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災禍の跡地と貪欲なる獣6

大事な用事が有り遅れました、すみません。

「はぁ〜きつかったぁ……」


緊張の糸が切れたアリカはへにゃへにゃと力無く座り込む、近くには倒した人型の()()が転がっているが場所を移す気力も体力も無いので構わず休憩する。


「死体の前で休憩するのは嫌だけど移動するのもなぁ……」


アリカは心身疲弊して気づかない、当たり前の様に有る身近な違和感に。


「………まって、なんで死体が残ってる?」

(私は、人型を倒しすとき【解体】スキルは使っていないから死体が残る筈が……だとしたらッ!!)


頭の無い人型の死体が泡立って蠢く、アリカは急いで立ち上がりロングソードを構える。


ジュワァ……


人型の死体は霧となって消えていくと中から全身鎧姿の何者かが這い出てくる。


「ッ!!」


最初は人か?と思い近寄ろうとするが、その何者かの顔を見たアリカは再び警戒を強める。

その何者かは、肌は無く黒い骨をしたスケルトンだった。アリカは攻撃しようとするが、スケルトンの顎が動き喋り始める。


『……私ニハ止メラレナカッタ、ドウカ、ドウカ頼ム…………

‘‘アレ,,ヲ止メテクレ………』

「…………もしかして人型に取り込まれていた不死者(アンデット)?」

(たしか、鑑定結果で英雄のアンデットを取り込んでいたってあったからソレかな?)


アンデットが喋った事に驚きながらも危険は無さそうなのでアリカは警戒を緩める。


『私ヲ倒シタ君ニシカ頼メナインダ………アノ子ヲ頼ム……』


そう言うと英雄のアンデットはサラサラと崩れていく、アリカは何もせずただじっとして話しを聞く。


『ドウカ……娘ヲ、眠ラセテクレ……』

《ネームドクエスト【無垢なる子らに憐れみを】を開始します》


英雄だった者は灰と化して風に吹かれ消えてゆく、そして最後の言葉を言いと自動的にクエストが受注された。


「……まぁ、誰かは知らないけど、見つけたら子供達の弔いくらいはするよ」


そうして人型を倒して疲弊したアリカはドロップアイテムの【バ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の封石(人)】とゆう狼の時と同じ謎のアイテムだけ拾いコロッセオを後にし、

屋敷に戻ったアリカは人型との戦いで消費したポーションを補充だけしてログアウトした。



◆◇◆◇



「ログイン」


人型を倒した次の日、アリカは残り二つのどちらに向かうか選ぶ。


「大聖堂か研究所か、どっちも嫌だなぁ……」


どうせ残り二つにも分体が居るのならばとアリカは貨幣のコインを取り出す。


「表がでたら研究所、裏がでたら大聖堂」


そう言って親指でコインを弾く、空中をクルクルと回転して弾き上がったコインは1mほど浮くと再び回転しながら落ちてくる、アリカはそれをキャッチしてコインの面がどちらか確認する。


「裏、大聖堂かぁ……」


コインをしまい大聖堂の位置を地図で確認してアリカは軽く準備をして出発する。



もう慣れた手つきで群犬形の群れを殲滅しながら霧に包まれた街中を歩く、相変わらず霧が不愉快だが長時間浴びている為だいぶ慣れてしまった。


「でも嫌なものは嫌だから早く終わらせよう」


そんな調子で進んでいると、目的地の星震教の大聖堂が見えてくる。見た目はケルン大聖堂をモデルにした見た目で二つの塔を付けた様な作りになっている。だが似ているのは構造だけで装飾なども変わっており、何より変わっているのが………


「黒い……」


大聖堂が真っ黒な色をしていたのだ。

外壁は黒く屋根は赤茶色をした大聖堂とは合わない色がより圧迫感と不気味さを醸し出している。


「ふぅ……入るか」


中は思ったより明るい。誰もいない並べられたイスが気味悪さと寂しさを生み出し、天井から吊り下げられた幾つもの巨大なシャンデリアが大聖堂内を照らしている。


「名前で警戒していたけどクトゥルフ神話要素はあまり感じないなぁ……」

(流石にクトゥルフ関連は隠すか、バラしてたら信者とか獲れないさそうだし)


