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「あのさぁ……何か勘違いしてない?」
「勘違い?………だったら他に何の用があるの?殺しの依頼?」
女の言葉を聞き優はナイフへと伸ばした手をとめ、軽いジョークでも言うようにいった。
「まっさかぁ~」
女も優の問に対して、おどけた調子で答える。
そんな女に対して優の心に若干の苛立ちが芽生えた。
〈なに、こいつ……何か馬鹿にされてるみたいでムカつく!〉
そんな事を思いなからも優は、相手に感情を見透かされるのは嫌だったため顔には無表情を張り付け「じゃぁ何?」と女に問った。
「何って優ちゃん……言い方キツいよ~??」
無表情のままの優に怯んだ様子も無く、女はニコリッと笑いながら返した。
「…目的は何?」
女の言葉を完全スルーして優は単刀直入に問いかけた。
「まさかのスルー!?まぁ…良いや。
知りたい?目的。」
「早く言いなよ。」
まだ焦らす女に若干苛立っている優は声を一トーン落として先をただす。
優の声を聞いて「おぉ怖っ。」と言い仕方ないと言うよう話し出した。
「私の目的、それは………君を江戸時代へ連れて行くことだよ。」
言い終わると同時に女は優との間合いを一気に詰め、布のよおなモノで口と鼻を覆〈おお〉った。
一瞬の出来事に混乱する優。
だが、事態を飲み込むより先に優の視界はグニャリとまがり次第に意識が闇の中へと落ちていった。