第一部 2 実家は王都の輸入物の販売を行なっておりまして
ことの発端は、アリーシャ姫の公務として、とある街の催しに出席し、その後、王都に戻る道中に起きた。人々の暮らしが知りたいとアリーシャ姫のお願いから、護衛2人とお世話役1人とお忍びで、村や町を巡りながら戻ることなった。
お忍びということで、配役設定をつくることになった訳だ。
まるで金糸のような美しい金髪に、翠玉に例えられる優しげな瞳、白く透き通った玉のような肌、美しさと可憐さをあわせもつ整った顔立ち、生まれながらの高貴さからやんごとなき身分感が隠しきるのは難しいだろう。
その為、一般の旅人は無理なので世界的に信者の多い聖教を信仰する大商人の令嬢という設定になった。最初は、貴族の令嬢にしようという話になったもののできるだけ、一般の人に近い立ち位置にして欲しいとアリーシャの要望から最終的にこの設定になった。
そして、護衛の2人は同じ二十代の青年で、対称的といえる風貌している。
まず、とある事件を機にアリーシャに仕えることになった元傭兵シバ。
極東の国に見られる黒髪と顔立ち、まるで凶暴な肉食獣のような鋭い目つきとどちらかというと姫を襲う方と言われる人相の悪さから、治安を守るべく働く衛兵に声をかけられることがしばしばある。彼は雇われた傭兵という設定以外ないだろうとすぐ決まった。
もう1人の護衛、ジュリウス。赤髪に優しげでありながら凛々しさをともなった青いの瞳、生まれの良さを感じさせる上品でさわやかな美青年。代々、王族を守る近衛騎士団を輩出してきた名家の次男である。無骨でありながら、繊細な細工がほどこされている強力な魔法の籠手を愛用している。彼は執事兼護衛という設定になった。
最後に世話役として同行するリアトリス。
年齢は護衛2人と同じくらいだが、小柄なアリーシャ姫
より小柄で、幼い印象を持つ。茶色がかった黒髪に少女のようなあどけないかわいらしい顔立ちの女性。しかし、通常のお世話から医術や魔術、さらには体術などに長けている。
ある一点の問題を除けばあらゆることに精通した万能な使用人である。彼女はいうまでもなく、設定はそのままである。