そんな事を考えながら奥へ進む。見えてきたのは極彩色に輝くステンドグラス、色とりどりのガラスから漏れる光が神聖な雰囲気を醸し出している。


「これだけ見ればキレイなんだけどなぁ……」


アリカはチラッとこの場所に相応しくない異物に視線を向ける。見た目は白い卵形の物体、見覚えのある物体にコレまた既視感を感じる亀裂が走る。


「さて、今回は何が出てくる?」


ミシミシと音を立てて這い出して出てきたのは鳥の様な見た目をした分体だった。だが少し似ているだけで鳥の羽が四枚生え、足は棘を纏い捻れた鋭い爪を持っており、頭は円錐形をしており目や嘴などは無くのっぺりとした人工物感マシマシの奇妙な見た目をしていた。


「……空中戦ってマジィ?」

霧の怪物(ミストモンスター)『鳥獣型』】

《種族:分体(上級)》

HP:800

MP:⬛︎⬛︎⬛︎

防御力:0

???

???

《能力》

???

『鑑定結果』

[⬛︎ン⬛︎ー⬛︎⬛︎⬛︎チの分体。ソレは素早く、恐ろしく狂った顎で獲物を狩る]


鳥形の分体は四枚の羽をゆっくりと羽ばたかせ宙に浮き上がっていく、10mほどの高さで留まるとコチラに顔の先端を向けてきた。


「ッ……」


嫌な予感がしたアリカは武器を構える、鳥型の円錐型の頭が先っぽから四つに裂けて花の様な形になる、裂けた内側には爪楊枝(つまようじ)の様な赤い結晶の歯がビッシリと均等に並び、中心には太く尖った赤い結晶針が生えている。


「うわぁ……」(ドン引き)

『ディルルルルゥ……』


鳥型の一番太い結晶針の先端がアリカを向いて小さくプルプルと震える、嫌な予感がしたアリカは急いで近くにあった石柱の裏に隠れると鳥型が爪楊枝の歯をマシンガンのように連射する。


「やっばぁ……めっちゃビッシリ刺さってるぅ、当たったらひとたまりも無いなぁ」

(ビッシリと刺さってるのに石柱を壊せていないとゆう事は威力なそこまで高く無い?でも、これだけ連射されたら小さなダメージでも積み重なって死ねるなぁ……)


アリカは針マシンガンの連射性にゾッとしながら石柱の裏から鳥型を見る、するとあんなに沢山生えていた爪楊枝の様な歯が全て無くなっていて太く尖った針だけになっていた。


「チャンス?」


そう思って石柱から出ようとすると、鳥型の四つに裂けた顎が閉じ、まるで咀嚼するようにモゴモゴと顎を動かし再び口を開けると爪楊枝形の歯が元通りに生えていた。


「ッ!!、リロードも速いとかチートでしょ!?」


アリカは歯マシンガンが発射される前に鳥型に向かって火炎瓶を投げるが、ヒラリと簡単に躱される。


「空中に居る敵と火炎瓶は相性が悪いなぁ……」


目標に命中させて瓶が割れ、可燃性の液体に火が付いて燃え上がる特性上、空中で回避され燃え広がった炎も当たらない飛行できる敵には相性がとても悪いのだ。


「私が持っている遠距離攻撃手段は、魔法、弓矢しか無い、まずいなぁ……」


アリカはリロードの隙に矢を放つが、さも当然が如く鳥型の身体をすり抜けて大聖堂の壁に突き刺さる。


「やっぱり霧化スキルも持ってるかぁ……」

(魔法は簡単に避けられるし、どうするか……)


『ディルルゥ』

「あぶなっ!?」


アリカは石柱の裏に隠れながら鳥型にファイヤーランスを放つ。当然、そんな苦し紛れの魔法が当たる筈もなく簡単に避けられる。ファイアーランスは大聖堂の天井を一部破壊し、天井からは破片と砂埃が私と鳥型に降り注ぐ、


「………」

『………』


降り注いだ破片は小さくダメージは無いが無くとも痛いのは痛いので少しうざったい、鳥型は破片が羽毛に弾かれいるからか痛みすら無いようだ。


「………?」


まてよ……?、どうしてアイツに破片が当たる?もしかして………霧化スキルは視認した攻撃にしか使えない?


