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「はぁ…疲れた。」
男達を片付け終わった優は、ナイフについた血を拭き、ため息混じりに言いながらフと倒れている男に目を向けた。
男の顔は生気を失い、青白くなっている。
「………馬鹿な奴ら。」
そう冷たく男の亡骸に吐き捨てると優は、クルリッと踵を返し歩き出した。
その時だった。
後ろから突然、女の声が聞こえた。
「噂には聞いてたけどここまで強いなんて驚きねー」
急に聞こえた女の声に優は反射的に振り返った。
「!!!?」
そこにはさっきまで居るはずのなかった女が一人居た。
女は優が斬った男達をまじまじと見つめていた。
「……誰?」
優は男の亡骸を見つめている女に警戒しつつ問いかけた。
だが、女は優の言葉など聞いていないようで「うわぁ~…すっごぉーイ!こんなに真っ直ぐ斬るなんて……普通だったら無理だよぉー!流石だね!!優ちゃん。」と一人盛り上がっていた。
「人の話聞いてる?しかもなんで僕の名を?」
「そんなの知ってるよぉ~。あなたが[最強]の名をもつ女でしょ?」
困惑の表情で問いかける優に女は小首を傾げながら言うとニコリと微笑んだ。
「……そういうことか」
優は女の返答を聞き納得の声を上げた。
この世で[最強]と呼ばれるものは大抵の者から目を付けられ、いろんな者から攻撃を受ける。
さっきの男達もその一種だ。
「殺るならはやく殺ろうよ。僕ここから早く出たいんだよね。」
まだ、座り込んでいる女に冷たく言うと優は腰に着けているナイフへと手を伸ばした。
そんな優の反応を見て女は「はぁ…」とため息をつき、呆れたように首を横に振った。