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東京大震災

作者: ジイゴロウ

日々の暮らしの中、突然襲ってくる危機がある。

東京大震災 迫りくる危機


第一話  高層ビル


穏やかな月曜日、新宿にある五十階建ての

ビルの三十八階に勤務している


私、早川美知子|(二十三歳)は

開発促進チームの一員として働いていた。


チームはチーム長の山崎課長、柴田係長、

風間係長、大学の先輩の山田芳子主任、

同期の戸田サチエちゃん、後輩の谷口紗奈、

京塚絵里香ちゃん達との七人でした。


いつもの朝のように「お茶をいれてきます」

と後輩二人は腕を組んで給湯室に行った。


山崎課長と柴田係長、風間係長の三人は今日

の業務の打ち合わせをしていた

山田先輩と私はパソコンを開き仕事の準備を

しようと、カーソルに手を伸ばした。


次の瞬間、突然、“ドン”と下から突き上げる

強い衝撃と共に一メートル位と思えるほど


身体が宙に浮きその後、激しく床に叩き

つけられた。


息が瞬間、止まり激痛が走り「ウー」と思わず

呻いた。


ビル全体が大きく揺れて、天井の防火板が

所々で落下し照明が消え、スプリンクラーの

配管が破損し、水がしたたり落ちた


整頓されていたフロアはメチャクチャに

なった。


三十八階のフロアには各チームや部

、課があって二百名ほど働いていた。


あちこちから悲鳴や唸り声が聞こえてきた。


「みんな大丈夫かー」と課長の声がした。


柴田係長はデスクにぶつけたのか額から

出血していた。


「給湯室の二人は」と課長が言い、

山田先輩が「私、見てきます」と、

ふらつきながら出ていった。


その時ビル全体が、ゆったりと右や左に

揺れ出した。


高層ビルが共振動しだしたのだ。


ビル全体が、まるで大きなブランコのよう

に揺れ、軋みをあげ、ぶら下がっていた

天井の防火板や蛍光灯を落とした。


コピー機やロッカーが右や左に移動する。


「キャー」「助けてー」と悲鳴が聞こえる。


事務器具のぶつかり合う音でフロアは騒然と

なった。


窓ガラスも一部割れ、外の景色もゆったりと

左右に揺れて見えた。


やがてビルの揺れも次第に治まり騒然とした

物音や悲鳴も少なくなるにつれ、お互い助け

合う声や「救急箱」「大丈夫か」と

励まし合う声がしてきた。


そんな時、ふらふらと山田先輩が後輩二人を

連れてもどって来た。


「紗奈ちゃんがお湯で火傷をしました。」


後輩二人は泣きじゃくるばかりで、倒れた

ロッカーから何とか救急箱を取り出して

柴田係長の額の手当をした。

紗奈ちゃんの火傷した箇所に

軟膏を塗って包帯をしてあげた。


落ち着いてくると先ずはこのビルから脱出

することが第一、と誰もが思った。


「よし、とりあえずビルを出よう、

エレベーターは使えないだろうから非常階段

で行こうと課長が言った。


火災報知機のベルが鳴り続けていた。


課長がヘルメットと防災バックを

皆に分けて歩き出した。


床に落ちていたハンドバックを拾うと

非常階段へ向かう。


非常階段は、南、北側の二箇所にあった。


私たちは一番近い南側の非常階段へと急いだ。


非常階段のドアを開けると既に上階からの

避難者達が列をなしていた。


誰もが恐怖でこわばった顔をして出血した


人やびっこをひきながらの人や呻きながらの

人や泣きながらの女子社員などで、

ごった返していた。


「おお、山崎君無事か?」四十五階から

降りてきた開発部長の野田さんの声がした。


小川専務と秘書の田辺さんと一緒に

避難してきたのだ。


「はい、何とか」と課長が言い、


「おう、そうか、とにかく外へ出よう、

行こう」と部長がいった。


「はい」と、私達は列の中に入った。


階段を降り始めたその時、

突然「グラッ」と余震が起きた。


”ゆら“とビル全体が揺れ始めた、


又、共振動が起きたのだ。


気持ちの悪い揺れで、皆な悲鳴を上げ

階段の手摺りにしがみついた。


ビルは又、ゆらりゆらりと揺れ始めた、


上の方から壁の一部の破片やら携帯までも、

バラバラと落ちてきた。


家族の安否確認する為、携帯を操作しながら

階段を降りていたのだろうが突然の

