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災禍の跡地と貪欲なる獣5

すみません、メチャクチャ遅れました。

無形型の分体を倒し、しばらく群犬型を倒しながら進んでいく、街並みは相も変わらず廃墟で溢れかえっているが進むにつれて霧の向こう側に巨大な影が見えてくる。


「これが……【アロガンス・コロッセオ】」


現れたのは巨大な円形の建物。所々崩れた石レンガの壁、幾つものアーチ状の穴が壁に均等に作られ、間には屈強な戦士や葉冠を被った女性などの石膏像が並べられている。


「行くか……」


内装は以外とシンプルで、上に向かう階段、観客席に向かう通路、コロッセオを中を一周する通路ぐらいしか無い。


「特に珍しいアイテムとかは無さそう………」


そうして探索していると厳重に施錠された鉄製の扉を見つけた、赤茶色の錆びで覆われボロボロになっている。


「鍵は……うん、かかってなさそう」


扉を開けた先は階段になっていて奥は暗闇が広がっている、適当な木材をアイテムボックスから取り出してファイアーボールで火を付け松明代わに使う。


「足元に注意しよ……」


降りた先は、まるで刑務所の様だった。幾つもの檻が並び人用と人じゃあ余るくらい大きな物まで様々なタイプの檻が並んでいる。


「これは……」


『あ”ぁあ"?』『がぁぁ……』『がぁっ!!』


人用の檻には錆びた軽鎧やボロ布を付けたゾンビが何匹か入っており、大きな檻には頭が二つある何かの骨が鎮座していた。アリカは頭が二つある骨に向かって鑑定スキルを使う。


「鑑定……」

【キメラ(不完全)の全身骨格】

《特性》

???

《鑑定結果》

[アロガンス帝国が実験として生み出した人造生命体。コロッセオで見せ物として飼われていたが、帝国が滅んだことによって餌が与えられず餓死した。]


「なるほど………」


アリカは大きな檻の扉を開け、キメラの全身骨格をアイテムボックスに仕舞う。


「ここにキメラの檻が有るって事は、この場所からコロッセオの舞台に行く為の道が有る筈……」


そう思い立った私は、この檻が並ぶ地下室を探索する、そうして探索していると違和感が有る場所を見つけた。


「ん?、ここだけ地面の材質が違う……他は石製なのにこの場所だけ何で木製?」


アリカは木製の地面に向かって鑑定スキルを使う、


「鑑定…」

【壊れたエレベーター】

《鑑定結果》

[アロガンス帝国で使われていた昇降機の魔導具。整備されず放置してしまった為、部品が劣化して動かない]


「無駄骨ェ……ハァ、仕方ない別の場所を探s、」


ガチャン!!


そこまでアリカが言った途端に壊れていた筈のエレベーターが急に動き出す、驚いたアリカはそのままエレベーターに乗って上がって行く。


「何で動いた?、鑑定スキルでは劣化して動かないって書いていたのに……」


そう色々考えていると、エレベーターが目的地に着いた様で、動きが止まる。着いた場所は小さな小部屋の様な場所で、出口からは舞台広場に直接繋がっている構造になっている。


「この場所に有るのは……武器や防具?て事は此処は選手の準備室?」


小部屋には様々な武具が置かれている、鑑定スキルを使ってみたが自分の武具よりかは性能が低い為、腕に付けるタイプの円形小楯だけ貰っていく。


「この小楯なら使えるかも………じゃあ行こう!」


アリカは意を決して小部屋を出る。

広場の地面は薄く砂状になっていて歩きやすい、少し視線を上に向ければ観客の居ない観客席が広がっていて物寂しく感じる。


「で、相手はキミ?」


視線を前方に戻すと、大体2mほどの大きさをした白い卵形の物体が置かれている、アリカが入場すると卵形物体に亀裂が走り粉々に砕け散る。


「ッ………鑑定!」

霧の怪物(ミストモンスター)『人型』】

《種族:分体(上級)》

HP:1500

MP:⬛︎⬛︎⬛︎

防御力:⬛︎

???

???

《能力》

⬛︎⬛︎流・剣術、霧化(使用不可)、自動再生(微)???

