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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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剛士、飲みに誘われる〜異世界生活五十三日目〜

 指導を始めてから三日目、訓練が終わった後にオーガスト副騎士長から「飲みに行かないか?」と誘われました。

 コミュ障の僕からしてみれば「キラキライケメンとの飲み会なんて何のイジメ?」とも思わないでも有りませんでしたが、異世界で心機一転、コミュ障脱却を目指す為に誘いを受ける事にしました。


 一度屋敷に戻ってカルミアさんに、オーガスト副騎士長と食事に行く事になったと伝えると店の格式やドレスコードを尋ねられてしまい、何も聞いてなかった僕は答えられませんでした。

 呆れられながらも、副騎士長様が行くのであればある程度のお店の可能性が高いと言われたので略式礼装を見繕ってもらい、向かう事にしました。


 そりゃそうですよね。

 副騎士長と言えば会社でも幹部クラスなんですから、誘われたら安い居酒屋……居酒屋なんてあるんですかね?

 と、何はともあれ、安い店では無い事は早々に分かった筈。

 油断していたこちらの責任、危うくオーガスト副騎士長に恥をかかせるところでした。


 勿論、カルミアさんには更に幻滅されたのは言うまでもありません。




 オーガスト副騎士長と合流後、案内されたのは案の定高そうなお店。


 ていうか、キラキラ金髪イケメンの礼装カッコ良すぎません?

 同じ人間ですか、アレは。

 そうですか、異世界人ですか。


 どうやら御用達のお店らしく、店内の奥にあるVIP席みたいな個室に案内され、何があるかも分からなかったので、好き嫌いが無いのを伝え、お任せしました。


 先ず運ばれてきたのは食前酒。

 雰囲気的にイタリアンとかフレンチに近いんですかね?

 テーブルマナーは一通り習ってはいますが、失礼があるかもしれないので先に謝っておきましたが、「二人しかいないんだ。気にする必要は無い」と言っていただき一安心。

 こんなところまでイケメンなんですか、この人は…………。


 ある程度食事が進み、お腹も落ち着いてきたところで話題は僕の事に。


「先生、聞きたい事があるんだか良いか?」

「聞きたい事ですか?僕が答えられる範囲で良いなら」

「ありがとう。先生の住んでいた世界そのものなのか国なのかは分からないが、少なくともこちらの世界よりは安全だったのだろう?」

「そうですね。特に僕が住んでいた国は銃……いや、武器どころかある程度強い長い刃物を持ち歩いているだけで罰せられる様な国でしたね。国同士の戦争も僕が生まれる遥か前にあったきりでしたね」

「それなのにも関わらず、何故先生はこの国でも通用する様な……それ以上の武術を修めているのだ?必要無いだろう?」


 オーガスト副騎士長の質問は尤もですね。

 戦争をしている国ならまだしも安全な国だと殆ど必要無い、寧ろ過剰と言える人を殺す技術を何故持っているのか。

 特別隠す必要は無いので、僕はお酒の力もあって生い立ちを話してみる事にしました。


「そうか…………。平和そうに見えても裏ではいろんな事が起こっているのだな」

「こちらの世界ほどでは無いと思いますが、少なくとも一切無いとは言えませんでしたね」

「先生はその暗殺の技術をこちらの世界でも発揮したいとお考えか?」

「そんな事ありません。むしろ、しなくて良いならしないに越した事ありませんから」

「ならば騎士になってその武勇を振りたいとは思わないか?」

「ん〜…………」


 そうすればこの国のみとは言え、地位も安定するしお金に困る事は無さそうですが。


「思いませんね」

「それは何故?」

「僕は元々積極的に戦いたい訳ではありませんし、出世欲……ってこの世界でも呼ぶんですかね?向上心がとりわけ高い訳でも無いんですよ。ただ、家庭的にやっていただけで、どちらかと言えば平穏に静かに暮らしたいです」

「それは―――」

「勿体ない……ですか?でも考えてみて下さい。魔獣や魔物もおらず、他国との戦争も無い。そんな世界でわざわざ人を殺す技術を学んで、積極的に活かしたいですか?火の無い所にわざわざ火種や油を持ち込む必要はありませんよ」

「それもそうか…………。いや、すまない。どうしてもそんな平和な世界が想像出来なくてな」


 それもそうでしょう。

 生まれてからずっと魔獣や魔物・他国の脅威に怯え、平和な世界を造ろうとしている人間と、そもそもその平和しか知らない人間の認識の差が大きいのは当たり前。

 最前線に立っている力のある者ならそれは尚更でしょうし。


「今の生活も有り難いですが、正直むず痒いですね」

「専属メイドがいるのにか?毎晩選び放題だろう?」

「どうやら嫌われているみたいで…………」


 そんな愚痴を溢すと、オーガスト副騎士長は大声で笑い始めました。

 しかも爆笑。

 そんなに笑う事ですかね?


「いやぁ、すまんすまん。あまりにもおかしくてな。そもそもだ、専属メイドとして充てがわれたなら夜伽も仕事の内だ」

「そう聞いています」

「だったら何も問題無いだろう。相手がどう思おうが、主は先生だ。好きにすれば良い」

「それはそうなんですが…………」

「まさか想い人同士としか……なんてい言うのか?それは甲斐性無しだと思われるぞ?それとも先生、もしかして童貞か?」


 ぐはぁ!!

 僕の弱点を的確に貫いてくる…………。

 流石副騎士長(関係無い)。


「おいおい、マジかよ。落ち込んでいるあたり、男色とかでも無いんだろ?だったら凄まじく女運の無くなる呪いか何か?」


 やめろ、僕のライフはもうとっくの昔にゼロです。

 むしろオーバーキルした上で来世のオイラに更なるダメージを負わせている程にオーバーキルです。


「そ、そんな事よりオーガスト副騎士長?口調が変わってません?」

「あ、そうだった。寧ろこっちが素だ。一応立場的に厳格で無きゃいけないからな」

「成る程……」

「ところで先生。女が入り用なら俺が良い所連れてってやろうか?それとも俺が叔父上に頼んで見繕ってもらう事も出来るぞ?」

「叔父上?どなたですか、それ」

「聞いてないのか?俺はボルドー公爵の第二十二夫人の妹の息子、つまり甥っ子なんだ」

「え?第二十二夫人?」

「因みに叔父上は第三十五夫人までいる」

「異世界ってやっぱ凄えわ…………」

「因みに俺は第七夫人迄だからまだまだだな」

「うるせぇ!リア充爆発してしまえ!」





 そんなイケメンリア充とブサメン非リアの飲み会は夜遅くまで続きました。






 帰りが遅過ぎて、カルミアさんに小言を言われたのは言うまでも無い。

 副騎士長はあくまで甥っ子なので王族にはならず、元は平民だったが、槍の腕一本で副騎士長に登り詰めた努力の持ち人です。

 オーガストは第五隊副騎士長になった時に王様から与えられる姓で一代限りの騎士爵位になっており、姓を聞くだけで役職が分かる様になっている。

 顔面偏差値は天性のものですが。

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