揺れで思わず落としてしまったのだろう。


窓の外の景色は左右に揺れて見え、

首都高速の道路上で車両が黒煙をあげていた。


時折、ガラスか何かの破片がパラパラと

落ちてきていた。


揺れが大分収まってきた。

又、皆な少しずつ階段を降り始めた。


階段は所々、破損の箇所もあった、

みな注意深く降りていった。


何とか三階迄降りた時、突然

、階段が渋滞して騒然としていた。


課長が「おーい!どうした?」と下に声を掛

けると、「一階のフロアに人が一杯で、もう

降りられないようです」


「外へはまだ危険で出られないようです」


と返答がきた。


ガラスや破片がまだ落下しているようだ。


一刻も早く外へ出たくとも、まだ危険が

一杯で出るに出られないようだ。



私の父は五年前、病で亡くなり母の友子との

二人暮らしであった。


母の安否を確認しようと携帯をかけても「プ

ー」音ばかりで通話不能でラインメールを

かけるがラインも不通だ


SMSで「お母さん無事?」とメールをする

が返信がない。


「どうしているかな?」と、不安と

心配で胸が一杯になった。


私には大学時代のサークルの先輩で

滝川慎吾という恋人がいた。


彼の実家は新潟で、単身、千住仲町にある

アパートで暮らしていた。


彼は麴町にある東都通信社に勤務していた。

勿論、彼とも携帯電話は繋がらない。


怪我などしていないだろうかと

心配になった。


ガラスの落ちた窓からは救急車や消防車や

警察車両のサイレンが鳴り響き、

騒然としている様子がうかがえた。


外の危険が減り始めたのか避難者の列が少し

少しづつ動き始めた。


一階のフロアに出ると、そこには怪我で動け

ない人達が横になっていた。


その人達の間を抜けてビルの外にでた。


「私は全員が避難したのを確認してから帰宅

するので、君たちはそれぞれ気を付けて帰り

給え」と小川専務が言った。


野田部長が「私もご一緒します。」と言った。


「私も残ります」、と山﨑課長が言い私達に、

「君達は気をつけて帰りなさい。」と言って

くれた。


「はい、それではお先に失礼します」「皆さん

お気をつけて」と挨拶した私に山田先輩が


「それじゃ、美知ちゃんも気をつけてね」と

言って、小走りに新宿駅の方へ急いだ。


風間係長が「美知ちゃんは江戸川区だろう

多分電車も止まっているだろうから徒歩で帰

るしかないよ、四谷まで一緒に行こう」とい

った。


「はい」と共に歩き出した。


私の自宅は、江戸川区船堀にあった。

風間係長の自宅は、葛飾区亀有にあったので

途中まで一緒の方向だ。


靖国通りを共にあるきだした。


携帯電話の検索機能は使えていた。


検索すると「徒歩十七キロ、所要時間、

三時間三十五分」と表示された。


この先、どのような状況なのか不安で一杯だ。

どんな障害があるのか想像も出来ない

状況の中、歩きはじめた。


新宿ビル街をぞろぞろと大勢の人達がそれぞ

れの方角に歩き出していた。


私も不安な思いで一杯のまま人波に交じって

いった。


携帯電話は音声通話は相変わらず不通。


だが検索とショートメール機能は利用できて

いるようなので少し安心出来た。


広い靖国通りも帰宅を急ぐ避難者でセンター


ライン辺りまで一杯になっていた。


警察官が「中央の車線を空けてください。

緊急車両が通ります。」と指示していた。


依然として音声電話は通じないのでメールを

母に何度も送信していた。


「お母さん無事ならメールください」、「私は

徒歩で帰宅中」とメールする。


家々の破壊された瓦礫やガラス破片が歩道に

散らばっている。


怪我人や動けない人が車道にまで出て、横に

なって呻いていた。


左方向の大久保方面で火災が発生したのか

黒煙が上がっていた。


消防車や救急車のサイレンが聞こえていたが

渋滞でなかなか進めないのか同じ方向で鳴り

続けていた。


パトカーはマイクで「道を開けて」と叫んで

いた。


車両は全くノロノロ運転しか出来ない状況で

しかも緊急車両以外の車が侵入し、警察官の

指示を無視していた。




第二話 避難者


滝川慎吾の勤める通信社内も激しい揺れが

治まってきたが、社内は騒然となっていた.


