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饕餮、森での激闘

〜〜饕餮視点〜〜


「ログイン」


ログインした饕餮はアリカに採掘した鉄を送り、何をしようかと考えながら街中を歩く、


「あれは…」


ふと、目に付いた店を見つける、周りの建物よりも古くて外に有る偶然見つけた小さな看板で辛うじて店とわかるぐらい、外観は木の板を何枚も無雑作に貼り付けた様な見た目をして、どことなく昭和の駄菓子屋の様な雰囲気を感じる。


「はいってみるか」


饕餮は今にも壊れそうなドアに手を伸ばす、ドアはキィっと耳障りな音を鳴らしながら開く、店の中は思ったよりも綺麗だが薄暗くて飾り気の無い内装だった。


「いらっしゃい、こんな骨董品しか置いてない店だけど良かったら見ていっておくれ、」


店内を少し見ていると小汚く布を何回も縫った跡の付いた服を着たお爺さんの店主が声をかけてきた。


「あぁ、少し見させてもらう」


商品は、使い方の不明な掘り出し物、壊れた中古品、古臭い服など色々な物を売っている。饕餮は識別スキルを使いながら商品を見ていく、


「これは…」


饕餮が手に取ったのは錆びたルービックキューブの様な見た目をした物体だった。


「識別……」


『⬛︎⬛︎の魔⬛︎具』

使用者の魔力で起動し、ラ⬛︎⬛︎⬛︎な⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎する道具。


「見えない?…識別スキルのレベル不足か」


饕餮はソレを軽い興味で買う事にした。


「店主、コレを買いたいのだが…」


「あぁ、ソレなら――ゴールドだ」


「わかった」


饕餮は店主にゴールドを払い店から出る、


「さっそく使ってみるか…」


饕餮はソレに魔力を込める、すると赤い光を発しながらガチャガチャと動き始めて急に分解し中から小さな魔法陣が飛び出す。


「ッ!!」


魔法陣は赤い光を放ちながら回転して饕餮の足下に広がり饕餮の視界が赤色に染まるそして……


「ッ!なにッ!?」


カッ!!



「!?……ここは、」


赤い光が収まると目に入った光景は森だった、緑の草木が生い茂り巨大な木が太陽の光を遮り薄暗くなっている。


「どこだここは、ッ!道具!」


ハッとした饕餮が買った道具を見ると、砂の様になりサラサラと風に飛ばされて消えた、


「一度限りだったのか…」


饕餮が砂になった道具が風に消えるのを見ていると、草木がガサガサと揺れる、


「ッ!敵」


草陰から現れたのは車サイズのカナブンだった、だが普通のカナブンとは違い顎があり頭にはスパイクの様な棘が四つ生えていた。


『カチカチ!!』


「ッ!!」


ドガン!!!!


草陰から現れたカナブンは饕餮を見ると顎を鳴らして突進してきた、饕餮は突進を横に素早く飛び退く事でかわす。回避されたカナブンは木にぶつかりミシミシと音を鳴らして木が倒れる。


「速い!」


饕餮はアイテムボックスから初心者の剣を取り出して構える。


『ギギ!!』


「フッ!!」


饕餮はカナブンの突進をギリギリで避けながら初心者の剣で切りつけるが、外殻に阻まれて剣が弾かれる。


「チッ!鋭さが足りないか【短縮】【ライトニングボール】」


饕餮が雷魔法を放つが、これも外殻に弾かれる。


「魔法も弾くのか…」


饕餮はカナブンを観察して外殻が無く、致命傷を与える場所を探す。


「外殻が無い場所……身体の節目は外殻が無いが致命傷となると……胸部と頭部の間か、」

(だが、致命傷を与えるには初心者の剣ではダメージが足りない…)


