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肌をつくる
右紗子は肌が強くない。色白でなめらかだが、乾燥しがちでたまにニキビができた。
そんなことから、敏感肌をターゲットにしたブランドのベースメイクと、肌を保護してくれるジェルを勧められた。
ベースメイクは化粧下地とパウダーファンデーションである。つけると素肌より粉っぽいし、色がやや黄色い気もするが、スタンダードな化粧とはこういうものかと思った。
ジェルの効果はよくわからなかった。この時右紗子はまだ10代であったし、基本的には健康な肌だったようである。
そして実家にいた頃はほとんど化粧をせず、大学進学後の一人暮らしで、右紗子の化粧歴が始まった。
右紗子はパウダーファンデーションを、付属のスポンジでつけるのに慣れなかった。
やっぱり色が合わない気がする。習ったように顔全体にのばすと、素顔よりものっぺりとした顔になる。顔がやや白っぽく、大きく見える。
初心者とは皆こうなのか、と化粧の難しさを感じ、次は眉毛に取りかかった。