「滝川、直ぐに麴町警察署へ行きこの地震の

詳しい状況を収集してこい」と雑然とした机

や椅子の間から佐々木デスクの声がした


麴町警察署は通信社から百メートル位の処だ

「分かりましたデスク」と


慎吾は急ぎ、防災ヘルメットを付け携帯をも

って飛び出した。


路上に負傷した人達が座り込んだり飛び出し

てきたりしていた。


慎吾を見て助けを求める人もいたが、とにか

く警察署を目指して瓦礫を避けて小走りに進

んだ。道路は避難する人達が右往左往してい

た。


後方には黒煙が上がっている。


道路が混雑していて消防車がなかなか行き着

けないらしい。


警察署内も助けを求める人達で騒然としてい

いた。


私は二階にある情報指令室に入った。


室内は転倒した機材で雑然としていて、警察

官が走り回っていた。


指令室の壁に大きな都内の全体図と麴町管内

の地図があったが、ライトが消えていて災害

地点の表示がされていなかった。


だが警察無線等々の手段で方々の情報が入手

出来ているのだろう。


渋滞している幹線道路は黄色いテープを貼っ

て表示し、火災現場は赤色の付箋が貼ってあ


り鉄道は「不通」と表示されていた。


大きく「湾岸に津波」とある。


「東都通信社か?」と顔見知りの西条主任が

声をかけてくれた。


「はい、西条主任。」と私


「緊急避難場所としてとりあえず、


千鳥ヶ淵公園と北の丸公園

と迎賓館と皇居前広場を指示している」と

西条主任が言った。


その地点には緑色の付箋が張られていた。


「死者、負傷者の数字の把握はこれからだ」

と主任が言った。


「気象庁からの地震の規模や震源地、津波の

発表はまだでしようか」と私。


「うん、気象庁も混乱しているだろうし停電

や何かで大変だろうからな」と、西条主任が

言った。


「交通規制、怪我人、ガス漏れ、出火、エレ

ベーター内での閉じ込め、その上、混乱に乗

じた火事場泥棒的犯罪など、これら全部に対

応するのは不可能に近いが精一杯頑張るしか

ないよ」。


といって歯を食いしばった主任の顔に、自分

の家族の安否さえも確認出来ない悔しくもど

かしい思いがにじみ出ているように感じられ

た。


「隼町三丁目五十一番地で出火です」と無線

機をもった警察官の声がした。


管内地図の隼町の当該番地に赤色の付箋が貼

られた。


「湾岸一帯に津波が襲ってきたそうです」と

無線機傍受をしていた警察官の

悲鳴に近い声がした。


「津波の高さはどのくらいだ?」「築地署で

一階まで水が侵入らしいです」といった。


「築地署で,一階までなら一メートルくらい

の高さだな」と西条主任が言った。


その津波は一体どこまで到達するのだろうか

?と、慎吾は不安になった。


地下鉄や地下モールなどに侵入が予想される

が、避難はできているのだろうか。


慎吾はここまでに得られた情報を、メールを

使って佐々木デスクに送信した。


間もなくデスクから「千鳥ヶ淵公園の避難所

の様子を取材」と返信が来た。


「はい」と返信すると、麴町署を飛び出た。


パトカーが車庫から新宿通りに出ようとする

が混雑で、なかなか出られない。


私は内堀通りへ出た。お堀端の公園に続々と

人々が集まって来ていた。


皆、あまりのショックでそれぞれに茫然自失

となっていた。


春とはいえ、まだ肌寒い四月半ばのことであ

る。


互いに身を寄せ合って「大丈夫」と、励まし

あっていた。


麴町町会の役員と思われる人が公園内に設置

されてた防災倉庫の鍵を開けて周囲の避難者

たちに声をかけた。


「ここに水や非常用毛布や食料などがあるの

で使ってください」。


近くの人々が、よろよろと倉庫に入り毛布や

水などを手にしてきて、子供たちや老人に毛

布をかけたりしだした。


怪我した人の呻き声や女の子のすすり泣きが

あちこちでしていた。


救急車がサイレンを鳴らして混雑をかき分け

ながら、ゆっくりと進んで来た。


ここの避難所は看護の医師、看護師など一人

もいない状況だ。


災害時に医療関係者を派遣するマニュアルは

一体どうなっているのか、疑問に感じた。


千鳥ヶ淵公園を一番町方面に歩いて行く。


イギリス大使館前では、大使館の職員だろう

か十人くらいの館員が大使館前で横になって

いる怪我人達の手当てをしてくれていた。


北の丸公園と武道館へ避難状況を取材しよう

と歩いてゆく。


北の丸公園には避難者は、そう多く集まって

いない状況であった。


武道館には避難者がゾクゾクと集まって来て

いた。


ここまでの状況をデスクに送信する。


そんな時ショートメールの着信があった。

美知子からだった。


「無事ですか?」と、


「僕は無事」「今どこ?」と送信する。


「徒歩で帰宅中」「曙橋あたり」と返信

が来た。


「じゃ靖国神社前を通るね」「近くにきたら

メールして」と送信する。


「はい」と返信がくる。


美知子は市ヶ谷見附で風間係長と別れた。


市ヶ谷あたりを小走りに人波の中を歩いてい

た。


ただ黙々と押し黙って人々はそれぞれの家路

に向かって歩いていた。


メールが来た母の友子からだった。


「大丈夫なの?」「どこにいるの?」と入っ