饕餮は思考しながらカナブンの攻撃を避ける。


「俺が使える攻撃の手札は、剣術、体術、『雷魔法』……雷か、」


饕餮は何かを思いき、その為の準備を開始する。饕餮は大木の側に立ちカナブンを挑発する。


「来い、」


『カチカチギィ!!!』


カナブンは避け続ける饕餮に苛立ちを募らせ頭に血が上り猛スピードで突進する。


「今!」


饕餮は大木を蹴って三角跳びでカナブンの突進を上空に避けた、カナブンは勢い余って大木に頭をぶつける。


「ふッ!!」


『ギギ!?』


饕餮は空中で体勢を整えてカナブンの上に落下しがらカナブンの頭部と胸部にある間の節に初心者の剣を突き刺す。カナブンは少し驚いた様子を見せるが、すぐに激昂する、饕餮はそんなカナブンの上から飛び退く。


「やはり致命傷にはならないか…」


『ギギィィィィィイ!!!!』


カナブンは顎を鳴らして饕餮を睨みつける。


「だが、目標は達成した。これで最後だ、【短縮】【ライトニングボール】」


『カチカチ?』


カナブンは、また同じパターンかと思いながら突進の準備を開始する。饕餮の放った雷の球はカナブンに刺さった初心者の剣に引き寄せられる様に当たる、すると…


ビリビリビリビリビリィ!!!!


『ギギィィイィイィイィ!?!?!?』


カナブンの身体の中に電流が走る、


「頑丈で剣も魔法も弾く外殻でも内側から攻撃されたら意味は無い」


饕餮が利用したのは避雷針の原理だ、雷を集めて地面に逃す原理を模倣し、外殻に阻まれ無い様に節目に初心者の剣を突き刺し避雷針代わりにし、そこに雷魔法を流してカナブンの体内を焼く事で饕餮は致命傷を与えた。


カナブンは防御不能な一撃を重要な器官が詰まった体内で食らい奇声を発しながらポリゴンの光に変わる。


「ふぅ……」


饕餮はカナブンなドロップ品をアイテムボックスに仕舞う。


「一度、息を整ッ!!さすがに暴れすぎたか…」


饕餮はこちらに向かって来る複数の音を聞く、すると草陰や木の上から四体の虫が現れる。


「カナブンが四体か…厳しいな」


饕餮は苦虫を噛み潰した様な顔をする。


「まともな装備も無く格上を四体…フフッ、コレも自業自得か…」


初心者の剣は先程の電撃で黒焦げになって折れ、自分の使える攻撃手段は魔法か徒手空拳しかない、


「俺のレベルで、あの硬さに装備も着けてない拳でダメージを与えられるとも思えない……()()、か…」


饕餮は拳を構える。


「せめて一矢報いさせてもらう!!」


そう宣言するとカナブン達が一斉に突撃してくる。


「’’迅脚(じんきゃく),,」


饕餮は跳躍して一匹のカナブンの背中を蹴り飛び越えて回避し地面に着地する。


「’’鎧貫(よろいぬき),,」


饕餮は勢い余って地面に突き刺さったカナブンに拳を放つ、


『ギギィ!?』


カナブンの外殻を貫通した拳の衝撃が体内を傷つけ、その痛みにカナブンが奇声を上げる。


「鎧貫でも少量のダメージか、」


饕餮が殴ってカナブンは平気そうに苛立ちながら立ち上がる。


「やはり人間用の技ではダメージが通りにくい」


すると、カナブン二匹が(はね)を広げる。


「なんだ?」


カナブン二匹は広げた翅を動かして突風を作り出す。


ゴォォォォォォ!!


「くっ!?」

(身体が風で上手く動けない!迅脚も足を取られて吹き飛ばされそうだ……ッ!)


饕餮は吹っ飛ばされない様に体勢を低くする。そんな隙をカナブン達が見逃すはずなく…


『ギギ!!』『カチカチ!!』


別の二匹が動けない饕餮に攻撃を仕掛ける。


「くッ!」

(ッ!、ここまでか…!!)


