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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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剛士、魔獣の巣へ向かう〜異世界生活六十六日目〜

 翌朝、予定通り魔獣の巣へ向かうべく屋敷を後にしました。


 僕は全身フル装備。


 森でのサバイバル時に手造りした革の防具一式(屋敷に到着後、酷い状態だったのでメイドさん達が補修に出してくれた物)。


 背中にはバスターソードを担ぎ、剣帯を帯び、左腰には鍛冶屋で貰った刀風エストック、右腰にはメイス、その他数本のダガーを携えています。


 この状態で森まで走る…………予定でした。


「しっかり私に捕まっていて下さいね!途中で振り落とされても知りませんから!」


「振り落とさない様に気を遣って頂いたりは…………?」


 僕は馬に乗り、目的地に向かっていました。


 僕自身、乗馬は子供の頃に牧場みたいな所で乗ったきりなので、てんで駄目ですが、その馬の手綱を握っているのはフィズさん。


 いつものメイド姿では無く、体にフィットしたボディスーツに革の防具一式、髪をポニーテールに纏めています。




 何故こうなっているのかは昨夜にまで遡ります。




 昨夜、森に向かう事をメイドさん達に伝えました。


 いつ帰ってくるかは分からないとも。


 その時、カルミアさんから「誰か従者を連れていった方が良い」と提言され、メイドさん達の話し合いの結果、フィズさんが付いてくる事になりました。


 あれ?僕、一応主なのに僕の意見は無視ですか、そうですか。


 一人だったら走って向かう予定でしたが、フィズさんと一緒だとそうはいきません。


 そこで何処からか手配された馬に乗る事になったのですが、そこで問題発生。


 僕が馬を操れませんでした。


 その結果、フィズさんが手綱を握り、僕はその後ろに乘る事になってしまいました。




 これが昨夜の話。


 現在、森迄の10kmの距離を駆け足で向かっております。


「この馬、僕が乗ってて重くないんですかね?」


「この子は元々軍馬で引退後は馬車を引いていましたから、体力と力はありますよー。その分少し速度は遅いですが、それでも一般的な馬と比べれば速いです」


「確かにかなり体格も大きいし筋肉質ですね」


 道中は特に魔獣達も現れません。


 フィズさん曰く「本来なら多少なりとも遭遇する筈ですが……」との事なので、今が異常事態なのがよく分かります。


 また、道中の雑談として「メイドさんがこういった行軍に追従してくるのはあり得るのか?」の問いに関しても答えてくれました。


「身分の高い方ならお供を数人引き連れて行くのが基本です。それに長期の任務になると、どうしても不平不満や欲求が溜まります。その為に軍として娼婦を連れて行く場合もありますからおかしい事ではありませんよ」


と。


 確かに命の危険に晒された極限状態に加えて息抜きも無い場所に何日も居続けるのは参ってしまうのはよくある事。


 娯楽の一つとしてそういう楽しみを用意するのは合理的ではありますね。


 向こうの世界なら道徳云々とか不謹慎云々言われそうですが、こちらでは常識みたいです。


 そしてこの遠征にあたり、最も気になる事を一つ。


「フィズさんって……戦えるんですか?」


「え?勿論じゃないですか?メイドの嗜みですよ?」


 いや、違う。


 僕の知っているメイドさんは戦わない。


 まぁ僕が知っているメイドさんと言えば某オタクの街のメイドさんですが…………。


「特にタイシ様に仕える私達五人はメイド界隈でも屈指の実力者ですから!」


 あぁ〜……言われてみればカルミアさんとか笑顔で人殺しそうだし(失礼)、ソルティさんも斧とか振り回してそう(失礼)。


「とは言っても私は武器の扱いはからっきしなんで、専ら援護と暗躍が主ですけどね」


 援護と暗躍って共存するものでしたっけ?


「ではどうやって戦うのですか?」


「それはタイシ様も気になっているであろう、コレです!」


 器用に片手で手綱を操りながら、太腿のホルダーから出したのは折りたたみ式のボウガン。


 種類的にはピストルクロスボウですかね?


「基本的には二人一組で、前衛の方が戦っている間、これでチクチク攻撃していきます。まぁ今回は主を盾に戦う事になるので本末転倒な気もしますが……」


「そこはしょうがないですよ。僕が前にいないとフィズさんが危ないですからね」


 所謂適材適所ですね。


 僕としても、複数に囲まれた時に少しでも引き受けてもらえたら助かりますし。


「では急造タッグですが背中はお任せしますよ、フィズさん」


「はい!後ろからタケシ様を射抜かない様に気を付けますね!」


「ははは…………それは僕も気を付けなければいけませんね!」


 本気か冗談か分からない話をされて思わず苦笑しました。


 本来であれば今から向かう先は死地。


 独り寂しく向かう道中の筈でしたが、まるで遠足に向かうかの様に笑い合いながら向かっているのは、何とも不思議な感覚でした。






 この時、僕はあんな事になるなんて夢にも思っていませんでした。

 主人公に春が来たっ!?

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