た。


「大丈夫、徒歩で帰宅中」と返信した。


「お母さん大丈夫なのね」と送信する「津波

が来るみたい」「近くのマンションに避難」

と返信が来た。


“えっ、津波”と思わず絶句した。


携帯のニュース欄が、新たに見られるように

なっていた。


携帯が「災害時警音」を鳴らした。


「本日午前九時十五分、東京湾直下型地震マ

グニチュード八・七、約七メートル位の津波

が発生、湾内沿岸に到達注意。


美知子の家は俗に言う「海抜ゼロメートル」

地帯にあった。


「お母さん出来るだけ高い処に逃げて」

と送信する。


心配で胸の鼓動がドキドキと激しくなった


外堀から市ヶ谷見附を右に曲がり靖国通りに

入った。


怪我をしている人や足を引きづっている人な

ど家路に向かって、ただ黙々と歩き続けてい

た。


ようやく靖国神社前に着いた。


慎吾にメールをする。


「靖国に着きました」。


「今、武道館、そちらにいく」と慎吾から返

信がくる。


間もなく道路の向こうから慎吾の姿が見えた


美知子は胸にこみ上げるものがあった。


こらえて居た思いが、いっきに爆発した。


嗚咽とともに涙がどっと溢れでて、近寄って

くる慎吾の姿が滲んで見えた。


「大丈夫?」「怪我してない?」と両手を広

げて慎吾が近寄ってきた。


美知子は広げた両手の中に、飛び込んだ。


「慎吾さん、怪我などないの?」と私


慎吾は「うん、僕は大丈夫、徒歩で家まで帰

るのは大変だけど、大丈夫?」


「情報では銀座あたりで一メートル弱の津波

がきたらしい」と慎吾が言った。


「多分、秋葉原あたりまで津波が来てるかも

しれないね、僕も一緒に行ってあげるよ」と


慎吾が言った。


「ありがとう、でもお仕事中でしょ、私なら

大丈夫」と言う私に慎吾は


「デスクに、津波の侵入状況を見てきますっ

て許可をもらうよ」と言って歩き出した。


「お母さんは大丈夫みたい、津波が家の二階

くらいまで侵入したらしいの」


九段下から神保町へ出ると歩道を除いた道路

の一面に水が広がっていた。


地下鉄の入り口には、水の侵入を防ぐ防水板

が駅員によって設置されていた。


人々は水のない歩道をゾロゾロと歩いていた


歩道も時々亀裂や陥没の箇所があった。


帰りを急いで車道の水の中をあるいている人

もいた。







 第三話  空港


大地震が発生した時刻、羽田国際空港では

第二滑走路から福岡行き,ANA六便が離陸

寸前であった。


また第一滑走路では、韓国からのKRL三便

が着陸寸前であった。


”ドン”と滑走路が突然波打った。


亀裂が地面を切り裂いてゆく、ANA六便は

車輪を亀裂に突っ込んだり、盛り上がった滑

走路に激しく機体を打ち付けたりして左側の

翼を滑走路に擦り付けて、炎をまき散らしな

がら岸壁から海に突っ込んだ。


間もなく五、六メートルに盛り上がった海水

がANA六便を呑み込んだ。


KAL三便は滑走路に機体を打ち付けて火花

を散らしながらギリギリ滑走路の先端に停止

した。


乗客達がホッとする間もなく津波が機体を呑

み込んで岸壁へと押し流した。


津波は空港全体を呑み込んで陸地に向かって

広がっていった。


KAL三便はまるでボートのように津波に乗

って二キロ先にある、京浜島の岸壁を乗り越

えて高台に乗りあがった。


海に落ちたANA六便は、津波に持ち上げら

れて空港に打ち上げ戻された。


空港を襲った津波は、駐機中の二十五,六機

を呑み込んでいった。


二機がターミナルに突っ込んだ。


ラウンジに居た大勢の搭乗客達は上階へ悲鳴

を上げながら必死に上がっていった。


管制塔は一瞬、停電になったが非常用電源が

起動して消えていた計器盤やレーダーモニタ

ーなどが再起動した。


管制官の小島久也(三十一歳)は、羽田空港

への着陸予定の上空旋回待機の各機に他の空

港への着陸を緊急指示しだした


空港から東京湾内を見るとニ波、三波と寄せ

て来る津波が見えた。


最初の五、六メートルの津波の威力は強大で

航空燃料の貯蔵タンクを土台から引きちぎり

燃料を、まき散らしながら津波と共に城南方

面に打ち上げた。


電線のスパークが燃料に火を点けた。


空港にかけて、火炎と猛烈な黒煙を撒き上げ

ながら帯状に広がった。


各ターミナルは海抜五メートル位の盛り土の

上に建築されていた。


空港を襲った津波は岸壁にぶつかって盛り上

がり、七、八メートル位に達していたので瞬

間的にはターミナルラウンジまでに容易に侵

入してきた。


主席管制官の垂水一郎が小島管制官に「空港

内の被害状況を至急収集して」と怒鳴った。


基地消防隊は一階にあるため津波をまともに

受けた、壊滅的な状況なのか連絡が取れない。


空港内警備室に電話を掛けた。


警備主任が電話にでた「各部署からの連絡が

まだありません、何か分かりましたら報告し

ます」と言った。


生存者達は、それぞれが必死に盛り上がって

きたどす黒い海水から身を守ろうと少しでも

高い所へと逃れていた。


五メートルの海抜があるターミナルに到達し

た津波は一階に三十センチ位残してザーと引

いていった.


