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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、竜から逃げる〜異世界生活百日目④〜

 連続更新やふぅ!


 この話で第四章の本編は終わりになります。

 一時間後に更新する主人公不在の番外編を挟んで、新年から新章に移ります。

 森の主。


 自分の行く道に生い茂る木々を意に介さず、まるで元々何も無い様に轟音を響かせ薙ぎ倒しながら此方に近付いて来ました。




 そして、ソレはとうとう姿を現しました。



 圧倒的な存在感。

 全長は暗闇のせいで分かりませんが体高から考えると10tトラック、所謂大型トラックと同程度でしょう。

 皮膚は爬虫類と似た、しかし見るからに頑強そうな鱗を纏った四足歩行。

 背には自身の凶悪さを更に際立たせる様に並ぶトサカともヒレとも呼べない鋭い大剣の様なナニか。

 同様に爪も牙も正に捕食者のものでした。


「これが……森の主…………」


 恐竜……では無いでしょう。

 昔図鑑で見たステゴサウルスに似てはいますが、比べるとより凶悪の別の何かに思えてきます。


「あぁ、そうだ。決して触れてはいけない森の主、それがこの竜だ」


 竜。

 ファンタジー作品において、基本最上位に位置する生物。

 羽が無いのはドレイク種だったと思いますが、此方の世界ではそう呼ぶのか分かりません。


 そんな竜は直ぐに襲ってくる事は無く僕達を見下ろし、怪訝そう唸りを上げながらに辺りを見渡しています。


(何だ?此奴等は?)

(こんな所に何故虫がいる?)

(鬱陶しいな、どうする)


 そう言っているかの様に。


 彼?彼女?の聴力がどれ程か分かりませんが、なるべく刺激をしない様に静かに隣にいるレリールさんに問い掛けます。


「あの竜はどの様な攻撃を?」

「攻撃?あぁ、見ての通り爪や牙によるもの、長い尾の先端……は見えないか、兎も角尾の先端にある棍棒の様なもので辺りを薙ぎ払う。それと一番注意しなければならないのはその火炎の吐息だ」

「ブレス……ですか……」


 レリールさんの返答に対して補足する様にゾンテさんも口を開きました。


「あの種類の竜は身体の中にガスを溜める臓器がある。そのガスを吐き出すと同時に、牙を打ち鳴らして火花を熾して火炎を吐くんだ。だから火竜と呼ばれている」

「思ったより科学的な火炎放射だったでござる」


 某狩りゲーの飛んでいる火竜と違って炎弾は撃ってこないものの、ブレス自体は存在しているんですね。

 まぁ、魔法があるからブレス位ありますよね、そりゃ。


「さて、もう説明は良いだろう。それより現状をどうするかだ」

「そうですね」

「奴も今はまだどうするべきか測りかねている様子。奴から見れば私達なんて其処らの虫と大差無い。刺激をしたり此方から手を出さなければ興味を無くし、去っていくだろう」

「ただ問題は騎士達ですか……」

「奴等にも声を掛けたいが、その刺激で標的にされては敵わん。逃げ切れる保証は無いし、逃げた先の村が襲われては一溜りも無い。ここは大人しく待―――」

「うわああぁぁぁぁぁぁ!!」


 僕達が無害な生物だと、奴に取るに足らない弱者だと思ってもらう為に息を潜めてやり過ごそうも決めたや否や、一人の騎士が恐怖のあまり声を上げ、あろう事か火竜に武器を向けて斬り掛かっていきました。

 しかし固い竜の鱗はそんな物でどうする事も叶わず、甲高い金属音と共に弾かれてしまいます。


(この虫、やっぱり鬱陶しい)

(痛くは無いが邪魔だな)






(殺すか……)






「っ…………!?」


 先程迄の見定める雰囲気から一変。

 此方を、文字通り駆除する為に殺気を放ち出しました。


 少し身を捩ったかと思えば遅れて轟音と共に見えなかったスパイクの様な棘が着いた尾が現れ、木々諸共近くにいた騎士達を薙ぎ払いました。


「馬鹿野郎がっ!ヒト族に意識が向いている間に逃げるぞっ!」


 ゾンテさんが踵を返しました。

 レリールさんもそれに続き、僕もその後を追います。


 背後からは騎士達の悲鳴と火竜が暴れる音が聞こえますが、振り返っている暇はありません。


 今の内になるべく距離を……。


 そう考えていると、後頭部にピリつく様な気配。

 思わず振り返ると暗闇の中此方を見て口を開けている火竜の姿が見えました。


「っ!?二人共、この場所から離れて下さいっ!」


 僕が上げた声に二人は機敏に反応し、レリールさんは近くにあった木の上へ飛び、更に木々を飛び移りました。

 ゾンテさんは直角に道を変え、ジグザグに走ります。

 僕はゾンテさんと逆の方向へ全速力で走りました。


 直後、音源は遠い筈なのにまるで耳元で鳴らされたかの様に聞こえた牙を打ち合わせる音。

 数瞬遅れて先程迄走っていた場所に火炎が走り抜けました。

 既に二十メートル近く離れているこの場所迄皮膚を焼く様な熱波が伝わってきました。


 何とか逃げ切った…………。


 その安心が伝わったのかは分かりませんが、火竜は火炎の吐息を放ったまま顔の向きを変えました。


 まるで地を這う虫を薙ぎ払う様に。





 僕のいる方に向けて。





「ふっ……ざけるなよぉぉぉぉぉっ!!」


 それはもう全速力。

 後の事なんて知りません。


 多少枝や藪で服や皮膚に傷が付こうとも減速する事無く火竜から離れたい一心で森の中を駆け抜けました。




 真っ暗闇で、方角なんてとうに分からなくなったまま…………。







「はぁ……はぁ……はぁ…………」


 どれくらいの時間と距離を走ったか分かりません。

 兎に角、あの火竜からなるなるべく遠い場所迄行きたいと一心不乱に走っていましたから。


 気付けば辺りは見覚えの無い場所。


 …………完全に逸れた、迷子だ。


 村からローゼンの方角に向かっていた道を逸れて、ゾンテさんと逆に向かいました。

 ゾンテさんはあの道と村位置から見れば南南西に走っていった事を考えれば僕が辿り着いたのは村の西南西から西側になるんでしょう。


 気配を探っても生き物の気配はしません。

 耳を澄ませても何の音も…………いや、微かに水の流れる音が聞こえました。


 もしかしたら村へ繋がる川があるのかもしれない。

 そう思って音の聞こえた方に向かいます。


 近付いていくと、水の音はハッキリと聞こえ始めました。

 更には川の中には生き物の気配。


 マーフォーク族の誰かが見回りにきているのかもしれない。


 僕は村へと戻る手掛かりを掴む為、思わず走り出していました。


 暗くてよく見えないけど、音も気配もドンドン近付いてきてます。

 姿はまだ見えませんが、水中にいる生物は大きさも僕より少し大きく感じます。





 僕は更に速度を上げ、とうとうその気配がする川へと辿り着きました。












 この選択によって又もや森でのサバイバル生活をする羽目になる事も知らず。

 ドレイクは元々オランダ語でドラゴンの意味。

 イギリスでは羽を持たない四肢があるドラゴンをドレイクと呼んだりするそうですね。

 ワイバーンと対になる感じなんでしょうか?


 あとドラゴンのブレスは生体火炎放射器としてこの物語では考えております。

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