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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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剛士、またも遭難する〜異世界生活六十七日目④〜

 タイトルでネタバレしていくスタイル。

体感的に出口まで残り三分の一に差し掛かった所で、フラグを回収してくる奴等が現れました。


「第二波、来ましたか…………」


「そうみたいですね。どうします?速度を上げて撤退しますか?」


「そうしたいのは山々ですが、奴等を外に連れ出すのも拙い気がするんですよね……」


このまま撤退の速度を上げ、降りかかる火の粉を払いつつ逃げれば出口迄辿り着けるでしょう。


しかしそうなればどれ程か分からない蟻達を引き連れての地上への凱旋、良くない事態になるのが目に見えています。


「残念ですが、ここでもう一踏ん張りするしかないですね」


「うぅ〜……。クロスボウの残弾が心許ないですが……頑張ります」


「なるべく僕が片付ける様に頑張ります」


フィズさんは先程の第一波で持ち込んだ矢の七割を消費してしまっていました。


同数が襲ってきたと考えると、どう考えても矢が足りません。


そうなると一匹でも討ち漏らしを減らすしか無い。


第一波同様、《童ノ戯レ(ワラベノタワムレ)》を発動させる為にこめかみをトンと叩きます。


当時に蟻達の群れが造り出す黒い波に突撃、手当たり次第叩き潰します。


(そう言えばこの洞窟内では背負ってるグレートソードが完全に死んじゃっていますね)


ふとそう思った僕は隙を見てグレートソードを抜き、地面に突き立てました。


すると―――


「あれ?グレートソードを怖がっているんですか?」


邪魔だからと捨てたつもりのグレートソードが思いの外効果がありました。


推測ではありますが、これの元の持ち主であるオークの匂い?気配?を感じ取っているのか突き立てた位置からこちら側へ来る個体が極端に減りました。


「これならっ!」


一度に襲ってくる蟻の数が激減し、対処が容易になりました。


童ノ戯レ(ワラベノタワムレ)》を一度解除して、少しずつの撃破に移ります。


無駄に寿命を削る必要はありませんからね。


「タケシ様、このまま行けば逃げられそうじゃないですか?」


「それもそうですね。出来ればある程度…………ん?」


状況が落ち着き、大まかにでもこの後の状況を話し合おうとした矢先、地面が揺れ始めました。


「地震……?いや違う!拙い!フィズさん!早くここから離れ―――」


僕が言い切る前に地面が崩れ、僕とフィズさんは蟻共々暗闇に落ちる事になりました―――











「ク……ゲホッ……コホッ…………はぁ……はぁ…………」


フィズさんを背負いながら、無理矢理口に入った水を吐き出しつつ、息も絶え絶えで岩場に上がる僕。


そのままそこにへ仰向けに倒れ込みました。




洞窟が崩落した直後、僕は即座に《傀儡遊戯(クグツユウギ)》を使い、僕等と共に落ちる岩や蟻を足場にしてフィズさんの下へ。


抱き締めながら落下した先は川でした。


水深が深いお陰で命に別状はありませんでしたが、流れが激しく、落下の衝撃も相俟って上も下も分からないまま激流に流され、やっとの思いで川岸に上がる事が出来ました。


どうやら蟻達の巣のすぐ下は大規模な地下渓谷になっていたらしく、僕達がいた場所の床が薄かったのか脆かったのかしたのでしょう。


グレートソードを突き立てたせいで先頭の蟻達がその場に留まり、そんな事を知りもしない後続の蟻達がドンドン合流して重みに耐えられなくなったと推測します。




「フィズさん!フィズさん!大丈夫ですか?」


背負っているフィズさんもかなり水を飲んでしまっているみたいで、声を掛けても目を開きません。


「失礼します!」


緊急時の為躊躇無く気道を確保し、マウストゥマウスで人工呼吸を行います。


三回目息を吹き込んだところで、フィズさんが苦しそうに咳をしながら大量の水を吐き出してくれました。


「けほっ、けほっ…………。タケシ……様?これは……夢……ですか?」


薄っすらと目を開けて、朧気に僕を見ながらそう聞いてきました。


「いえ、夢ではありませんよ?僕達、生きています」


「あぁ……良かった……」


安心した表情をしてくれましたが、顔色は悪くなる一方。


渓谷内は気温も低く、水に濡れてしまったせいでドンドン体温が奪われているのでしょう。


火を熾すにも周りに役立ちそうなものは何もありません。


「フィズさん、緊急事態につき失礼します!」


僕はフィズさんを抱え、安全確認をしつつ川から離れ、壁にある窪みにフィズさんを降ろしました。


「タケシ……様……?」


僕は一度呼吸を整え、しっかりと彼女の目を見据えて伝えます。


「このままでは低体温症で二人共死んでしまいます。その為に服を脱いでくれませんか?」


僕が決死の覚悟で伝えた言葉に一瞬目を見開きましたが、呆れた様な笑みを浮かべていました。


「ふふっ……。そんな必死に弁解しなくても責めたりしませんよ。ただ……動くのも辛いのでタケシ様が脱がして下さい」


何っ!?僕は童貞だぞ!?


女性の服の脱がし方なんて…………と思っていましたが、緊急時なのかすんなり脱がす事が出来ました。


恥ずかしさもありますが、自分も衣服を脱ぎ、なるべく乾く様に周辺に並べ、周りから岩を拾い集めます。


「タケシ様……?一体何を……?」


「この窪みを一時的に塞ぎます。なるべく狭くして二人体温を利用した簡易的なサウナ……と言っても伝わらないか。温室を造ります」


なるべく隙間が無くなるように石を積み上げ、自分も内部に入った後内側からも蓋をして、最低限の空気穴以外を極力塞いでいきます。


「流石はタケシ様ですね……。でもこうしたらもっと暖かいですよ……」


「ひょえっ!?」


穴を塞ぎ終わった僕の背に柔らかいものが当たりました。


「ほら、凄く暖かい……。もっとくっつきましょう。タケシ様も私を抱き締めて下さい」


僕を振り返らせたフィズさんは僕を抱き締める様に胸に顔を埋めてきました。


ぼくも言われた通り、恐る恐るフィズさんの背に手を回しましたが、女性ってこんなに柔らかくて壊れそうな程華奢なんですか!?


初めて母親以外の女性の裸を、しかもこんな近くで見て触った僕は緊張で固まってしまいました。




感想ですか?


肌はひんやりしていましたが、ほんのり暖かくて、とても柔らかかったです。


もう理性を保てた自分を褒めてあげたいくらい。



 主人公、初キス(人工呼吸)並びに裸で抱き締め合う(死なない為)事に成功。


 次回の投稿で、二章が終了となります。

 次は第五騎士隊の話になりますので、二章の主人公視点(本編)はこれで終了です。

 引き続き、今作品をお付き合いいただければ幸いです。

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