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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第五章 転生したけどまたまたまたサバイバル生活!?

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ゴーシィ、竜との新生活が始まる!?〜異世界生活百十五日目⑧〜

 皆さん、おはようございます。

 太田剛士改めゴーシィです。


 僕は今現在、屋根のある所で朝を迎えております。


 …………いや、屋根とか天井というか……洞窟なんですけどね?


「どうしてこうなった…………」






 時は少し遡って8日前。

 術の反動で気を失った僕は丸2日間と少し寝続けていたらしく、目が覚めたのはこの世界に来て108日目の朝でした。


 え?何で気を失ってたのに分かったのかって?


 それは簡単です。

 ゴクウさんが僕が気を失ってすぐ目覚めたらしく、森の主が僕に寄り添って寝ている状況に混乱したものの、僕も彼も目を覚まさなかったので、そのまま警戒をしながら僕が目覚めるのを待っていてくれたみたいで、目を覚ましてから太陽が3回昇ったと教えてもらえたので判明しました。


 その後、別の脅威が僕の隣にいるものの、ロックアープ達がいなくなったので、ゴクウさんは里に戻ったであろう仲間達と合流すると言う事なので、彼とはまた再開する事を約束してその場で別れました。


 困ったのはそれから。


 ゴクウさんが立ち去り、僕も川に沿って村の方向へと向かいたかったのですが森の主が目を覚まし、僕に付いてこようとし始めたのです。

 言葉が通じているのか、雰囲気で察しているのか、「離れて下さい」と言えば離れて付いてくるし、「休憩します」と言えば一緒に立ち止まってくれますが、何故か「付いてこないで下さい」と言ってもそれだけはガン無視。

 流石にこのまま村に向かうのは抵抗があったのでどうしようか悩んでいたのですが、突然襟元を加えられ、親猫に運ばれる子猫の如く運ばれるのでした……。





 運ばれた先は何と…………僕が最初にこの世界に降り立った場所のすぐ近くにある洞穴。


「えぇ……。こんな近くに竜の巣があったなんて…………」


 あの時に出会ってなくて良かった。

 いや、時期が違えど良くはないですよね。


「それで?貴方は何で僕を此処に連れてきたんですか?」


 もしかして非常食…………とかじゃないですよね?

 そんな僕の視線を感じ取ったのか、森の主は此方を見て溜息を一つ吐きました。


「あ、今「お前なんか食う訳無いだろ」って呆れましたね?それよりも僕の言葉通じてます?それとも雰囲気で読み取ってるんですか?」


 僕の問いかけに、低い声で一鳴き返してくれました。

 これは僕と同じで雰囲気を読んでいる感じですね。


「ん?少し外に出てくるんですか?」


 そんな事を伝えた森の主は僕の脱走を考える事無く巣穴から外に向かいました。


「…………で?結局何故連れてこられたんでしょう?」


 ん〜考えても全く分かりません。

 火竜と言うか、竜そのものの生態なんて知りませんし。

 そもそも何食べるんですかね、あれ。


 頭を捻って考えているものの答えなんて出る筈も無く、現実逃避も含みながら取り敢えず巣穴の中を見回してみても何も無いです。


 そうやって観察していると火竜が帰ってきた足音が聞こえてきました。


「お帰りなさい、早かったですね」


 言葉が通じてないのは分かっていますが、住処にお邪魔しているのは此方なので出迎え……ん?


「何ですか?それ」


 火竜が加えているのは僕の2倍はあるあれは……熊?

 僕の知ってる熊と違って顔が般若みたいだし、お腹にも牙生えてるんですが……。


 訝しげな目で火竜を見みると顎で熊を指しながら一鳴き。


「もしかして僕の食料ですか?」


 うん、どうやらそうみたいですね。

 じゃあ早速切り分けていかねば。

 あ、貴女も食べます?ん?生なら?分かりました。 


 そんな訳でさっさと解体して、大きめの塊を火竜に小さい方は更に切り分けて―――


「火を熾せないじゃないですか……。新鮮だから生食……は流石にリスクが高いですよね……」


 僕が頭を抱えていると背中に悪寒が走りました。


 急いでその場を飛び退くと、僕がいた場所のすぐ横に灼熱の吐息が。


 くっ……油断してました。

 やっぱり世の中そんなに甘くは無いですね。


 自分の得物を抜き放ちながら、火竜に相対しました。




 相対しましたが…………。




「あれ?何ですか?その「何をしてるんだ?」みたいな雰囲気。今僕を狙って―――え?肉?焼いてくれたんですか?」


 唸り声を上げながら首を傾げてますが、その動き竜もするですね。

 そして焼いてくれた親切心は伝わりました。


 でも…………。


「焼くとか焦げるとか通り過ぎて炭化しめるんですけど!?」


 先程小さく切り分けたは小さ過ぎる故、完全に炭になっていました。


 貴方の吐息、鉄を一瞬で溶かすんですよ?

 肉なんてそりゃ一瞬で……一瞬で……え?


「何でここの壁、赤熱すらしてないんですか?」


 明らかにおかしい。

 完全に肉を消し炭にして洞窟内の壁に当たっていた筈なのにその場所は元のまま。

 試しに近付いてみるも、特に熱気は伝わってきません。


 恐る恐る触れてみましたが―――


「熱く……ない。何故……?」


 手にはひんやりとした感触のみ。

 それに何だがこの壁ツルツルしてますね……。


「これは刃毀れ覚悟で……」


 先程抜いた波折で斬りつけると、金属同士がぶつかった様な甲高い音の後、少し小さな金属音。


「ん?二回?」


 小さい音がした方を振り向くと何やら見た事がある形状の欠片が。

 嫌な予感がして自分の手に持っている物に目を向けると―――




「あぁーー!!刃毀れどころか折れてるじゃないですかぁぁぁ!!」




 こうして僕の悲鳴が洞窟内に響き渡ったのは言うまでもない。







 尚、火竜の方から「何を馬鹿なこと……」みたいな気配がしたのは気にしなかった事にする。

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