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剛士、初めて防具?を作成する〜異世界生活二日目〜

 これから先について、少しネタバレ。

 一度早いですが、本編に関連する番外編を書いた次の話から主人公以外の初の人間が登場します。

「はぁ……はぁ……はぁ…………ふぅ」


 朝日が昇った。

 太陽が顔を出し、世界を照らす。

 気温も心地好い爽やかな朝を迎えた筈だった。


 木々に覆われて青空もかろうじて見えるかどうかだし?

 そこら中に転がる牙兎の血の匂いが充満してるし?

 自分自身も返り血だらけだし?

 折角造った槍もナイフも折れて最後は素手だったから拳や足が痛いし?寝てないから眠たいし疲れたしお腹減ったし?

 めちゃくちゃ爽やかな朝ですね、このやろう!!


「……なんて、現実逃避してても現状は一向に良くならないので、とりあえず小川で血を洗い流しましょう。服、これしか無いのに…………」


 唯一残っている石の手斧を片手に、小川まで歩き、周りを警戒しながらも服を脱いで生まれたままの姿になり、まずは体を洗う。

 こんな独身男のサービスシーンなんて誰得なんですかね?


 そのまま衣服にべっとり付いた返り血を洗い流すが、付いて直ぐのものはまだしも石鹸も漂白剤も無い中で、一晩共に過ごした血糊達はどうやら綺麗になりそうに無い。


「ふむ。下はともかく、上はどちらもどす黒い赤に染まってしまいましたね。お洒落と言えばお洒落……なんでしょうか?」


 ファッションには一切興味無かったので、買う服は大体同じようブランドの同じデザインの同じ色。

 白・黒・紺・茶・灰・ベージュは最強。

 異論は認める。

 多分異論しか無いまである。


 とまぁ、それは置いておいて、靴まで洗ってしまっているので、それ等が乾くまでは代替品を用意しなければなりません。

 幸い気候的に春?っぽいので凍死はしなさそうですが、やはり現代人は服を着る生き物みたいです、落ち着かない。


「向こうに大量の皮の元はありますが、結局あれも洗って乾かしたりしなければすぐには使えませんし。出来れば鞣し革にしたいのですが、やり方をあまり覚えていませんし」


 確か、脂肪や蛋白質を取り除いてタンニンを塗って処理するとかでしたが、肝心のタンニンがありません。

 木があるのでどうにかなりそうですが、詳しくないので却下。


「とりあえず、そこら中にある草や木の枝でどうにかしましょう。紐代わりの蔦も沢山ありますし」


 現実世界……いや、こちらも現実ですね。 

 これからは元の世界をあちらの世界、ここをこちらの世界とでも呼びましょう。

 なるべくあちらの世界にもあった様な植物の葉を選び、まず軽く触ったりほんの少し舐めたりして毒や棘が無いか確認して、それで僕の僕を覆い、蔦で結ぶ。

 同じ要領でその葉を何枚か重ねて、足を覆って口を蔦で足に結び付ける。


「これでとりあえず下着に靴とかいうド変態ルックなのはさておき、まずはこれで良し。次に上着の代わりを造りましょう」


 蔦を適当な長さに切り、交互に編むようにしていく。

 腕が通せる通せる穴を確保しつつ、ポンチョの様に頭から被れる上着と、下を閉じてない(そんな技術は無い)スカートの様な物を造り上げた。


「下がスースーするのが気になりますが、思ったよりも動き悪くも無いし、ひとまずこれで完成ですね」


 次は濡れた衣服と靴を乾かす為に火を熾す。

 昨日のやり方の火熾しで懲りたので、少し時間を掛けてある程度ちゃんと道具を準備する事にした。


 まずは少し太めの枝に蔦を張り、短弓より更に小さい弓を作る。

 その際にほんの少し弦には遊びを持たせる。

 その遊びを利用して、昨日よりも太めの枝に巻き付けて、木屑を乗せた板に押し付ける。

 昨日より太い分上からしっかり押さえつけられるので、摩擦も起こりやすいでしょう。


 そして、ここらは結局これ。


「力こそパワー!!」


 上から押さえ付けながら、全力で弓を動かす。

 重労働には変わり無いが、昨日よりも短い時間で火種が出来上がりました。


 後は火種で焚き火を熾し、河原にある服を簡易的な物干しに掛けて、その周りに枝葉のテントを作って乾燥を促進させる。

 勿論、時折燃えない様に確認をしながらです。


「多分、いや絶対に煙臭いだろうけど、そこは我慢ですね」


 服が乾くまでの間、昨日と同じ様にナイフを造ったり、魚を獲ったりして過ごしました。

 牙兎達も今朝方仕留めたものだけを吟味して、内蔵を抜き処理をして小川に沈めて冷やします。

 皮が使えそうな物は鞣すのが難しくても最低限処理をして、同じく乾燥。


 日が暮れる頃にはどうにか服も気持ち悪いけど着れない事は無い。程度までは乾きました。

 煙臭いし、血の匂いも微かにしますけど、我慢我慢。


 今日は流石に少しでも睡眠を取りたいので、少し高めの木に登り、一番太い枝の上で、据わりながら寝る事にしました。

 凄惨な事になっている広場で眠れる気がしないし、血の匂いで他の肉食動物が寄ってくる可能性もありましたので。


 なんやかんやで、二日目は無事に過ごせました。

 本当に特に何事も無く。

 いや、昨日の夜から今朝に掛けての事を考えれば充分過ぎるんですが、その後は平和だったので、良しとしましょう。




 明日は少し森を散策してみましょうか。

 運が良ければ森を抜けられるかもしれませんし。

 とりあえずまずはこの小川を下流に下っていく事にしましょう。






 そんな事を考えながら眠りに就きました。

 下に集まっている動物達の気配に意識を向けない様にしながら。

 男の全裸もサービスシーン!

 異論は認めるし、作者はそうは思いません!

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