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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第三章 異世界転移したけどまたまたサバイバル生活!?

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剛士、ドワーフの凄さを知る〜異世界生活六十八日目③〜

ドワーフの彼……ゴルゾフさんに先ず案内してもらったのは彼が使っている仮の拠点でした。


「これが……仮?」

「普通の……いえ、普通より上等な家ですね…………」

「まぁ狭ぇ所だが、好きに寛いでくれ。上等じゃねぇが茶でも出してやろう」


僕達が案内されたのは石造りの一軒家は煙突のみが突き出しているのみで屋根が無く、某サンドボックスゲームで言う豆腐ハウスでした。

しかも中に入れば素材が全て石とは言え、椅子にテーブルまてま用意されています。


そんな石の椅子に腰掛けながら竈に置かれた鍋からお湯を掬い、マグカップに注いで僕等の前に置いてくれました。


この人、世話好きですね。


お礼を伝えつつカップを口元に近付けると、香りが鼻腔を擽りました。

そして口に含めば口内にほんのりと甘みが広がり、最後は心地良い程度の苦み。


これって―――


「ゴルゾフさん、これ…………緑茶ですよね?」

「あぁ゙!?そうだ、異世界人ならこれが口に合うと思ったが不味かったか?」

「いえ…………とても…………懐かしい味と香りで。ありがとうございます」

「おぅ!」


この世界に来て似た物は沢山ありましたが、全く同じ物はこれが初めてかもしれません。

家でも急須に入れて飲むんでいた緑茶をまさか異世界で飲めるとは思いませんでした。


「不思議な味ですが、落ち着きますね……」

「嬢ちゃんも分かるか?ヒト族はリョクチャを嫌いな奴が多いと聞いていたが、分かる奴もいんだな」


豪快に笑いながらゴルゾフさんも空いてる椅子に座り、豪快にお茶を飲む。


いや、それジョッキサイズだし、そもそも熱くないんですか?


「嬢ちゃん、悪ぃが調理用の竈は一つだけしかねぇ。食材を切るならこのナイフを使え。造りは雑だがそこそこ使える。気に入ったならそれをやるよ」

「……え?これ、雑……なんですか?明らかに…………。それにやるって…………」


フィズさんは受け取ったナイフを見て困惑しているみたいでした。

失礼して僕もそのナイフを見せてもらいましたが…………これは凄い。


刃に一切歪み無く、厚さも均一。

柄は誰が握ってもある程度扱える絶妙な太さと長さ。

それに加えて何か分からないが鋼材が素晴らしい。


「ゴルゾフさん、これに使われている鋼材って何ですか?」

「あぁ゙?そんなもん採掘途中に割れた屑ミスリルの寄せ集めだよ」

「ぴぃっ!?み、ミスリル!?」


出ましたよ、ファンタジー定番のミスリル。

フィズさんが変な声を上げるように、ミスリルはとても貴重な鋼材。

それに加えて加工が非常に難しく、ヒト族でミスリルの加工出来る人間は全て国が召し抱える程。

それをこうも簡単に、しかも屑ミスリルって…………。


「ミスリルはミスリルでも純度が悪ぃからな。適当なナイフにするのが一番無駄がねぇんだよ」

「ち、因みにこちらのミスリルの純度はどれ程ですか……?」

「あぁ゙!?大体60%程度だろうな」

「ろっ!?」


…………マジですか。

本で読んだ限りでは、王国に存在するミスリル製の武器で尤も純度が高い物で70%で、それは国宝として安置されていると書いてあった。

つまり60%の純度のこのナイフも準国宝クラスと言う事だ。


それを雑と言い、あまつさえ「やる」なんて言われた日には…………まぁ、こうなりますよね。


隣で目を回しているフィズさんを横目に、質問を続ける。


「ゴルゾフさんがここで採掘しているのはミスリルですか?」

「そうだ。弟子達の練習用も含めてミスリルは幾らあっても良いからな。定期的に採りに来てるんだよ。ここは良いミスリルが大量に埋まってるからな」

「そんな事、王国にお世話になっている僕に教えて良いんですか?」

「…………良くねぇな」


本当に何も考えてなかったんですね、この人。

ただ、逆に言えばそれ程まで裏表が無いとも言えます。


「仮に、僕等が王国へ戻れたとしても僕もフィズさんも誓ってこの事は口外しません。ねぇ、フィズさん」

「ひゃ、ひゃいっ!」


フィズさん?呂律回って無いですよ?


「そうしてもらうとありがてぇ。あぁ、参ったな。またあいつに小言を言われちまう」

「あいつ?」

「儂の仲間…………だよ」

「何で間が空いたんですか?」


何か凄く嫌そうな雰囲気を感じました。

仲間だけど、仲はそこまで良くないみたいですね。


「んなこたぁどうでも良いんだよ。それより異世界人、名前は?異世界人ならカンジ……だったか?書けんだろ?」

「漢字を読めるんですか?」

「あぁ゙!?長く生きてるからな。ちっとは読める……と思うぞ」


うん、不安そうですね。

ツッコむのも野暮なので、手頃な石を拾ってきて机に『太田剛士』と書きます。


言われたからやったけど、机に書いて良かったんですかね?

書いたと言うより刻んだに近いですが…………。


「おぉ!これなら儂でも読めるぞ!これであいつに馬鹿にされる事はねぇな!おめぇ『フットータ=ゴーシィ』って言うんだな!じゃあこれからよろしくな、ゴーシィ!」

「…………はい?」

「確か異世界人は苗字が先で後から名前だろ?だからゴウシィが名前だよな?」


合ってるけど致命的に間違ってますね。


しかしあまりにも読めた事を喜ぶゴルゾフさんを見て、否定する気にもなれなかった僕は、言われた通りフットータ=ゴーシィとしてこれから生活していく事に決めました。




何となくですが、剛士(タケシ)の名前にこだわらない方が良い。と第六感が囁いていたので。

 太田剛士(オオタタケシ)改め、フットータ=ゴウシィとしてこれからは生活していく主人公でした。


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