ラウンジに津波と共に突っ込んできて止まっ

た旅客機はシューターを開いた。


乗務員は怪我をして血を流しながら痛みをこ

らえて乗客達を誘導していた。


誰もが恐怖でひきつった顔で脱出してきた。


地震前の滑走路には離陸支持待ちの旅客機が

三機いた。


着陸後ターミナルに横付けして旅客を降ろし

ている機も三機いた。


その他、整備ピットで整備中の機や待機中の

機など空港内に二十五機がいたが地震と津波

で空港内のあちこちに散乱していた。


また、滑走路上に漁船が座礁していた。


垂水主席管制官と小島管制官や職員達は、

あまりの変わりようにただ茫然としていた。


国土交通省航空局との直通電話が鳴った。


「空港の災害状況を報告してください」。


「はい、上空の着陸予定機は他の空港へ着陸

するよう指示しました」


「空港を襲った津波は七、八メートルくらい

の高さがありました」


「したがって滑走路と同等の海抜にあった旅

客機、整備倉庫、ターミナル一階部分が、津

波に呑み込まれ相当ダメージを受けました。


「各、滑走路は亀裂や隆起や陥没などが発生

しました」。


「旅客機はANA六便は離陸直前だったため

大きな被害が出ています」。


「KAL三便は着陸中だったため、回避出来

ず津波に呑まれ、流されました」


「京浜島まで流され打ち上げられたので被害

は大きいと思われます」


又、ガルーダ航空三便は旅客搭乗がおわり待

機中のところ、津波に空港二階ラウンジまで

押し上げられましたので大きい被害が予想さ

れます。


津波は燃料貯蔵タンクを押し流して鈴ヶ森辺

りまで燃料を流しながら到達し燃料が発火し

一面黒煙と炎をまき散らしています。通信手

段が回復後、詳しい被害状況がわかります。


今少しお待ちください。」と報告した。





  第四話  地下鉄


地下鉄有楽町線に、私、永田周治|(三十

三歳)は乗っていた。


もう少しで月島駅に着こうとしていた。


車内は通勤時間帯の混雑が過ぎていて、約二

十人近くの乗客がいた。


突然“ドン”と強烈に上に突き上げられた。


車内の人達は、まるで「人形箱」を上に放り

投げられた「人形」のように、それぞれが飛

び跳ねて床や座席に体を打ち付けた。


電車は「ガガー,ギギー」と凄まじい音を立

て非常用急ブレーキがかかった。


床に倒れた人たちは起き上がる間もなく、進

行方向に“ずるずる”と打ち寄せられた。


車内に唸り声が充満した。


車中は停電になり暗闇の中、前方の車両の扉

から、かすかに灯りが見えた。


身体のあちこちが痛かった。


「早く外へ出よう」と誰かの声がした、非常

用扉を開けるとホームはまだ前方にあった。


私が乗車していた車両は、先頭から三両目で

駅のホームに着いていなかった。


乗客達は打ち付けた身体中の痛みに耐えなが

ら灯りが見える車両の扉を開けて進んだ


非常用電源で辛うじて周囲の状況が見えてき

た。


二両目の乗客達も、呻きながら灯りの見える

先頭車両の方へ歩いていた。


先頭車両はホームにかろうじて半分くらい掛

かって停止していた。


車両は脱線したのだろう、左に少し傾いてい

た。


すでに先頭車両の乗客達はドアを開け脱出し

ホームをエスカレーター方向に歩いていた。


地下鉄月島駅のホームは地下十八メートル位

の深さにあった。


ホームには非常用照明が、ぼんやりと付いて

いた。エスカレーターは停止していた。


地上に出るにはエスカレーターを三回乗り継

がなければならなかった。


停電で、ただの階段になった約三十段位の

エスカレーターだ。


地上に出ようと乗客達は階段歩いて上った。


最後のエスカレーターを登りきり。外への階

段を登ると明かりが見えてきた。


あと四、五段で外へ出ようとした時、地下鉄

の出入口から水が侵入し始めて来た。


みんな急いで外へ出た。


「がんばれー」、「早く逃げてー」と近くの

ビルから声がしていた。


どす黒い水がどんどん押し寄せてきていた。


私は水の勢いに足元をすくわれ、倒れている

女性の手を取って近くのビルに逃げ込んだ。


ビルの一階の人たちも上へと逃げ始めた。


黒い濁流はどんどんと水嵩を増していった。


私達はビルの階段を、水に追われるように

登っていった。


地下鉄のエスカレーターを登りきれていない

乗客達は、流れ込んでくる濁流に足を取られ

ながら必死に階段を登ろうとしていた。


入ってくる濁流の勢いが増してきて抵抗出来

