第一話
秋月 蓮(主人公)
年齢:16歳、高校2年生
身体的特徴:身長165cm、体重53kg
性格:大人しい、寂しがり屋
出生:???
過去:???
リン(ヒロイン)
年齢:19歳、大学1年生
身体的特徴:身長166cm、体重は秘密
性格:明るい、活発
出生:???
過去:???
本名:???
彼女との出会いは、はっきりと覚えている。
はるか昔、父様に連れて行かれたパーティ会場で彼女に出会って「この子と一緒に暮らしたい!」と叫んだのがきっかけだった。
そして父様は半年前どこで見つけて来たのか彼女を僕の家に連れてきて、お手伝い兼パートナーとして一緒に住んでもらうことになった…と告げたのだった。
彼女の素性は一切分からない。父様が連れてきたのだから怪しい人では無いと思うが、名前を含め個人情報は何も教えてもらっていない。
唯一分かることがあるとするならば。
「レン様、おはようございます!」
この状況がおかしいという事だ…
彼女の名前はリン。それが偽名なのか本名なのかは分からないが、彼女が家に来て名乗ったのはその名前だった。
「えっと、どうかしました?」
「うん、どうかしてる。どうかしまくってるよ?」
「な、何がですか…!?私はただ、レン様の寝顔を見させていただいてただけなのに…!」
「どうかしてるのはリンの頭だ…!ってかなんで僕の部屋にいるの、鍵は!?」
「この家の家事やってるの誰か忘れちゃいましたか?」
「だからって…はぁ、もういいや。朝食作るから部屋で待ってて。」
「はーい!あ、私今日オムレツ食べたいです!!」
手を上げてアピールするリンをはいはいと宥めてキッチンへ向かう。
朝の時間は好きだ。リンも朝の支度があるためゆったりとした時が流れる…はずの時間だったのだが、明日からは朝も警戒しなくてはならないらしい。
「いただきます」 「いただきまーす!」
リンは本当にご飯を美味しそうに食べてくれる。
普段はうるさくて仕方ないリンだが、目を輝かせながら僕の作った食事を食べてくれる姿だけは好きだ。
「ほら、口にケチャップ付いてる…そんな急いで食べなくても、僕は取ったりしないよ?」
「ん…だって、リン様のごはん美味しいんですもん!ご飯おかわり貰えますか?」
「はぁ…お前、ずっと飯だけ食ってればいいのにな」
「酷い!?どう言う意味ですか!?」
騒ぎ立てるリンを横目に見ながら炊飯器を開ける。
皮肉混じりの褒め言葉だったのだが、どうやら悪口としか認識してもらえなかったらしい。
まぁ、その方が照れ臭くなくていいけど…。
「では、お帰りをお待ちしてます!いってらっしゃいませ!いってきます!」
恒例になってきたリンの謎の挨拶を聞いて家を出る。
僕の通う高校は私立霞ヶ丘学院。上流階級の人々が多く在籍する学院で、初等部からのエスカレーターだ。
ちなみにリンも大学に通っているが、ここに関しても情報は与えられていない。僕と同じ時間に家を出ているのだから、恐らくどこか遠くの大学に通っているのだろう。
一緒に住んでいるのに何も教えてもらえない…少し寂しいが、それが僕たちの契約。そして何より、父様の命令だ。父様が何を考えているのかは分からないが、きっと僕には知る権利も質問する権利も与えられていないだろう。僕にできるのは、父様、そして兄様の意向にそう事のみ。なぜなら僕は、「失敗作」なのだから……。
家に帰ればリンがいて、料理以外の家事は終わらせてくれている。食事をして、風呂に入り、眠る。繰り返しの生活にも慣れた。もし僕が長男だったら…と昔はよく思ったが、最近ではもう考えることも無くなった。
明日も起きたらリンが覗き込んでいるのだろうか。
本音を言えば、彼女が来てくれてから相当気持ち的には楽になった。笑顔を見せてくれる。「美味しい」と言ってくれる。そして、僕の涙を拭ってくれる。
彼女もきっと普通の境遇ではないのだろう。
はぐれもの同士のこんな生活も、悪くは、ない…
「何してんの?」
「え?いや、撮影?」
「前言撤回。出て行け!!」
色々と説明を加えながら話を展開していこうと思います。感想やアドバイス、お待ちしています。