表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/69

饕餮と神に捧げる舞

やっと書けたよ........

饕餮はアマネを背負って木製の扉から中に入る、


「あれ?ムサシはどうするんですか?」


「あぁ、ムサシなら…」


『キシャ!』


饕餮がそう言って丸太の防壁を指差すと、ムサシがピョンと軽々しく飛び越える。


「一応それ防壁なんですけどね…」


アマネは呆れや疲れが混じった表情を浮かべる。

饕餮は、またアマネをお姫様抱っこにして村を見渡す。


「これは…村か?」


饕餮は見たのは、村と呼ぶには建物は三つしかなく、一つは江戸時代の民家を思わせる外観をした建物で、二つ目は白い外壁の蔵の様な見た目で、三つ目は入り口の前に赤い鳥居が立った神社の本殿の様な見た目をした建物だけがあった。


「アマネ、これは村なのか?」


「えっと…それについては、後で説明します」


「そうか」


「まずは、薬の準備からします」


饕餮はアマネの指示に従って蔵に向かう、蔵の中は少し埃っぽく小窓からの光しか入ってこないからか薄暗い。


「饕餮さん、少し持ち上げる事って出来ますか?」


「わかった」


アマネの指示に従い少し持ち上げると少し高い場所を漁り、棒状の何か?と木箱を取り出す。


「饕餮さん、もう大丈夫ですよ。そこに椅子があるのでそこに下ろしてください」


「わかった」


アマネを椅子に座らすとアマネは木箱から包帯と皮袋を取り出す。

アマネは皮袋を持つと小声で何かを呟く、


「『……我が手に氷の恵みを』」


するとアマネの手のひらに、氷が出現する。

アマネは慣れた手つきで皮袋に氷を入れて口を縛る。


「魔法か?」


「それに似た物ですね」


アマネは氷の入った皮袋を腫れた足首に当て、包帯を皮袋ごと巻く、巻き終わったアマネは棒状の物を手に取って立ち上がる。


「松葉杖か」


「はい、これなら一人で歩けます!」


そう言って椅子から立ち上がるアマネ、アマネは椅子から立ち上がると少し奥の棚から、すり鉢を持ってくる。


「よいしょ」


アマネは机の上にすり鉢を置き、森で採取した薬草、水を加えて混ぜる。


『キシャ〜』


「ん?」


ムサシの鳴き声が聞こえた為、目を鳴き声のした方向を見ると、小窓から頭だけを覗かせたムサシが「まだー?」と言いたげに鳴いていた。


「もう少し待て」


『キシャァ…』


アマネは、すり鉢の棒を絶え間なく動かし中の薬草が緑色のドロドロした物体になると、ソレを瓶に入れて蓋を閉める。


「これで一応薬はできました」


「そうか、さっそくお祖母様に飲ますのか?」


「いえ、まだですね」


「そうなのか」


アマネと饕餮は蔵から出ると江戸時代の民家の様な建物に向かう。


「つきました」


アマネは民家に着くと急いだ様に奥に向かう。


「…やっぱり少ないけど、仕方ないか」


饕餮がアマネに追いつくとアマネは厨房の様な場所で火を炊き、何かご飯を作っている様だった。


「何を作ってるんだ?」


「あぁ、お粥ですよ」


アマネは出来たお粥に先程の薬を混ぜる。


「ついてきてください」


「わかった」


お粥を持って歩き出すアマネに饕餮もついて行く、


「お祖母様入りますよ」


アマネがお祖母様の居る部屋の襖を開けて中に入る、そこに居たのは苦しそな大体70歳くらいのお婆ちゃんだった。


「ゴホッ!あぁ…アマネ生きてたのかい」


「はい」


お祖母様は敷布団から上半身だけ起こしてコチラを見る。


「して、其方の御仁は?」


「はい彼は饕餮と言いまして私を助けてくれました」


「そうなのか、感謝するよ。オレの名はウメと呼んでけれ」


ウメは饕餮に頭を下げる。


「饕餮さんが薬草の採取も手伝ってくれたので薬も作れました、さっそく食べて下さい!」


アマネは皿に入ったお粥をウメに渡す。ウメはお粥を受け取ると箸を使って食べる。


「ありがたいなぁ…」


ウメはお粥を半分ほど食べると皿を置いてアマネを見る。


「して、アマネ。お前その怪我はどうした」


「これはその…」


アマネは気まずそうに今までの事を全て話す。


「そうか……饕餮と言ったか、アマネを助けてくれて感謝する」


「人として当然の事をしたまでだ」


「そうか…何かお礼でもしたいがの…」


饕餮は感謝は不要とばかりに言う。


「それならば、アマネに聞きたいことがある」


「なんですか?」


「何故お前達だけが、この村にいる?」


この村とも呼べない場所に高齢の女性と若い女性だけが住んでいるのは、あまりにも不自然。しかも他の人が居る形跡も無い。


「…わかりました、説明します」


アマネは真面目な表情で話しだす。


「私達は、この場所に舞を納める為に来たのです」


「舞?」


「はい、あの神社の神に年に一度舞を捧げる契約があって沢山の護衛を連れて来たのですが…」


アマネは顔を青ざめて少し体が震えながらも喋る。


「私達は50名の護衛と物資を乗せた馬車で渓谷を進んでいたんです、けど渓谷の半分程進んだ頃にアレに襲われたんです」


「アレ?」


「ワイバーンです、ワイバーンは当然空から降りてきて私達の馬車を襲ってきたんです。護衛も応戦したんですが…大半の護衛は恐怖で逃げ出して…」


「そうか…」


「私とお祖母様は少量の物資を持って命からがら逃げ出したんです。だけど、お祖母様はその時の傷のせいで風邪にかかってしまい仕方なく森に…」


饕餮はアマネの話を聞いて真面目な顔で考え込む。

