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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第二章 異世界転移したけど国賓生活!?

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剛士、王様と会う〜異世界生活三十五日目②〜

 一人通された応接室は何というか、落ち着かない空間でした。

 中世ヨーロッパ風の家具に煌やかなインテリアの数々。

 あれは本物のシャンデリアなんですかね?

 電化製品が無いのにも関わらず、蝋燭等は見当たりませんが……。


 そして落ち着かない最大の要因が―――


「あ、あの〜……良かったらお座りになられたら…………」

「お気遣いありがとうございます。しかし、お客様を前に座る事は出来ません。お気になさらないで下さい」

「あ、はい……」


 そう、僕をこの部屋に案内してくれた初老の、多分見たまんま執事だろう男性。

 この部屋に入ってからはずっと僕が座っているソファの斜め後ろで背筋を伸ばして手を下腹部辺りで組んだまま微動だにせず立っています。

 こちらを見てはいないですが、明らかに僕にかなりの意識を割いているのが背中越しに伝わってきています。

 会話をしようにも、投げ掛けた内容に最低限の返答をしてまた黙り込んでしまうので、会話が弾む事はありません。


 途中、紅茶らしき飲み物を運んできたメイドさんはこちらを一切見る事無く、無表情のまま自分の仕事を済ませ、直ぐに出ていってしまいました。


(あのメイドさん。こちらを見ませんでしたが、明らかに僕の事を嫌悪していましたね……)


 あちらの世界の頃からは女性に好かれないのは分かってはいますが、こっちに来てもそれが変わらないのは主人公補正が僕に無いからでしょうか?


(まぁ、そんなものがあればそもそもいきなり森の中でサバイバルなんて事にはならなかったでしょうしね)


 よくある主人公補正強めのファンタジーなら女神様に喚び出されて、チート能力を授かった上で街中とかに転移させてもらえるし、何ならその時に年齢が若返ったり、見た目も超絶イケメンか可愛い系イケメンになる事が多い。

 けどそんな事は一切無かった僕の転移は明らかに主人公扱いされないタイプ。

 むしろモブなのでは?


 そんな事を考え出したら暗くなりそうなので、何か他の事を考えようとして、この後を考えて更に心にダメージを負っているところで部屋のドアがノックされる。

 僕……では無く執事の男性が許可を出してメイドさんが入ってくると、王様が呼んでいる事を告げられた。


 とうとうこの時がやってきましたか…………。

 執事の男性―――と呼び続けるのも面倒だからここは見た感じ立場が上っぽいし執事長と呼びましょう―――に連れられて、王城の移動が始まります。


 少し歩くと、明らかに大きく荘厳な扉。

『あそこが謁見の間とか呼ばれる所か……』なんて考えていると、何故かそこをスルーして更に歩く。


「えっと……すみません、あそこでは無いんでしょうか?」


 思わずそう聞いてしまうと―――


「あちらは謁見の間にございます。謁見の間は既に取り決めのされた事を述べる場合や挨拶の場合に使用致します。此度は貴方様の素性を陛下自らと陛下が信頼を置く数人が見定めた上で、措置を決め、改めて謁見の間にて他の者にそれを宣言いたします」

「あ、成る程……。まずは根回しを。と言うやつですね」

「お手数をお掛けして申し訳ございません」

「いえいえ、こちらこそお手数お掛けしております」


 あ、そのタイプなんですね。

 謁見の間は公に広める為の場所で、議論をするのは会議室ってやつ。


 妙に納得しながら暫く歩いていると、一つの扉の前で執事長さんが足を止めたので、それに習い僕も止まる。


「執事長のセバルにございます。只今、タケシ様をお連れいたしました」

「入れ」


 扉をノックして一声掛けた後、入室の許可が出て扉が開きました。

 それよりも僕の心の中は別の事が気になって仕方ありませんでした。


『セバルって!セバルって何!?そこはセバスでしょ!セバスチャンでしょ!』


 と、心の中で叫んでいましたが、彼は何も悪くない。


「し、失礼致します……」


 開いた扉を潜り、中に入るとそこには無駄に長い長方形のテーブルが有り、その最上座(所謂お誕生日席)には少しウェーブの掛かった白髪頭に冠を乗せる、執事長とそう年齢が変わらないであろう男性が座っていた。


「疲れているのに済まない。そこに座ってくれ給え」

「で、では、失礼して……」


 王様の指す方向にある椅子をメイドさんが引いて待っていくれているので、逆らう事はせず、そこに着席。

 僕の席の反対の列の陛下の近くには姫様が座っていました。


「改めて、長旅で疲れているであろうに呼び出して済まなかった。此度は其方の話を聞きたいが故と我が国の姫である娘の命を救ってくれたと聞いて、簡単ではあるが晩餐を共にしたいと思ってな。公の場では無いので、そう緊張せずとも良い。では、始めてくれ」

「あ、ありがとうございます」


 緊張するなって無理じゃない!?

 王様ですよ!?

 一般市民だった僕がいきなりローマ法王レベルと食事を共にって早々有りませんよ!?

 てか、そんな事しょっちゅうあってたまるか!!


 何て事は言える訳も無く、運ばれてくる飲み物や見た事も無い……事も無い料理に舌鼓を打つ。


 王様や姫様も僕の緊張を察してなんでしょうけど、時折「礼儀作法が身に付いている」とか「沢山食べるのは良い事だ」とか褒めているのか絶妙なラインの会話をしてくれるので、それにどうにか失礼の無い様に返しながら、平和的に食事が終わり、今は食後の紅茶タイム。


 ……個人的には珈琲派ですが、そこは言えませんよね。


 そしてとうとう、王様の纏う空気感が変わる。

 きっと本題に移るのだろう。






 さぁ、僕の異世界生活はどうなるのでしょうか?

 この世界では、謁見の間=(良い事でも悪い事でも)判決を言う場所。になります。

 事前に会議室等で話を纏めた上で謁見の間では予定調和として話が進む感じです。




 因みにですが、食事のイメージはフレンチやイタリアン(かなり違いはありますが)のコース料理をイメージしてもらうと一番近いと思います。


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