「仮にそうだとしても、どうやって意識外から攻撃しようか……」


まず魔法は無理だ、相手も魔法が脅威な事は知っているから絶対に回避される。

次に弓矢系も無理だ、撃つ時に身体を晒す以上相手の意識外から矢を放つなんて芸当は私には不可能だ。

次に剣だが……これはそもそも論外だ、相手の攻撃手段が遠距離主体である以上カウンターを狙って攻撃なんて物理的に不可能だ。

じゃあ何が残るか、それは………


「周りの物品や地形を使った攻撃……」


環境を利用する。っと言うのは簡単だがコレはあまりにも場所を選ぶ、はっきり言ってあまりにも杜撰でお粗末な計画だ。


「でも、これしか方法が無いしなぁ……」


幸い、罠に使えそうな物は見つけた、後は場所と条件を整えるだけ。


「じゃ、やるか……」


痛いからあまりやりたくないけど仕方ない。

私は火炎瓶を取り出して適当にばら撒く、火炎瓶の炎がイスなどに燃え移り地獄の様な有様に変える。


「熱ッ!!」


当然だが燃え広がった炎は、アリカ自身すら焼き付ける。床を燃やしながら広がる炎は、壁や天上に装飾された可燃性の装飾を伝って壁や天上にすら燃え広がる。


『ディルルルゥ……!!』

「ッ!!」

(壁や天上にまで燃え広がるのは想定外だけど好都合、あまりの熱さに鳥型も少しづつダメージを食らっているみたい、私には《火炎耐性7》が有るから炎のダメージはそこまで痛くは無いから問題無し!!、後は………)


アリカは石柱から飛び出し、鳥型の目の前に打って出る。


『ディルゥ!!』

「ファイアーランスっ!!」


アリカは鳥型が何か行動を起こす前にファイアーランスを放つ、ファイアーランスは鳥型に命中する事なく大幅に狙いがずれて、鳥型と真上に向かって放たれる、鳥型は命中しない事が分かると射撃準備をする。


「今外したって思った?」

『ディル……?』


鳥型はアリカのセリフに違和感を覚えるが、何故ワザと外したのか理解できず数秒固まるが、何故ワザと外したのか今から起こる事で直ぐに理解する。


ドグシャッ!!!!


突然、鈍い音と共に鳥型の真上から重い何かが降ってきて地面に墜落する。


落ちてきたのはシャンデリアだった、この大聖堂の照明として幾つか吊り下げられていた巨大なシャンデリアが鳥型を押し潰しながら降ってきたのだ。


『ディルルゥゥウ!?!?』


シャンデリアは炎の熱で融解し、溶けた金属が鳥型の羽を燃やしながら肌に食い込んでゆく。鳥型は燃えた地面と融解しながら燃えるシャンデリアとのサンドイッチ構造に挟まれ動けなくなる。


「下手な拷問より痛そう……でも加減はしないよ『ウインドカッター』」


アリカは風魔法で空気の刃を鳥型に向かって放つ、放たれた空気の刃は炎を活性化させ更に熱くなる。


『ディルルルゥゥウ!?!?』


苦痛に耐えられず悲痛な悲鳴をあげて鳥型が燃えてゆく、最後には一言も発さずパタリと力無く動きを止めて力尽きた。


「やっとかぁ………あ、やっば早く脱出しないとっ!!」


アリカは燃える大聖堂からドロップアイテムの【バン⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎チの封石(大鳥)】を拾いながら急いで脱出する、辺りは燃える大聖堂から漏れた光でオレンジ色に照らされ夜なのに明るく感じる。


《スキル《火炎耐性》のレベルがMAXになりました。これにより《火炎耐性》は《火炎無効.Lv1》に進化しました。》


「………疲れたし帰ろ」

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― 新着の感想 ―
まぁ、アレだけの炎の中に居たし……耐性がランクアッポゥしてもおかしくないか
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