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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第三章 異世界転移したけどまたまたサバイバル生活!?

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ゴーシィ、自分自身の変化に気付く〜異世界生活七十日目②〜

 飛び込んだ洞窟の中には既に異変に気が付いた三匹のオークがこちらに向かっていました。


 一体目の両足を切断され横たわった事で、後ろ二体がその場に立ち往生。

 残念ながら小柄(身長的に)な僕は難無くその上を飛び越え、倒れてるオークの喉元に一太刀入れてから腹を蹴って残り二体の上半身と下半身を真っ二つにしました。


「何か久し振り…………と迄はいかないかもしれませんが一人で自由に戦うのはやっぱり良いで―――」


 自分の心情の変化が不思議でした。

 あちらの世界で暗殺をするのは嫌いでした。

 でもこの世界に来てからは、戦う事を嫌だと思った事はあったでしょうか?

「ヤバい」とか「死ぬかも」とかは思いましたが、「嫌だ」とは思った記憶がありません。


「こちらに来る時に意識内の何かが変わった……?それとも…………」


 答えは分かりませんでした。

 少なくとも、嫌悪感が無い方が戸惑いや躊躇が無いので助かっていますが。


「とにかく、今はオークの殲滅に集中しましょう」


 僕はそう切り替えて、洞窟の奥へと歩みを進める事にしました。






 ここの洞窟の最深部まではほぼ一本道。


 途中、脇に小部屋みたいな空間が二つ程ありましたが、多分見張りのオーク達の駐屯所か休憩所みたいなものでしょう。

 実際にそこに立ち寄った時にはそれぞれの小部屋には一体と二体のオークが寝ており、声を上げられる前に仕留める事が出来ました。


 先程《蛾ノ音色(ヒムシノネイロ)》で聞こえた足音や呼吸音から考えると、洞窟から出てきたのを除いて最初に遭遇した三体、それぞれの小部屋にいた計三体で合計六体を既に倒していました。


 あの時捉えたのが丁度五十体だったので残り四十四体。


 この先に小部屋が無ければ全て最深部の開けた空間にいる筈です。


「4・4て不吉ですね。いや、幸せの4と考えたら良い数字なんでしようけどどうしても日本人的にはマイナスイメージが…………」


 と、考えてしまいますが、自分が始めた事。

 ちゃんとやり遂げましょう。


 さて、残りを全て相手にするのは骨が折れそうです。

 かと言って《傀儡遊戯(クグツユウギ)》を使うと後が大変、戻れなくなる可能性があります。


「敵に遠距離攻撃武器持ちがいるかによって変わりますね。武器じゃ無くてもあのサイズと腕力で投石されるだけでも厄介ですし、どうしましょうか…………」


 ありとあらゆる最悪の想定をした上で、その対策を考えていく。

 目的の建物に侵入し、最重要ターゲットの暗殺に加えて、そこにいる全ての人間を口封じをするタイプの仕事と同じですね。


 道中はほぼ一本道。

 相手はオーク四十四体。

 武器防具は不明。

 こちらは身一つに細身の剣と折れたバスターソード。

 遠距離武器無し。


「ふふっ。普通なら完全に詰みじゃないですか……」


 辞めて引き返すのが最善策、そう、これが()()()()であれば。

 しかし今回は人では無いし、暗殺でも無く殲滅戦。


 だったらやる事は簡単ですね。


「全力で全てを…………斬る」


 作戦もへったくれもありません。


 ただ身一つで飛び込んで目に付く動く全てを斬り伏せる。


 ただそれだけです。


 覚悟が決まれば後は、進むだけ。

 ゆっくり慎重だった歩調は少しずつ大きくなり、いつの間にか駆け出していました。


「《聖母ノ慈愛(セイボノジアイ)》」


 こめかみをトンッと叩いてから、大部屋に突っ込みます。

 最初からトップスピードの僕は、そのまま入口から本体側の壁まで突き進みました。

 その間、間合いに入ったオーク全てを斬りましたが、絶命させたのは最初の数体、残りも致命傷に至っている者は少なく、手傷を負わせただけでした。 


 でも初手としては充分以上の成果でしょう。


 何が起こって、何が侵入してきたか分かったオーク達は一斉にこちらを睨み、怒りのままに咆哮を上げました。

 その咆哮がまるで壁の様になって僕の全身に叩きつけられました。


「何だ……簡単な事じゃないですか…………」


 咆哮を受けた事でさっき考えていた事が嘘みたいに簡単に解決してしまいました。




 あちらの世界での殺しは、依頼達成の為に目的をただ殺すだけでした。

 一方でこちらに来てからの殺しはあくまでお互いのどちらかが生きる為に戦い、そして命を奪ってきました。


 同じ命を奪う行為でも、意味が全く違います。


 だから……と言うと結局僕はおかしいのかもしれませんが、だからこそ嫌悪感無く、自分が高揚してしまうのでしょう。


 殺しは好きではありませんが、戦いは案外好きなのかもしれません。

 そう言えば稽古とかも辛かったけど、嫌いだとは思った事ありませんでしたね。




「さぁ生きますよ、オーク達。僕が生き残るか、君達が生き残るか……。命を掛けた生き残る為の殺し合いを始めましょう」


 咆哮を上げて突っ込んでくるオークを一太刀で斬り伏せながら、僕はバスターソードを左手に抜き放ち、襲い掛かってくる群れに正面から突っ込んでいきました。




生きて二人の下に戻る為に、僕は全力で君達(オーク)の命をもらいます。

 普通、「襲われる危険性があるから殺す」って時点で既に少し狂っているのですが、現実と違って司法も警察も無いこの世界(国の中では多少機能している)ではそれが当たり前だと作者は考えております。

 勿論、作者は清廉潔白の身ですよ?あくまで、物語内のみでの考え方です。

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