます。

 仲間意識はあるのか、味方に当たるのを躊躇って中々投石はありませんが、時折仲間がいない場所に僕がいた時に飛んでくる石を避けつつ、周りのオーク達をひたすら削り続けます。


 どうやら投石が完全に止む頃には中央に固まったオーク以外は全滅。


 残りはキング含めて二十体程になっていました。


「ボスのくせして部下を守らず自分は引きこもってばかりですか。とんだ腰抜けですね、貴方は」


 言葉が通じてはいないと思いますが僕の雰囲気からか、その挑発は効果覿面でした。

 怒りの咆哮を上げて、自分を守る部下達を押しのけ、手にしていた大鎚を担いで突っ込んできます。


「安い挑発に乗るなんて…………」


 当たれば即死なんでしょうが、フェイントも何も無い力任せの大振り。

 それを体を横にズラして回避し、振動に備えて軽く飛びつつ両腕を斬り落とします。

 その痛みで叫び声を上げ、上体を反らしたキングオークの胴目掛けて横薙ぎ一閃。

 反らした反動そのままに上半身は後ろにずり落ちていき、遅れて下半身も倒れました。


 残ったオーク達はボス殺られて慌てています。

 ただその中でもリーダー格がいたのか、慌てふためく仲間を諌めつつ、立ち直った者から僕目掛けて投石の雨霰。


 遮蔽物を失った僕は大きく回避をしつつ、近付くチャンスを伺いますが、どうやらリーダーは中々の策士の様で、投石のタイミングを少しずつズラして、僕の接近を防いでいます。


「まぁ、こんな時の為に発動した《聖母ノ慈愛(セイボノジアイ)》なんですけどね」


 以前、狼の群れとの戦いの時に使った身体運用方法は、脳の指令において戦いに関係無いものを遮断し、身体の治癒や疲労回復・呼吸や脈拍の安定に回した生存・継戦特化の身体運用方法。

 これにより多少の怪我なら直ぐ様回復します。

 勿論、多用すれば寿命縮むのでリスクとリターンの兼ね合いもありますが。


 そんな投石の弾幕を掻い潜り、致命傷になり得そうなものをいなしつつ、一体ずつ確実に仕留めていきます。


「貴方がリーダーですね。申し訳ありませんが仕留めさせてもらいますよ」


 指示を出していたリーダー格の首を刎ね、またもやオーク達は混乱し始めました。

 一体でも逃がせば面倒になりそうなので、出入り口を塞ぐ様に敵を斬り倒し、逃げ場を失った残党を一体残らず狩り尽くしました。




「《慈愛ノ終ワリ》。…………ふぅ、これで一段落ですね。我ながらやり過ぎた感は否めない…………」


 周りを見渡せばオークの死体とひたすら血の海。

 匂いが充満しており、空間に漂っているのか自分から発せられているのかも分からない程。


「全部回収…………する訳にはいかないですね。あ、そうだ、とりあえずオニキスだけ貰いましょうか」


 ダンジョンの時の事を思い出して心臓の辺りを斬り、解体してみるとあの時同様オークからはピンポン玉サイズのオニキス、オークキングからはそれより2回り大きいオニキスがそれぞれ出てきました。


「……思ったより嵩張りますね……。そう言えば以前のやつは屋敷に置いて来ちゃいましたが…………まぁ、これだけあれば問題無さそうですね」


 全て回収して、借りた鞄パンパンに詰め込んで、拠点へ帰る事にしました。

 念の為この洞窟の出入り口は石を積んで塞いでいきます、もし必要ならこれが目印になりますしね。


 最後に川で冷やしておいたオーク肉を回収…………あれ?


「一塊しかないですよね、これ。もしかして持っていかれました?他の生き物の気配は…………もしかして川の中に?」


 川を覗いてみてもそれらしき生き物は見当たりませんでした。


 結局、大量のオークを虐殺して得られたのは大量のオニキスと肉の一塊でした。




 あぁ…………こんな事なら中で狩ったやつも何体か捌いておけば良かった…………。


 と今更に思いながら帰路に着くのでした。






「おう、帰ったな。今日の飯は豪勢になるぞ」

「え?どうしたんですか?」

「水汲みに行ったら偶然オークの肉が塊になって川に沈んでてよ、三つあったから二つ持ってきたんだよ。あぁ、おめぇも一つ持って帰ってきたのか」

「いや、それを僕が狩ったやつうぅぅぅぅぅ!!」






 まぁ、結果オーライですか…………ね?

 主人公がオニキスと呼んでいる石。

 皆様お察しの通り、ファンタジー定番のアレですが主人公がその考えに辿り着くのはもう少し先の話。

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