なくなり下の方に流されていく人もいた。


あまりの光景に思わず拳を握りしめて

「負けるな、頑張れ」と怒鳴っていた。


地下鉄構内は流れ込んでくる水から逃げ切れ

ない人達を呑み込んでいった。


外へ出ようと、もがき苦しんでいる人達を

呑み込んで巨大な貯水槽と化していった。


街中に流れ込んでくる濁流は、自動車や

壊された家屋を瓦礫となし、流れていた。


人が乗ったままの自動車もあった。


おおよそ三十分位で増水はとまった。


停滞していた黒い汚泥は、やがてゆっくりと

引き始めた。



私の自宅は和光市にあった。


家族は妻の信子|(三十二歳)に娘の綾|(

八歳)と息子の宏|(五歳)との四人暮らし

である。


携帯は通話不能になっていた。


「皆無事?」とメールをした。


間もなく「私達は無事、宏と綾を迎えに行く

ところ」と返信が来た。


娘の小学校まで迎えに行くのだろうが外は、

垂れ下がった電線や今にも落ちてきそうな

看板などで危険が一杯だ。


この辺りでも電線がショートして火花が出て

いる場所もあった。


「外は危険、気を付けて」と送信する。


道路のあちこちに瓦礫を残して引き水は二十

センチ程残して止まった。


豊洲にある会社から「安全を確認し帰宅して

ください」とメールが来た。


私は徒歩で自宅まで帰ろうと目の前にある、

佃大橋を目指して、水溜まりに足を運んだ。


新富町から京橋へ出ると昭和通りにでた。


昭和通りのアンダーパスはまるで川のように

なっていて、あちこちに亀裂が走っていた。


道路には水が十センチ程、溜まっていて皇居

前のお堀も溢れていて生垣が道路の境界を表

していた。


津波の迫った水はこの辺りまで到達したのだ

ろう。


一ツ橋交差点辺りで路上の水は無くなった。


後楽園遊園地の観覧車は大きく傾いていて今

にも倒壊寸前のようだ


地下鉄駅からは怪我人が続々と搬送されてい

た。この辺で一番近い病院へと急いでいた。


春日通りの路面は所々亀裂が走っている。


水道管が破損したのか水が噴き出ていて交通

が遮断されていた。


大きく開いた亀裂に突っ込んで止まった

自動車があちこちにあった。


古いビルや民家が崩落して道を狭くしていた

住民達が瓦礫を手で取り除いていた。


多分、中に家族が取り残されているのだろう


路上には泣きわめいている人がいた。


火事が出ている家もあったが、町内の消防団

が少ない人数で必死に消火作業をしていた。


春日から白山にかけて旧民家が多いので延焼

も心配される。


伝通院からは高台で、昔からしっかりとした

土壌のため比較的、家の倒壊などがみられな

くなってきた。


救護所や消防団のテントが見られるように

なってきた。


ここまで来て喉がカラカラになっていた

消防団の救護班から水をもらった。、

「おにぎり、どうですか?」と勧められたが

とても喉をとおりそうでは無いようで、

お断りする。


一刻も早く無事な家族の顔を見たい思いが

一杯で自然と足が速くなった。






 第五話  津波


美知子の母の友子は洗濯機から洗濯物を取り

出している最中、突然“ドン”と下から突き

上げられて床に叩き付けられた。


床に倒れた友子に洗濯機が寄りかかってきた


家全体が大きくユサユサとあちこち軋みなが

ら揺れて棚から色んな物が落ちてくる。


「キャー」と思わず悲鳴を上げた。


「やめて、たすけてー」


家の揺れが治まりかけて友子は、火の始末は

どうか?貴重品は何処か?防災用具は何処か

?など思いめぐらした。


洗面所から這い出ると家の中はメチャクチャ

になっていた。


何が何処かなどまるで分からない有り様で、

それでも倒れた家具の中から何とか携帯、

貴重品、防災用具などを持って外へ出た。


「津波が来ます早く高台に避難してくさい」


外では区役所の防災無線放送が切迫した声で

と悲鳴に近い声で放送を繰り返していた。


「えっ、津波くるの」地震の恐怖から逃れた

のに今度は津波が来るの?と思った。


荒川と中川放水路の二本の川がそばにあるが

護岸には七メートルの堤防があつた。


家の前を通っている道路の突き当りに、堤防

の護岸がある。


護岸の道路から六十センチ位の高さに「干潮

時水位」と表示があつた。


更に五メートル位上に「災害時予想水位」と

表示があった。


堤防の頂点はそこから更に一メートル位上部

にあった。


これを超える津波が襲来するなら、家は完全

