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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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【番外編】剛士、いない所でも噂される

 今回は王様達の話し合いです。

 第三者視点でお送りいたします。


 本来は明後日投稿予定ですが、明日、登場人物紹介を投稿致します。

 ここは王城の会議室。

 現国王ブルゴーニュ=ローゼンが集めた国の重鎮達が並んでいる。


 重苦しい雰囲気の中、ロマネスクが口を開いた。


「皆の者、忙しい最中招集に応じてくれて感謝する。集まってもらったのは他でも無い、異世界人タケシ=オオタについてだ」


 その言葉を聞いた面々は様々な反応を見せる。


 より真剣に次の言葉を待つ者。

 何やら不穏な笑みを浮かべる者。

 忌々しげに眉を顰める者。


 それぞれの思惑が絡み合う話し合いが今、始まろうとしていた。


「陛下に代わり、宰相の私が話を進めさせていただく」


 陛下の隣に控えていた男がそう発言する。


 この国における政の実質的なNo.2である宰相ギー=アンデルセン。

 彼により、現在の状況が皆に伝えられていく。


「現在、オオタ殿には前国王陛下の別邸で過ごしてもらっております。クラリス姫殿下の()()()()()()救ってもらった恩があります。それに対して白金貨を十枚、更にこの国に滞在中は日に金貨一枚を与えると約束しました」

「それはやり過ぎであろう!」


 既に決まっている剛士の待遇を伝えるギーの言葉に椅子から立ち上がって反論したのはこの国の第一王子であるボルドー=ローゼンだった。


「ボルドーよ。タケシ=オオタの働きと存在価値ははそれ程だと余が判断した。それとも余の決定に不満があると申すか?」

「い、いえ……陛下がそう仰るのであれば…………」

「ならば話を中断させるでない。ギー、続けろ」

「はっ」


 自分の意見をロマネスクに一蹴され、渋々席に着く。


「日に金貨一枚となるとあまりに特別扱いが過ぎる。とお考えの諸侯もいるかもしれません。しかし、これまでの異世界人の知識は我が国にとって何かしらの恩恵をもたらしてきたのもまた事実。その恩恵を踏まえるとむしろ足りない程でしょう」

「だが、実際にまだ恩恵を得た訳ではあるまい。先行投資と言うにはやはり王子殿下が仰る様に高待遇過ぎるのでは?」


 先程のボルドーと同様に、しかしながらしっかりと選んで言葉を反論の声が上がる。


「ローゼン公爵。幾ら王兄とは言え、陛下の決めた事に反論するのは如何かと。先程殿下が諌められたばかりですぞ?」

「別に反対をしようという訳では無い。何にそこまで期待しているのかを詳しく聞きたいだけだ」


 宰相にそう返すのは現国王の兄であるヴェネト=ローゼン公爵。

 政治におけるNo.2が宰相なら権力におけるNo.2は現状、王子や王女では無く、彼だった。


「ギー、余の口から言おう。ローゼン卿、余が彼に期待しているのは【武術】だ」

「武術?異世界は戦が無い平和な世界なのだろう?そんな所から来た者に期待出来るのか?」

「実際に彼はクラリスを狙った無数の草原狼の群れをたった一人、しかもほぼ無傷で全て葬り去っている。そんな事が出来る者がこの国……いや、この大陸にもいるかどうか……」

「ご存知の通り、草原狼は一匹や二匹なら騎士団の新兵でも相手取れますが、それが十もいれば部隊長でも手を焼きます。それが今回百を有に超える数だったと報告されています。その数になるとある程度数を揃えなければ押し負けるでしょうな」

「ふむ……。確かにそれであれば何らかの武術を修めている。しかも、だ。明らかに我々の知らぬものだな」

「ふんっ!どうですかね?実際クラリスやお付きの騎士が嘘を言っている可能性もありますから」


 ブルゴーニュ、ギー、ヴェネト、ボルドーは口々にそう述べる。

 他にもこの場にはいるが、国のトップ達に対して早々口を挟めない。


 そう、普通ならば―――


「でしたら、いっその事奴隷契約を施して隷属させては如何でしょうか?」


 他の面々が口を挟めない中、堂々と自信を持ってそう言い切る人物がいた。


 彼の名はコロナ=サウストリア伯爵。


 本来南部地方を纏める領主だったが、偶然王都に来ており、上層部の情報を共有する為にこの会議に出席していだ。

 彼の性格は典型的な権力主義。

 下の者には強く、上の者には媚び諂う。

 国の上層部も彼の性格は把握しているが、昔から南部を守っている家系で、実力だけは確かなのもあって外す訳にもいかず、現状維持の状態だった。


 そんな彼から突拍子も無い提言がされるが、それをギーは少しオブラートに包みながらも、意見自体は一蹴する。


「サウストリア卿が仰る方法も考えました。が、しかし、現状それは悪手であると判断したので、それは行えません」

「何故でしょう?所詮、右も左も分からぬ異世界人でしょう?むしろ今が一番の好機ではありませんか?」

「彼に仕える様に指示したメイド達からは特にこの国から逃げ出したり反逆する様な素振りは無いと報告を受けています。それにも関わらず、卿の言う通り、隷属化しようとしたら―――」

「狼共に向けた牙を今度は我等に向ける可能性があるであろうな。一人で騎士団百人にも劣らないその牙が……な」

「ローゼン公爵の仰る通り、わざわざ火種をこちらが用意するのは愚策。ご理解いただけましたか?サウストリア卿」

「…………畏まりました。出過ぎた真似を……」


 サウストリア伯爵が引いたところで、他の者からも声は上がらなくなった。


「他に意見がある方はいない様ですので、以上を持ちましてこの会議を終了と―――」

「待たんか。一つ決めておかねばなるまい」

「…………何をでしょうか?ローゼン公爵」


 この場を締めようとしていたギーを遮ってまたもローゼン公爵が声を上げる。


「その異世界人に誰が指導を頼むのだ?陛下自ら……とはいかないであろう?」

「それは私が出向こうと思っております」

「だったら、儂も付いていこう。陛下、構わんだろう?」


 強引に自分も行くと宣言するヴェネト。

 彼からブルゴーニュに向けられている笑みは含みも何も無い、ただただ少年の様な好奇心と兄が弟に意地悪する、そんな笑みだった。


「…………仕方あるまい。ギー、ローゼン卿と共にタケシ殿の所へ行ってくれ。日時は一任する」

「…………畏まりました」

「任せておけ」





 こうして、ブルゴーニュとギーにとって心労の絶えないタケシの取り扱いに関する会議は終了したのだった。











「はっ、はっ…………くしゅんっ!!」

「タケシ様?お風邪ですか?」(いきなりくしゃみをするなんて……。感染ったらどうするのよ)

「い、いえ。多分違うと思います……」

「それならよろしいのですが……」(何で違うって分かるのよ、気持ち悪い……)

「…………」


 ただくしゃみをしただけで下がってしまう自分の評価に成すすべ無く黙り込むしかない剛士だった。

 王族の男性陣は全てワインの名前を借りています。

 クラリスもワインの名前から取れば良かったかなと思いましたが後の祭り。


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