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建築するモチベーションがない。
右紗子はとりあえず、化粧下地か色付き日焼け止めのみでベースメイクをしている。
そう、一つ塗るだけである。
化粧直しは、上から重ねるのみ。
程よく色がついて質感が整えられ、それこそ素顔のような仕上がりで、崩れても気がつかない。
ファンデーションを装うことに関しては、技術的な問題があるか、化粧直しが頻繁にいるか、相性が悪いのか、化粧前の手入れが不十分だからか、不得手である。
なんだかあの化粧したてとはいかないのだ。
粉は粉吹きを呼び、液体はヒビができる。クリームはなんとか保ってくれるがすり減っているように見える。
どうしても違和感があるのか、動いた拍子か、顔を触ってしまったりする。
皮膚に何かつけている感触がきらいなのかもしれない。