そんな饕餮を無視し、ウメは険しい顔でアマネを見て口を開く、


「そうじゃ、アマネよ」


「なんでしょうか?」


ウメがアマネに真面目な声色で話しかける。


「その足でどうやって舞を踊るのじゃ」


「そういえば…」


アマネの顔が顔面蒼白になりながら足を見る。


「ど、どうしましょお祖母様!?」


「落ち着かんかいアマネ」


アマネは慌てた様子でウメに聞く、そんなアマネを饕餮は見ながら喋る。


「……少し良いか?」


「どうしたんじゃ?」「は、はい!」


「神に捧げるのは巫女の舞以外でも良いのか?」


「え、えっと神様を楽しませるのが目的なので、できるなら巫女の舞以外でも良いですね」


「そうか…なら俺がやろうか?」


「えぇ!?」「お主、できるのか!?」


アマネとウメが至極驚いた様子で饕餮を見る。


「武舞ならな」


「武舞ってなんですか?」「お主武舞ができるのか…」


ウメは少し考える素ぶりをする、


「じゃあ頼めるかの?」「良いんですかお祖母様!?」


「わかった」


「アマネ、アレを持ってこい」


「アレ?」


「舞用のアレじゃ」


「そっかアレですね!」


アマネは急いだ様子で部屋から出ていく、戻ってくると何か服の様な物を持っていた。


「はい、コレです!」


「コレは?」


「男性用の舞服です!」


アマネに渡された服は和服に近いが袖は長く全体は黒色で金色の装飾がされた派手な和服、それと赤い色をした鬼のお面だった。


「そうか…」


饕餮は服を受け取り、部屋を出て着替える、着替えて外に出ると夕方になってオレンジ色の空が目に入る、外には既に準備を終えたウメとアマネ、暇そうなムサシが待っていた。


『キシャ…』


「アマネから聞いたが本当にグリム・マンティスをテイムしとるとはな…」


「あはは…じゃあさっそく行きますか!」


アマネとウメについて行き神社の本殿の中に入る、中は意外と広く、一番奥には祀って居る像が置いてあった、見た目は二本の角の生えた金剛如来像に見える。

饕餮は如来像の前に両膝をついて手を合わせる。


「今回は巫女が怪我をして舞が踊れなくなってしまいましたので、私が代役を勤めます。いまだ修行中の身ですが、お納めください」


そうして饕餮は立ち上がり腰の刀を抜く、右手に刀を持って刃に左手の手のひらを当てる。


「お前ならいけるだろう【ファイヤーボール】」


饕餮は抜き身の刀身に撫でる様に炎を放つ、刃が炎を纏う。


「ふぅ…」


饕餮は力を抜いて息を整える。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜アマネ視点〜


私の目の前で一人の赤鬼が炎の刀を持って舞う、赤鬼が刀を振うたびに炎がまるで線を描く様に遅れて追従する。


「はッ!!」


赤鬼の足が力強く地面を蹴る、そのたびに空気が震えて火の粉が舞う。

私には武術はわからないが綺麗だと思った。声を出す事すらも無粋に感じ、終始無言で赤鬼の気迫に圧倒されていた。


赤鬼は刀を振るう、その度に炎の華が咲き誇る。散った火の粉が、まるで桜の花びらが散る様子を幻視する。


そして赤鬼が舞の終わりに納刀するまで、終始圧倒され舞の内容は殆ど覚えられなかった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


《スキル《舞1》を獲得しました。》

《スキル《魔法剣1》を獲得しました。》

《称号《鬼神の祝福》を獲得しました。》

《称号《赤鬼》を獲得しました。》

《称号《圧倒する者》を獲得しました。》


「ふぅ……」

(ふむ、ここの神は鬼神だったのか…まぁ祝福をくれたから気に入ってもらえたようだな。)


饕餮は息を整えてアマネとウメに向き直る。


「これでいいか?」


そう饕餮がアマネとウメを見ると、そこには口をポカンと開けて目を大きく見開いたまま固まったアマネとウメが居た。


「…大丈夫か?」


饕餮が声をかけるかとハッ!とした様に正気に戻る。


「す、すごいです!」「まさか、ここまで腕が立つとはな…」


「まぁな…」


饕餮は少し気恥ずかしそうに答える、


「……うむ」


饕餮は難しい顔で考え込む。


「どうしたんですか、饕餮さん?」


「いや、な残りの問題をどうするか考えていた」


「残りの問題?」


「まず食料問題」


「ッ!!」


「これについては、俺が森で野生動物を狩ってこればいい」

(あの森には、虫モンスター以外にもイノシシやシカといった野生動物は普通に生息していたのは確認済みだ)


「……良いんですか?」


「問題ない」


アマネが申し訳なさそうに聞くと、饕餮は普通に答える。


「二つ目の問題、ワイバーン。コイツが一番の問題だ」


「そうですね…」


「しかし現状、俺とムサシで倒そうにもレベルが足らん」


『キシャァ……』


ムサシが落ち込んだ様子で鳴く、


「だから修行を始める」


「?」『キシャ?』


「ワイバーンを饕餮する為に森でレベル上げだ、」


『キシャ!!』


「アマネ、しばらく世話になるが、良いか?」


「はい!!」


饕餮はアマネに右手を差し出す。


「これからよろしくたのむ」


「こちらこそよろしくお願いします!!」


『キシャ!』


アマネが饕餮の手を握り、ムサシは嬉しそうに鳴いた…

最近忙しくなって、あまり書けなくなりそうです.....

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