『鑑定結果』

[バn?⬛︎s⬛︎⬛︎⬛︎の分体。アロンガス帝国の英雄でありコロッセオのチャンピオンが不死種(アンデット)化した存在を取り込んだ事により変質している]


卵形の物体から出てきたのは人型のナニカだった、人の様に二足歩行で立ち、人の様な自由に掴む手を持ち、人の様に振る舞う()()()

だが、アレは人を真似ているが人では無い。


人に肌を覆う外殻は無い

人の肌はそれほど白く無い

人の四肢はそれほど長くは無い

人の指に赤く鋭い爪は無い、

人の顔には目と口と鼻が有る、そんな平らでは無い


そんな人を形だけ見様見真似で真似した怪物(バケモノ)

顔のパーツが全て無く、ゴツゴツと岩の様な外殻を持ち、四肢が長く赤い爪を持ったナニカが居た。


「っ!……こっちを先に来たの間違いだったかな?」


アリカは武器を構えて人型の動きを見る、アリカが構えるのを見た人型は右腕を振り上げる、すると……

右腕が波打ち泡立って真っ赤な水晶が飛び出す、一緒に腕から飛び出した筋繊維がウジャウジャと蛇の様に蠢き赤い水晶に巻き付いて行く、赤い水晶は液状化して変形していき巨大な片刃の大剣と化し、巻き付いた筋繊維は大剣の付け根に接続されホース程まで太くなる。


「気っっっっ持ち悪るぅ!?!?」


アリカは、あまりの悍ましい光景にドン引きする。

そんな風にドン引きしているとアリカが入ってきた準備室の入り口に鉄格子が降りてきて塞がれる。


「撤退禁止かぁ……キツイなぁ」


チラリと一瞬だけ閉じられた出口を見て直ぐに人型に視線を向ける、人型も閉じられた出口を見ていた様で一瞬チラリと一瞥すると興味無さげに顔の無い頭でアリカを見る。


「っはぁ!!」

『ッギィリリィ!!』


動き出したのは同時だった、アリカのロングソードと人型の結晶大剣がかち合う。


「っ!!重っっい!!」

『ギィリリッ!!』


人型の大剣を弾き返せないと分かったアリカは《受け流し》スキルを使って大剣の力を逸らして地面に受け流す。


「はぁッ!!」

『ギィリッ!?』


アリカは人型の大剣が地面に刺さった隙を逃さず左手の短剣で斬りつける。


『ギィリリ!!』

「っ!?」


アリカが振るった短剣は人型の外殻に弾かれ、その隙を人型は見逃さず左腕でアリカの服を掴んで投げ飛ばす。


「はっ!!」


空中に投げ出されたアリカは、身体を捻り体勢を整えて衝撃を和らげながら着地する。


「はぁ……」

(硬いなぁ……短剣が弾かれたのは初めてだなぁ、短剣じゃあ硬い外殻に覆われたアイツに通用しないっぽいしなぁ……どうしよう)


人型に短剣は通用しないとわかったアリカは短剣をアイテムボックスに仕舞う、代わりに火炎瓶を三つ取り出して指の間に挟んで持つ、そしてコレを………


「これでも……喰らえ!!」


思いっきり投げた。


火炎瓶は風を切る音と共に人型に命中し火炎が人型の身を包む、人型は耳障りな悲鳴を発しながら地面を転がる。


「知能が高いとは思ってたけど……地面を転がって炎を消すほどかぁ……」

『ギィリリィギガガガァギリリィ!!!!』


アリカは火炎瓶の炎を対処された事に驚き、人型は火炎瓶で全身を燃やされた事にブチ切れて更に耳障りな声を喚き散らす。


『ギィリリッ!!』


人型の左腕が変化していく、腕が泡立つ様に波打つ様にグチャグチャと音を立てて変わっていく、赤い結晶が所々飛び出し、指と指の間が繋がって無くなっていく、最終的に筒の様な形になり人型は筒状にらなった左腕をアリカに向ける。


『ギィ……ギィリリ!!』


筒状の左腕から鋭く尖った赤い結晶がマシンガンみたいに発射される、


「ッ!?まっずいっ!!」


アリカはすぐさま回避行動を取る、しかし急な攻撃に対処しきれず赤い結晶がアリカね脇腹を穿つ。


「っがぁ!?」


痛みに悶えながらも急いでポーションを取り出して傷口にかけ瞬時に再生する。


「これは、遠距離は勝ち目無いなぁ……じゃあ近接勝負と行きますかぁっ!!」


アリカは地面を思いっきり蹴って人型の懐に侵入する、人型も右腕の大剣で応戦しようとするが大剣が大きく超至近距離では上手く振る事が出来ない。


『ギィッ!?』

「やっぱり近づいたら大剣も遠距離攻撃も使えないよねぇ!!」


アリカはロングソードを人型に振るう、だが人型の強固な外殻に阻まれて擦り傷程度しか与えられない。


「っ!ロングソードでも弾かれるの!?」


『ギィリリッ!!!!』

「なっ!?」


グシャアァ!!


