9/78
2
―――――――――――――――――――
やっと人混みを抜けることのできた2人は、まず生死を確認するためにまだ道の真ん中で倒れている者を上から覗き込むように見た。
倒れたいる者はピクリとも動いてはいなかったものの、胸の辺りが微かに動いていることで生きていることは分かった。
その様子を確認し
「どうやら生きているようですね。」と呟き、総司はホッと胸をなでおろす。
<死んでたら厄介ですからね…>
そう思いながら総司はふと隣の男へと目を向ける。
「…………」
目つきの鋭い男は眉間に皺[しわ]を寄せ、難しい顔で倒れている異人らしき者を見下ろしていた。
その目は焦点があってなく、完全に心ここにあらずといった感じだ。
そんな男の様子を見て総司は
「おぉ~い。土方さーん聞こえてますかぁ??」
と言いながら、男の顔の前で手をヒラヒラと振ってみたが当たり前のように返事はなかった。