アリカ、噂話を聞く
アリカは赤毛大猩猩を倒した後、森中を道なりに真っ直ぐ進み、偶にレッドモンキーに足止めされながらも進む。
「やっと着いたぁ……あれが次の街かな?」
やっとの思いで荒れ道を進み、巨大な街の壁と頑丈そうな城門が見えてきた。
太陽は沈みかけ空はオレンジ色に染まりもう少し時間がたてば夜空が顔を見せる頃合いになるだろう。
疲れたアリカに門の左右立っているフルプレートの長槍を持った門番がアリカに話しかけきた。
「失礼、貴方は冒険者と見られるが街道を塞いでいた赤毛大猩猩はどうしたのだ?」
「あぁ……あのゴリラなら倒してきたよ、倒しちゃ駄目だった?」
「いや、我々も大事な街道を塞がれて困っていたので大丈夫だ、ようこそ【ツヴァイ】の街へ」
「あの、赤毛大猩猩を倒せる凄腕の冒険者なら歓迎するよ」
「…どうも」
アリカは疲れた表情で軽い挨拶をしながら城門を通る、【ツヴァイ】の街の建物は【アインス】の街とさほど違いは無いが偶に壁がひび割れてたり塗装が剥げレンガが剥き出しになった古い建物が混じった不思議な街並みをしている。
「なんかちょっと古いってゆうか、なんだろ?新しい建物と古い建物をリメイクした建物が入り混じった変な感じだなぁ……」
アリカは不思議な建物が混じった街並みに少し違和感を抱きながら歩みを進める。
「お、ここがツヴァイの冒険者ギルドかな?とりあえず依頼でも軽く見とこうかな…」
冒険者ギルドの内装は最初の街と同じく酒場になっているがプレイヤーが私しか居ないためか数人のNPCの冒険者が木製ジョッキで酒盛りしている姿がチラホラ見られる。
「とりあえず依頼わっと………う〜ん、あまり良い依頼が少なくなぁ…」
「そりゃあそうだろう、こんな時間だ報酬の美味い依頼はとっくに他の奴らに取られてるさ」
アリカが掲示板の依頼書を見ていると、近くのテーブルで酒を飲んでいる無精髭を生やした冒険者が声をかけてきた。
「そっか、もう遅い時間だしね……はぁ、仕方ない明日にするかぁ……」
「そうすんのが良いぜ……((グビッ))
ぷはぁ〜……ところでお前さんは初めて見る顔だが他の街から来た冒険者か?」
「そうだよ?」
「じゃあお前さんも‘‘噂,,を聞きつけてきたのか?」
「噂って?」
アリカは店員から酒の入ったジョッキ買って無精髭の冒険者の前に置く。
「お!、お前さんもわかってるねぇ〜冒険者から情報を聞き出すんなら酒を奢るのが一番だ、((グビッ))」
「で、噂って?」
アリカは冒険者の前の席に座り、冒険者から‘‘噂,,について聞く。
「ぷはぁ〜……噂ってのはな?、この街の近くに存在する森……『闇夜の森』には滅んだ王国の城があるって噂だ……」
「それだけ?」
「もちろん確証は有るぜ…お前さんこの街に来た時に妙に古い建物や古い建物に新しい建物をくっつけた様な見た目をした建物を見ただろう?」
「あぁ、あったね」
「あの建物はな?元々あった建物を再利用して作ったヤツなんだ」
「元々あった……?」
アリカは冒険者の言葉に首を傾げる。
「元々有ったっつうのは、ここには元々街が有った、それもかなり昔にな……で、調べてみたら滅んだ国が所有していた街の一つだったてわけだ」
「なんで古い建物を壊さなかったの?」
「あぁ、それは最初の領主様がめちゃくちゃケチな奴でな、街を作るのに大金がかかるのが嫌だったから元々有った建物を再利用して作ったんだぜこの街」
無精髭の冒険者は何が面白いのかわからないが、ゲラゲラと笑いながら説明する。
「で、話を戻すが…この街の領主館から古い地図が最近見つかってな、その地図によると『闇夜の森』を越えた先に王国が有るみてぇでな?その王国のお宝を探す為に冒険者が集まってんだ」
「へぇ………でも、王国は何故滅んだの?」
「さぁ?……元々の領主だった奴の日記も見つかったが、ある日を境に途絶えてたみてぇだし、街は古いが綺麗なまま残ってたから災害や疫病で滅んだわけでもねぇから突然滅んだ感じらしいぜ」
「う〜ん、ある日いきなり滅んだ……?」
「わけわからねぇが、まぁこれで噂の内容は終わりだ((グビッ))」
「まぁ、ありがと」
「お前さんも探すんなら辞めておけ、王国を探しにいった冒険者は帰ってこなかった」
「大丈夫、私は‘‘渡り人,,だから」
私がそう言うと、無精髭の冒険者は目を丸くして驚いた様子で話す。
「こりゃあ驚いた、お前さんが噂に聴いた渡り人って奴か……たしか、渡り人は死んでも生き返るんだったな羨ましい限りだぜまったく……」
「いや、渡り人もしっかり痛覚は有るから死んだ時の痛みもちゃんと有るんだよ?まぁ……私死んだ事ないけど」
「へぇ……まぁ、渡り人なら安心だな頑張れよ」
「一応、商売敵なのに応援してくれるんだ?」
「まぁ、俺は王国は探してねぇしな、((グビッ))
ぷはぁ……冒険者ってやつは『自由に生き、自由に死ぬ』そおゆう奴らの集まりだ」
「……そうなんだ」
「あぁ、俺からの有り難いお言葉だぜ……まぁ、頑張れよ」
「ん、ありがと」
「お前さん、名前は?」
「私の名前は『アリカ』他人には話さないでね、他の渡り人に知られると面倒な事になるから」
「そうかい、そりゃあ嫌だねぇ…俺は1人で酒を飲むのが性に合ってるしな……じゃあ俺の名前は『レイリー』ただの弱小冒険者だ」
「そう、じゃあね」
「あぁ、またいつか」
そうして私はレイリーに別れを告げて冒険者ギルドを後にし、宿をとってログアウトした。
ゲーム設定解説
『NPCにはプレイヤーとゆう言葉は渡り人に変換されて聞こえる、プレイヤーがNPCの事をNPCと呼ぶと住人と聞こえるが、言い過ぎると好感度が下がる』