に水没してしまうと思った。


娘の美知子から携帯にメールが入っている事

に気付いた。


友子の無事を案じた美知子のメールだった。


「大丈夫なのね」「どこにいるの?」と矢継

ぎ早にメールを送る。


「大丈夫、徒歩で帰宅中」と美知子。


ホッとしたせいか、わけもなく涙が頬を伝っ

てきた。


近くに八階建てのマンションがあった。


近所の戸建ての人達もマンションへと

向かっていた。


マンションのエントランスに入った時、後方

から「津波が来たぞー」と叫び声がした。


見ると堤防を越えて水が“ザー”と侵入し始

めていた。


東京湾内で発生した直下型地震で、大きな

地殻変動がおきて津波を発生させたのだ。


盛り上げられた湾内の海水は六、七メートル

位の高さに達した。


それらは湾内に広がって、あらゆる物を飲み

込んで護岸や河川に押し寄せてきた。


「上に逃げてー」と悲鳴が聞こえた、友子は


近所の人達と、階段を駆け上がった。


黒い濁流は瓦礫と化した色んなものを押し込

みながら迫った。


三階の踊り場から家の方を見ると堤防を乗り

越えた、どす黒い水がどんどんと増してくる


都内の海抜ゼロメートル地帯は隅田川沿岸と

荒川沿岸に広がっていた。


河口が大きく広がっている、荒川、隅田川を

容易に津波は、侵入して来た。


新橋、浅草、千住辺りまで津波が広がった。


城東地区は隅田川と荒川に挟まれた地帯で

両方の川の護岸や堤防を容易に

乗り越えてきた。


黒い濁流は低い場所を目指して流れ込んだ。


地下鉄の入口から避難して来た人達は、

流れ込んでくる水を必死にかき分けて

少しでも高い所に張り付きたいと

もがいていた。


一歩先に高いビルなどに避難していた人々は

そんな人たちに「がんばれー」と声をかけて

見守るしかなかった。


荒川を登っていた津波は堀切橋あたりで

勢いが止まり、隅田川の津波は

千住辺りで止まった。


暫くすると今度は黒い濁流がゆっくりと

来た方向に瓦礫を残しながら引き始めた。


残された瓦礫の中には逃げ遅れた人々の死体

が幾つもあった。


マンションに避難していたが、堤防を

超えて来る水の勢いが無くなった。


家々の二階くらい迄に達していた濁流の流れ

が止まり、やがて徐々に

下流方向へ引き始めた。


「お母さん大丈夫?」と美知子からメールが

きた。


「大丈夫よ、今、マンション」


「家は二階あたりまで水の中」と返信した。


三時間位たった。


濁流の引水は道路上に五十センチほど

残して止まってしまった。


この辺りは海抜ゼロメートル地帯で水が

捌けなく、なってしまったのだ。


戸建ての人達は家が心配でマンションから、

そろそろと水の中に入り泥と瓦礫をかき分け

それぞれの家へ帰り始めた。


友子も勇気を出して泥と瓦礫をよけながら腰

まで汚泥につかってやっとの思いで家に

辿り着いた。


家は半地下の車庫を土台にしていた。


その上に建築していたので道路から一階部分

は一メートル五十センチ位、高かった。


家の中は汚泥が壁の天井近くまで

へばりついて悪臭が漂っていた。


リビングへ入ると冷蔵庫が倒れてテーブルや

椅子が散乱していた。


ガス漏れは無いようだ、水道は断水していた

電気はブレーカーが落ちていた、電気器具の

何かが冠水のせいでショートしたのだ。


倒れた家具を避けて二階に上がった。


汚泥は二階まで届かず畳は濡れては

いないようだ。


とにかく何かをしなくてはと言う思いに

急かされた。


気力を振りしぼり倒れた家具を起こし、

散乱した衣類などを片付け始めた。


「早川さん、大丈夫ですか」と玄関で

声がした。


町会の班長さんが無事を確認にきた。


班長さんは膝までは水につかり瓦礫を

かき分けて、一軒々声を掛けてきたのだ。


「はい、私は無事です」


「電気、ガス、水道は使えません」と言うと

水道は断水の原因を調べていると、思います

ので、もう少し待ってください。


「電気はコンセントを全部ぬいてから

ブレーカーを入れてください」


「またガスは匂いを確認して漏れが無いよう

でしたら点けてみてください」


と班長さんが説明してくれた。


「早川さん、それじゃ、頑張ってください」


と、お隣りへ向かった。







  第六話  災害危機管理室


霞が関の首相官邸の地下にある災害危機

管理室には、首相をはじめ官房長官や

閣僚などメンバーが続々と集合してきた。


