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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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剛士、ファンタジー要素に触れる〜異世界生活六十六日目④〜

僕とフィズさんは前後を警戒しながら慎重に、しかしなるべく急いで巣穴の奥へ奥へと進んでいます。


「それにしても助かりましたね。騎士隊が所々に松明を残しておいてくれているので、燃え尽きる前に新しいのに変えていけばどうにか進めそうです」


「帰り道の分を考えるとあまり消費し過ぎたくないですけどね」


フィズさんを降ろした場所より先は光も届かない暗闇でした。


巣穴に入る時に取っておいた道具の一部で火を熾し、進んでいると、所々に松明を数本置いておいてくれていたので、火が消えそうな時にそれの内の一本を拝借しながら明かりを確保しています。


「本当に迷路みたいですね。あれだけ分かれ道があると進むだけでも一苦労、帰り道は分からなくなりそうです」


「それても分かれ道に印が付いているので、何とか迷わずにここまで来れています……が!っと……」


分岐がある場所の床には印が書いてあり、行き止まりは✕印、奥への続く道には矢印があったので、それに従っています。


更に、進むにつれて蟻との遭遇の頻度と個体数が増えていくので、この道が奥に続いているのが体感出来ました。




もう何回目か分からない分かれ道を矢印に従って進むと、奥から無数の気配がしてきました。


「フィズさん、止まって下さい」


「どうしたのですか?」


「奥から夥しい数の気配がします。それに耳をすませると音が聞こえませんか?」


「…………っ!確かに、何かかが這いずり回る音がします。何かが分かるのが嫌ですが……」


「でも戦闘音はしませんね……」


「もしかして途中の何処かの分かれ道に身を潜めているんですかね?」


それは有り得るかもしれません。


矢印が付いているという事はここまでは進んできたのは確実。


だが、この先にある地獄を目の当たりにして引き返して、何処かで身を潜めている、もしくは少しずつ移動して撤退している可能性もありますね。


「どうします?引き返しますか?」


「悩ましいところですね。もしかすると奥に進んだ人達がいるかもしれませんし…………」


「怖いですけど少し覗いてみますか?」


「一応確認だけしておきましょうか」


今までより慎重に奥へと進んでいくと曲がり角の奥から明かりが差していました。


「ここで野営しているって事でしょうか?」


「ん〜。でもその奥から気配がするので、多分ですけど…………」


角からそっと顔だけ出して覗くとそこは正に地獄。  


そこはかなり大きな空洞になっており、高さは多分三階建てビル相当で広さは学校の校庭近くはありました。


そんな広い空洞には四方八方上下左右、びっしりと蟻達が張り付いており、いや壁が見えない程。


終いにはその中央、翅を持った一際大きな蟻が一匹。


あの大きさだともう一頭と呼んだ方がしっくりきますね。


体長と体重はアフリカゾウと同じかそれ以上有りそうですね(オスの場合、体高約3m体重6tはある個体が多い)。


昆虫って肺を持たないから、身体が大き過ぎると体中に酸素が回らなくなって生きていけなくるので巨大化出来ないって話でしたよね、確か……。


いや、1mも有り得ないですが。


もしかして、こっちの世界は向こうより酸素濃度が濃いんですかね?


それに外骨格であると、そこまで大きくなれば自重で動けなくなる筈……。


いや、向こうの常識を当て嵌めるのは辞めましゃう。


目の前に広がる光景は現実、ゴブリンやスライムがいるファンタジーな世界。


無理矢理にでも納得するしかありません。


そんな事を思いながら、気付かれない様に少しずつもと来た道を戻りました。




「何とかバレませんでしたね……。ほんと、好奇心で人は殺せますね」


「それにしても何であの部屋だけ明るかったんですかね?火を焚いてる様子は有りませんでしたし…………」


「あぁ、それは多分苔ですね」


「苔?苔ってあの苔ですか?」


苔の種類の一つに光苔と呼ばれるものが存在します。


自分で発光している訳では無く、この苔の原糸体が球状になっており、レンズの代わりに光を集め、それを受容する葉緑体が集まる(体の?)奥で反射して光っている様に見えるだけ。


それにファンタジー要素が加わっているので、光が強くなっているのだろうと予想しました。


本来高地とか涼しい所に生息する筈ですが、これもまたファンタジーという事で片付けるしかありませんね。


「へぇ〜。タケシ様って物知りなんですね。学者様とかだったのですか?」


「学者と言うか研究者ですが……まぁ似たようなものですね」




さて、珍しい……と言うか不思議なものは見る事が出来ましたが、ここに来た目的の騎士隊の救援は未だに未達成のまま。


しかし体内時計的にはもうすぐ日暮れ。


ここまで殆ど休み無く動いていたので、まだ動けるにしろ休憩を取りたい気分です。


「ふぅ。そろそろ外は夜になりそうですね……。今日は何処か安全そうな所を見つけて休みますか」


「そうですね……。本当だ、もうこんな時間。どうりでお腹が空く訳ですね」


「ちょっと待って。それは何ですか?」


「え?これですか?これは懐中時計ですけど……タケシ様知らないのですか?」


「いや……懐中時計は知っていますが、何と言うか理解が追いついていないんです」


え?この世界時計あったの?誰も持って…………いや、そう言えば公爵とか副騎士長とか手元でゴソゴソしてたけどあれ時計だったんですか!?


「何故誰も教えてくれなかったんですか…………」


「てっきりタケシ様はお持ちだと思い込んでまして……。それに「そんな物は下の者が把握すれば持ち歩かなくて良い!」ってタイプの方なのかと……」


「いや、そうですね。無いと思い込んでたから聞かなかったですが、聞けば良かったんですよね」


「え〜っと…………これ、いります?」


「いや、お気持ちだけで大丈夫です…………」






ほんっっっとこの世界は!


ファンタジー強めだと思えば普通に時計あるんかいっ!






戻ったら時計を買おうと強く決心する僕なのでした。

 虫の構造、鳥肌を立てながらちゃんと調べました……。

 

 時計に関しては、位の高い者やそれに仕える者達は持っていますが、普通の市民は持っておらず、日の高さや決まった時間になる鐘の音で判断している感じです。


 何故か掛け時計はありません。

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