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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第三章 異世界転移したけどまたまたサバイバル生活!?

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剛士、同志(?)と出会う〜異世界生活六十八日目②〜

 地下渓谷の無数になる横穴、その一つから音は聞こえていました。

 音は近付けば近付く程大きくなり、横目でフィズさんを見ると頷いて返してくれたので、もう既に彼女にも聞こえる距離になっていました。


 地下渓谷全体は蟻の女王がいた巣穴と同じく、光苔が張り付いているのか、視界はありました。

 しかし、音のする方角からはそれ以上に強い光が見えます。


 つまり、あそこで何かしらの光源を用いて採掘をしているという事。

 鉱物を食べる魔獣や魔物がいたとしても、わざわざ明かりを用意するとは思えないので、やはり人間の可能性が大きい。

 あとはこちらと敵対関係にあるかどうかですが…………。


 角を曲がり、少し開けた場所に出ました。

 岩の中をかまくらの様にくり抜いたそれは自然の物では無い事は確かでした。

 その中で今入ってきた場所から一番遠い壁の際でひたすらツルハシを振り、岩を割っている人物―――


「あれは……ドワーフだと思います」


 やっぱり。

 王都の武器屋で見たあのドワーフとそっくりな体系でした。


 …………僕、あんなに太いですかね?


 ドワーフは比較的友好的な人間とは言え、全員がそうとは限らない。

 念の為警戒を解かず、声を掛ける。


「すみませーん!」

「あぁ゛!?おかしいな、こんな地下深くで人の声が聞こえるぞ!?流石に酒を抜き過ぎたか……」

「あのー…………」

「あーやめだやめだ。やり過ぎは身体に毒…………ってうおぉっ!?」

「あ、驚かせてしまってすみません。決して怪しい者では無く―――」

「なんだよ、驚かせやがって……。ドワーフがヒト族の従者を…………ん?おめぇ、ドワーフか?」

「あーー……よく間違われるんですが、僕ヒト族なんですよ、一応」

「……みてぇだな。お前みたいな男らしくないドワーフなんざ見たこ事がねぇ」


 男のらしくないドワーフですかぁ。

 本で読んだ知識ですがドワーフは髭を大切にするみたいで、

 しっかりと整えた髭を蓄える=男らしい

 となるみたいです。

 体質的に髭が生えない僕はドワーフからして見れば、ナヨナヨしている様に見えるのでしょう。


 …………いや、そもそもドワーフじゃないですしね、僕。


「それで?こんな所にヒト族が何の用だ?しかも丸腰じゃねぇか」

「それは―――」


 僕はここにいる経緯を説明しました。

 勿論、僕が異世界人である事を含めて。


「成る程な。だからでけぇ蟻がうじゃうじゃと襲ってきた訳か」

「迷惑をお掛けして申し訳ありません」

「あぁ゛!?おめぇのせいじゃねぇだろ?別にあんな蟻程度にやられる様なヤワな鍛え方してねぇよ。それに良い食料が確保出来た。むしろ助かったぜ、ありがとな」


 この人、見た目と言動は野蛮だが凄く良い人ですね。

 迷惑どころか感謝されるなんて思いもしませんでした。


「それで?おめぇ等はこれからどうするんだ?」 

「出来れば地上に戻りたいんですが、出口をご存知ですか?」

「そりゃおめぇ、入ってきたんだから出口ぐらい知ってらぁ。だが、ここから儂が知ってる出口までは歩いて三日は掛かるぞ?」


 三日…………ですか。

 僕一人ならもう少し早く辿り着くでしょうし、多少飲まず食わずでもギリギリどうにかなりそうですが、問題はフィズさんですね。

 彼女の身体能力は少なくとも僕が知っている女性のそれとは大きくかけ離れていますが、それでも厳しいでしょう、


 僕が無言で考えている姿を見て、ドワーフの彼は頭をボリボリト掻きながらこう提案してきました。


「何だったら儂を手伝ってくれねぇか?鉱石の採掘を手伝ってくんだったら、ここを出るまでの衣食住の確保と有り合わせの武器くらいやるよ」

「え?良いんですか?」

「あぁ。そこの嬢ちゃん」

「は、はいっ!」

「おめぇさん、飯の煮炊きは出来るか?」

「はい、一応一通り出来ますが……」

「だったら決まりだ。坊主は儂と一緒に採掘と周りの警戒、嬢ちゃんは飯の準備と身の回りの世話をしてくれ。あ、世話といっても夜伽はいらんぞ」

「あの、何故そこまで…………?」


 僕達にとっては魅力的な提案ですが、彼にメリットがある様に思えません。

 ドワーフが友好的とは言え、そこまでする必要があるのか?

 もしそうなった際、後から何を要求されるのか?

 僕はそれが不安でした。


「あぁ゛!?勿論、儂が楽してぇだけだし、折角食うなら美味い飯が良いだろうが。それ以外なにかあんのか?」

「…………ありがとうございます。甘えさせていただきます」

「私も。ご期待に沿えるよう、腕によりを掛けて作らせていただきます」

「おぅ!よろしくな!」


 ドワーフは裏表が無いと聞いていましたが、想像以上でした。


 僕とフィズさんはそんな彼の好意に甘える事にして、彼を手伝って少し気楽な洞窟サバイバルを始める事にしました。




 道具を提供してもらえるならサバイバルと言うよりキャンプなのでは?

 とか考えたのは些細な事です。

 初期の森での生活に比べてかなり気楽なサバイバル(キャンプ)生活。

 ただ、物語的にはどうなんでしょうか?

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