「かっは……っ!?」


人型は左腕を元の形に戻し、アリカの首を掴んだ地面に叩きつけて拘束する。


「こひゅッ……ふ、ファイアー、ボール!」

『ギィリリ!?、ギィリリィギィ!?!?』


アリカは呼吸が圧迫されて苦しみながらファイアーボールの魔法を人型の顔面に命中させる事で拘束から脱出する。


「ゲホッ!ゴホッ!、ハァ……ハァ…」

『ギィリリ、ギィリリ……』


アリカは息も絶え絶えになりながらも突破口を考える。

ロングソードは硬い外殻に阻まれ、魔法はダメージこそ与えられるものの外殻がダメージを大幅にカットしている、そのため有効打が与えられず持久戦に持ち込まれつつある。


「持久戦は向こうがに有利、なんとか短期決戦で仕留めないと………」


私にはMP限界とアイテムの数とゆう限界があるが、向こうは無尽蔵のスタミナにごく少量だがHPの自動回復まで持っている理不尽チートクソ野郎だ、なんとかして外殻から阻まれない場所から攻撃しないと……


「まぁ、そんな場所あるわけ……いや、あった」


肉体の構造的に外殻に覆われていない場所、


「ふぅ………じゃあ考えも纏まったし、作戦開始っ!!」


アリカは息を吐いて覚悟を決め、人型めがけて走る。人型は右腕の大剣をアリカ目掛けて横凪に振るうが、


「ヌルいっ!!」


アリカは横凪に振るわれた大剣をスライディングして回避し、人型に接近する。


『ギィリリッ!!』


人型は残った左腕でアリカを掴もうとするが、


ガァァンッ!!


「二度も通じると思わないでっ!」


アリカは左腕に装着した小楯で左腕を弾く、その一撃で小楯は壊れて使い物にならなくなったが、アリカは小楯を外して人形目掛けてぶん投げる。


『ギィリリ!』


当然そんな小楯が人型の外殻を傷つける筈も無いが、人型の意識が一瞬だけ小楯に移る。

本来ならば無意味で無価値な攻撃だが、たかが一瞬されど一瞬だけ意識を逸らせた。


「その一瞬で充分っ!!」


その一瞬に人型に急接近し、ロングソードを構える。


『ギィリッ!?、ギィリリィ♪』


人型は少し驚いた様子だが、どうせ自分の外殻に阻まれてしまう筈と余裕にかまえる、だが…


「まずは、その邪魔な左腕からッ!!」


そう宣言してアリカがロングソードを振るうと、宣言通りに人型の左腕が付け根から切断される。


『ギィリリッ!?!?』

「驚く暇なんて与えないよ!!次っ!」


人型は悲鳴と驚愕が入り混じった鳴き声をあげるが、アリカは気にせずに右腕も切り落とす。


『ギィリリッ!?!?』


人型の鳴き声がまたしても驚愕に染まる、


「『何故、切り落とせた』って思ってる?」

『ギィッ………!』


「良いよ、答え合わせしよっか?……君には剣を弾き魔法すら威力を軽減するほどの頑強な外殻持っている。けど、逆に言えばそれしか脅威じゃないけどね」

『ギィリリ………』


アリカは言葉に少し煽りを入れながら人型に言い聞かせる。


「まず、私はその外殻を貫く方法を探ったけど……結果は惨敗、次に魔法を使って攻撃してみたけどコレはそれなりに効いたけどMPが絶対に足りないからコレも失敗」

『ギィリリ……?』


「で、結論としては外殻を破壊する事は不可能だった、だから私は君の外殻が無い場所を探る事にした、結果は……聞くまでも無いよね?」

『ギィッ!!』


人型には表情が無いが、鳴き声や動作で驚愕しているのが伝わってくる。


「人型……君は、関節には外殻が無いよね?」

『ギィッ!?!?』


そう関節には外殻は無い、どんな生物にも関節には外殻が存在しない、いや出来ない。

関節部に外殻が存在すると関節を動かす事が難しく動作に制限が掛かってしまう。


「そんな生物としては‘’当たり,,前を利用しただけだよ、ね?簡単でしょ?」

『………ギリリィ』


人型は内心焦っていた、アリカの説明を聞きどうにかこの状況を打開できないか考えていた、攻撃手段を奪われ自身の体力も僅かな人型は、本能に従って生き残る事を優先に撤退しようと両足に力を込める。


『ギィッ!!!』


そうして、思い切り跳躍しようとするが飛び上がれない、何故!?と焦りながら足元を見ると両足に泥で出来た生物?が自身の両足を拘束していた。


「追い詰められた生物がやる事なんて『逃走』の一手以外あり得ないよね、私だってそうするし……だから事前に対策したよ」

『ーーッギリィ!?』


アリカは左手の魔石付き投げナイフを弄りながら人型に目線を向ける、人型は不意に跳躍を止められた事により体勢を崩して前のめりに倒れている。


「チェックメイトだよ」

『ギィッ!!』


アリカはロングソードを両手で持ち、人型の首目掛けて振り下ろす。


ズバッ!!


アリカの両手に肉を断ち切る感触と同時に人型の頭が宙を舞う、そして地面に落ちるより先に崩れて消えていった。

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