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ずんぐりむっくり転移者は異世界で図太く生きる〜イケメンじゃなくても異世界で生き残れますよね?〜  作者: まっしゅ@
第四章 異世界転移したけど英雄扱い!?

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ゴーシィ、魔力を感じる〜異世界生活九十五日目③〜

 冒頭の説明は科学的根拠に基づいてはおりません。

 

 あくまでファンタジー要素の一つとしてお読み下さい。

 呼吸。 


 それは動物はおろか海洋生物、植物に至る迄全てに必要とされる動作とも言えない極々当たり前な生命維持の動き。


「よく物音を立てたくない」時に「息を殺して」と表現する様に、呼吸こそ気配の原因だと言う人もいます。

 それ程、種族や個体によって特徴があり、決して生きるのに切っても切れない動作。


 しかし、僕達の様な暗殺や潜入を生業にする者にとってその呼吸は害にしかならないものなのもまた事実。


 呼吸する事で気配を探られ、呼吸する事によって毒を取り込む場合もあるからです。


 気配に関してはどうしようも無い部分はありますが、様々な毒に耐性を付けているとは言え、それを吸った事によって任務に支障を来たすのは死活問題どころか正に命の危機。

 実際、この世界に来た当初にお腹を壊して大変な思いをした事もありますし。

 あれは経口摂取なので少し違いますが、毒への耐性も当てにならないの一つの例でしょう。


 その為、訓練の一つに低酸素でも肉体を十全に動かせる呼吸法の修得がありました。


 高地やマスクの着用、人工的に低酸素環境を作り出す機会を用いてその中でいつも通りの行動を行うところから始め、最終的には戦闘迄可能に訓練をします。

 それを経て最小限の呼吸で体を動かすのに必要な酸素を取り込む事が出来る肺と、最低限の酸素で身体を通常通り動かせる肉体を造り出すのが目的でした。






 そんな事が癖になっていた僕はマリアンさんの言う通り、ちゃんとした呼吸をしていなかった事に今更ながら気が付きました。

 深呼吸をしたとは言え、吸い込んでいる空気量は他人と比べるとかなり少なめ、通常の一息程度でしょう。

 それをいつの間にか看過していたマリアンさんに指定され、改めて普通の深呼吸をしてみる事に。


 久々にしたそれは身体の隅々迄行き渡り、酸素だけで胸焼けしそうな程の濃厚さを感じました。

 何度か繰り返すと、その違和感は薄れていく代わりに別の違和感を感じ始めます。


 マリアンさんに視線を移すと彼女は此方を見ながら微笑んでいました。


「どうやら気が付かれた様ですね。それが魔力を身体に取り込んでいる証拠です」

「何かムズムズしますね。身体の中……心臓の辺りに異物が入って動いている感覚があります」

「この世界の者達は心臓のほんの少し下に臓器ではありませんが魔力が留まる場所があります。皆生まれた頃からありますので違和感を感じる事はありませんが、鋭敏なゴーシィ様だからこそ感じるのでしょう」

「はぁ……慣れる迄時間が掛かりそうです。他の異世界の方々はそんな事無かったんですか?」

「全員は分かりませんが、私の知っている中で同じ様な事を言ってる方はいませんでした。胸の辺りがほんのり暖かいとか何かを感じる……程度でしょうか」


 心臓の周りを虫が這いずっている……と言うと聞こえが悪いですが、そんな感覚がずっと残っています。

 これを「ほんのり暖かい」とか「何かを感じる」とかで済ませられる人達が嫌味とかでは無く羨ましい。

 いずれは慣れるんでしょうが其れ迄は苦労しそうです。


「慣れないかもしれませんが、それだけしっかりと魔力を感じられるのであれば次の段階も直ぐですね」


 彼女曰く魔力をよりはっきりと認識出来る方が良いとの事なので「其れなら……」と前向きに考える事にします。 


「では次の段階です。胸に留まった魔力に干渉して下さい。意識を魔力がある部分に集中させ、少しでも良いので形を変える様な感じですね」

「はい」


 既に魔力がある場所は認識出来ているので、そのまま一旦目を瞑り、言われた通り意識しを其処へと集中させていきます。

 すると、体内にある魔力の輪郭が分かり始めました。


 ほぼ球体に近い魔力の塊。

 それを先ずは左右から引っ張って楕円形にするイメージを強く意識していきます。


 しかし、どれだけそのイメージを強く持っても形が変わる事はありません。


 抵抗がある訳では無く、魔力そのものに干渉出来ていない、触れていない様なそんな感覚。


 うんうんと唸りながら試行錯誤していると見兼ねたのか、マリアンさんが助け舟を出してくれました。


「ゴーシィ様、魔力は外側から無理矢理形を変えられません。寧ろ魔力をしっかりと受け入れ、身体に浸透させる様にして下さい。そうすればすんなりと出来る筈です」

「……分かりました」


 口ではそう言ったものの、異物を受け入れる……ですか。

 中々に抵抗がある事を言われてしまいましたが、彼女が言う事ならそれが必須なのでしょう。


 魔力のみに集中していた意識を敢えて散らし、寝るのと同じ様に意識を闇に沈めていきました。


 ハッキリとしていた輪郭を一度暈す様に。

 魔力が元々身体の一部として存在したかの様に。

 違和感を当然のものとして捉える様に。


 どれ程そうしていたんでしょう。

 数秒か数分か数十分か……。


 次第に固まっていた魔力の塊が解れていくのを感じ始めました。

 更に其処から心臓が身体中に血液を送り出す様に魔力を内側から広げるイメージをしていきます。


 そうすると、球体だった魔力が形を崩し始め、最早形を保つ事も無くなり、液体の様にドロドロと溶け始めました。


 遠くでマリアンさんが何かを言っている様な声が聞こえましたが意識が沈んでいる為、上手く聞き取れませんでした。


 そのドロドロの魔力を更に柔らかく、しなやかに、サラサラに。  


 そしていつの間にか魔力は完全に意のままに動く様になっていました。

 そのまま液体となった魔力を血管に乗せ、全身を巡らせる様に拡げていきます。




 身体が一瞬燃える様に熱くなったと思った直後。




 いつの間にか僕の意識はそのまま暗闇の奥深く迄沈み込んでいました。

 何だかんだこの作品の投稿を始めてから約半年、この話で百話目となりました。

 ここ迄お読み頂いた皆様には改めて感謝を申し上げたいと共に、これからもお付き合いいただければと思います。


 まぁ、記念すべき百話目で主人公ぶっ倒れてますけど……。


 この小説が「面白い」・「続きが気になる」・「ずっと読んでます!」と思ってくれた方、是非ブックマーク・いいね・コメントをお待ちいたしております。

 そうしてくれると作者が喜びます。


 今後とも作者共々お付き合いよろしくお願いいたします。

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