そう饕餮が覚悟を決めようとしたとき、


ピロン♪


「なんだ…フレンドチャット?」


饕餮は迫り来るカナブンを放置してフレンドチャットを開く、


アリカ:サプライズプレゼント!!

アリカ【アイテムを受け取りますか?】


(フッ、アリカの奴め……感謝する!)


饕餮は迷い無くアイテムを受け取る。


『ギギィ!!!』『ギギギィィイ!!!』


饕餮にカナブンの噛みつきが届きそうになる、すると…


チャキン!!


っと音が鳴る、そして饕餮の眼前に居たカナブン二匹の首がゴトリと落ちる。


「’’断頭(だんとう),,」


饕餮は平然と何事も無かった様に立っていた、その右手に刀を持って、その刀の透明な刃が水に絵の具を垂らしたかの様に色が変わっていく、透明から美しい黒色に…


『ギギ…』『ギギ……』


残りの二匹のカナブンは翅を動かす事も忘れて困惑していた。


「次は貴様らだ」


饕餮が刀をカナブン達に向ける。

途端にカナブン達は底知れない恐怖を感じる、このままじゃやられる!と思ったカナブンが再び翅を動かし始める。


『ギギギギィ………!』


饕餮は刀を上に振り上げる様に持つと刀の形が変わっていく、普通の刀のサイズから幅は変わらず刀の長さだけ変わっていき2mくらいの大太刀に変わる。


「我流剣術、奥義…」


饕餮は鞘を使わずに大太刀で抜刀の構えをとる。


『ギギ!!』『ギギィ!』


一匹は突風を起こし、もう一匹は突進を仕掛ける。

饕餮は全身の力を込めて抜刀する。そして……




「’’風断(カゼタチ),,」



饕餮の眼前全てが一刀の元に切り伏せられる。


饕餮を噛み殺さんとしたカナブンも饕餮を吹き飛ばさんとした突風すらも切り裂かれる。


『ギギ…ギ…』


残ったカナブンも翅や足を切り裂かれ、満身創痍になり動けなくなっていた。


「………」


饕餮は無言で大太刀を構え、介錯をするかの様に大太刀をカナブンの首に振り下ろす。カナブンの頭がポリゴンを撒き散らしながら宙を舞う。


「ふぅ……」


饕餮は大太刀を普通の刀に戻して納刀した。


「いい戦いだった…」


そうして饕餮は森の奥に歩みを進める………

饕餮が使ってしまった道具

【転移の魔導具】

使用者の魔力で起動し、ランダムな場所へ転移する道具。

饕餮の技解説

【迅脚】

縮地とか、その他もろもろを組み合わせた歩法。

地面での加速や跳躍強化の他に壁を数歩だけ走れるが、使い過ぎると足を痛める。

【鎧貫】

色々組み合わせた正拳突き

殴った相手の身に纏った鎧などを貫通して衝撃を体内に送る技。

【断頭】

饕餮のオリジナル剣術

相手の首を一瞬で断つ技、全身の力を一気に刀に集めて解放して抜刀し、反応できない速度で首を断つ。

超至近距離かつ単純な動きの相手にしか使えない。

【風断】

饕餮のオリジナル剣術奥義の一つ

大太刀を使った抜刀術で、技術と力技の合わせ技。

大太刀を全身の力を強制的に120%引出して抜刀の技術と合わせて使用するため大抵の物は斬れる。現実でやると限界を超えた代償に全身筋肉痛や筋肉の断裂、腕の脱臼、骨折などするため気軽に使えない。


『モンスター解説』

カナブン、名前は【大鎧コガネムシ】

硬さを活かした突進と顎による噛みつきが得意、硬さだけなら【ゴブリンジェネラル】クラスあるモンスターで饕餮のいる森では、かなりの強さのモンスター、偶に四匹で群れると、厄介な連携をしてくるようになる。

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