首相が「国土交通大臣、被害状況を報告して

ください」と発言する。


「はい、報告いたします」


「まず主要道路である一級道路は都心部を

起点として全ての道路が道路陥没や亀裂や

避難者などによって車両の通行が出来ない

状況です」


「又、首都高速道路の四号新宿線は所々で

車両火災が発生していたり横転車両も

あって通行不能です」


「三号渋谷線も各地で路面パネルの

落下があり衝突等の事故が数件発生して

通行不能です」


「環状線は汐留~日本橋間で冠水により通行

不能です、湾岸線は道路亀裂や陥没や冠水で

通行不能です」


「荒川にある葛西橋は破損して通行不能で、

隅田川にかかっている各橋も安全を調査

確認しないと危険な状態のようです」


「鉄道新幹線は脱線等により東海道線は不通

在来線は詳細を現在点検中です。又、

地下鉄は複数路線で一部水没しています」


「羽田空港は殆ど機能を失いました。」

と報告した。


「科学技術庁、筑波原子力研究所は

どうですか?」と首相が質問する。


はい、原子炉は異常ありません、放射能

漏れもありませんでした」と報告


「消防庁、都内の火災件数と、対応策は?」

と質問する。


「今のところ二十六件の火災現場があります

が、特に羽田空港から大田区鈴ヶ森にかけて

の火災が問題です」


「航空燃料の火災ですので化学消火剤の大量

投入が必要です、至急に手配しています」

と報告した。


「津波についての被害はどうですか」と首相

が聞く。


「はい、津波は城南、羽田空港から品川、

城東地区の隅田川、荒川沿岸を足立区辺り

まで到達しましたので、これらの地区で

大きな被害が出ていると予想されます、尚、

現在は情報を収集中です」


「気象庁、今回の地震と津波の規模は正確に

掴めていますか?」と気象庁担当官に質問。


「はい、午前九時十五分、震源地は東京湾、

木更津沖八キロの地下約二十キロで

マグ二チュード八・五、で海底隆起が発生し

その為、最大七メートルの津波が沿岸に

襲来したものとみられます」


腕組みをして聞いていた首相は


「警察庁、交通規制を徹底してください、

緊急車両の移動、輸送を最優先とできるよう,

強硬な手段でも取ってください。


それが災害を最小限に抑え込めるか否かを

決定づけます」と言う。


「はい、直ぐに徹底させます」警察庁担当官

が言った。


「防衛省、各師団に即、災害出動を発令して

ください」と言う。


防衛省担当官は首相に「はい、発令します」


今までの情報を整理すると陸上からの支援は

交通状況から困難のようですので空路からの

支援が最適と思われます。と言った。


「ヘリで支援物資と隊員の輸送が有効と

思います」。


「空陸の全てを動員して、国難ともいえる


この災害に立ち向かってください」と首相

の悲壮な声が室内に響いた。


室内のモニターには映し出された映像には

都内のあちこちから黒煙が上がり、

騒然とした、様子が見て取れた


「都庁担当官、停電、断水、ガス漏れ、電話

の不通、などに対処していますか」と首相が

質問する。


「はい、お答えいたします東京電力、水道局

都ガス、NTTなど各社を挙げて復旧に

努めるよう指示しましたが、何せ地震と津波

という経験のない大規模災害ですので

少し時間がかかっています」と報告した。


「ライフラインは国民生活の生命線です,

最優先で復旧をお願いいたします」と

首相が言った。


暫くしてNHKのチャーターヘリが、上空

からの映像をテレビ放映してきた。


ヘリからの望遠カメラ映像が映し出された。


東京のあちこちから黒煙が上がって、まるで

爆撃を受けたかのように見えた。


空路、都内へ入ると、津波がのぼってきた

荒川沿岸を映し出した。


黒く濁った海水が一面の住宅地を覆っていた


。あちこちでオレンジ色の消防救命ボートが

懸命に被災者を救護していた。


映像をみていた首相が

「皆さん、頑張ってください」とポツリと

言った。






― それから東京が完全復旧するには、一年


  六か月がかかった。―


― 死者、三万7千人、倒壊家屋、千百戸,


  復旧費、百十五兆円 ―



本稿はフィクションです。作品中に出てくる数字や発言はあくまで作者の創造のものとご理解お願い致します。

又、ご一読が今後起きるであろう危機に際して一助になれば幸いです。

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