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by the after kids  作者: おもも
1/2

アカとレイの逃亡


俺の心は機械でできている。

ーこの街、ジェットシティでは油断と同情が命取りになるんだ。


この世界は人間の愚かしい恐れの連鎖が生んだ世界同時の核戦争の結果、いま現在ヘッドギアと呼ばれる生命維持の頭部装置を常につけていなければ生命が維持できなくなるほど荒廃してしまった。

しかし、そんな世界でも人間は生きている。

まだ、生きているのだ。


「急げ!すぐに教員きょういんどもがくるぞ!」

くすんだビルの隙間を縫いながら2人の少年が走る。

赤いヘッドギアに白いラインが入った少年が叫ぶ。

臥薪嘗胆

ビルにデカデカと書かれた意味不明な落書き。


彼らは換金目的で発電施設からデモーンズコアを強奪したのだ。デモーンズコアとはこの世界では全てのエネルギーの基本となる青白い光を放つ物質である。

逃亡者となった少年たちを7人の通称教員と呼ばれるこの街の大人たちが追いかける。

皆一様に黒のヘッドギアに黒の皮のスーツに身を包んでる。手には棍棒と拳銃。

天下一品

ビルに意味不明な落書き。


彼らがいる街は世界核戦争後も人間たちがしぶとく生き抜いている街、ジェットシティ。そしてそこに暮らすアフターキッズと呼ばれる浮浪児たち。そんな物語。


「アカ、もう俺は走れないよ!ここまでだ先に行ってくれ」

白のヘッドギアに星のマークがついた少年が弱音を吐く。

「馬鹿野郎、奴らに捕まったらどうなるか分かってんだろ!気張れ!」

アカと呼ばれた赤いヘッドギアの少年は叫ぶ。


「くそやろうってんだ、早く一仕事終えてキンキンのコーラが飲みてぇや」

アカが言う。

この少年、アカは特殊立体機動であるフロントサイドとリアサイドの天才である。

この二つを駆使した高速ステップにおいては彼の右に出るアフターキッズはいない。


大通りからさらに細かく抜けた細いビルの道を隙間を疾走するアカ。アカにこそ及ばないが白いヘッドギアのレイのステップもなかなか見事なものである。

コアの取引相手とのランデブーポイントの廃墟ビルまではあと少し。

金の重みをしれ

意味不明なビルの落書き。


パン、パン!

「ついに奴らステップでは追いつけないと撃ってきやがった!」

赤い弾道の閃光が光る。


「レイ、あとすこしだ!きばれ!」

ここで再び銃声。

「くそ!遠投弾までつかってやがる!」

熱烈的歓迎

ビルに意味不明な落書き。


ズギュン!

「あっ!」

レイの立体機動装置に弾が当たって煙を上げる。

「アカ!もうここまでだ!俺の分のコアも持って行ってくれ!」

「置いていけるか!応戦するぞ!」

こちらはステップを失った手負いの仲間をいれての2人に対して相手はアフターキッズの扱いに手慣れた教員7人。

どう考えても分がわるい。


しかしレイはステップこそ凡であるが卓越したキャノンの打ち手であるのだ。


「レイ、お前の全開でアームズぶち込んでやれ!」

運天賦

殴り書きのビルの落書き。意味不明。


周囲5×5メートルを巻き込んでキャノンが爆炎を上げる。

煙晴れ、そこは煤塵と化した教員共跡形もなし。


「アカがどうにかうまく引き付けてくれたから一掃できたよ」レイが言う。

「ばか言え、お前なら俺がいなくてもなんとでもなっただろうさ」

「そんなことないよ!いつもアカに助けられてばかりだよ」


「さて、応援部隊が来る前に取引をすませて仕事を終わらせちまおう」

年中無休の薄曇りの曇天ながらも街は夜明けを迎えようとしていた。


この雲が晴れる日はいつかくるのだろうか。

その日までどうか俺たちが自分自身を見失わないように光よ、導いてくれ。

壊れたカリーナの窓に映った薄曇りの太陽を見ながらアカは1人思った。


2020.10.19

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