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6階へと上がってきた優は、静かに目を閉じ、人の気配を探した。
手前の柱に5人…
その奥に8人…
右の一番奥に10人…
左の柱に6人…
その奥に9人…
そして中央に2人。
計40人の気配を優は感じ取った。
〈約40人ってとこだね… 今日はやけに多いなぁ…この量じゃ早く終わるかわからないね……〉
早く終わらないと思うと、知らず知らず優の口からため息がこぼれた。
「ため息を吐くってことはこっちの数は分かったんだなー。流っ石[最強]と言われるだけある。」
優のため息を聞いた男達の一人が下品な笑い声を上げながら言う声が手前の柱から聞こえる。
「早く来なよ。僕は早く終わらせてこの場所から出たいからさ。」
優は、男の言葉を無視して気だるそうに言った。
「早く終わらせる?そりゃあ無理だな。」
優の言葉を聞いて男が嘲笑ったように言うと同時に一斉に隠れていた男達は中央へと集まった。
「40対1……いくらお前でも40人を一度に相手できないだろ?」
そう言うと男達は一斉に声を上げ笑い出した。
嘲笑う男達………。
そんな男達を見て優は呆れたようにため息を吐いた。
「随分と楽しそうだね。もしかして人数集めれば勝てるとでも思ってる?」
優は冷たく男へと問いかけた。
「だったら何だってンだ?」
「貴方たち馬鹿でしょ?」
笑いを堪えるようにして言った優。
「んだと!?テメェー!」
優の言葉を聞き男達は声を荒げて言った。
その声を聞き優は露骨に顔を顰めて嫌そうな表情をした。
と、同時に喚く男たちに若干の苛立ちと殺意が湧いた。
「一人じゃ何も出来ないくせに何言ってるの?大体さ。弱いヤツ集めても何の意味もないんだよね。あんたら自分がどのぐらい弱いか知ってる?」
クスリッと笑って優は男達を挑発した。
まぁ、若干の本音もまじっていたのだが……
「テメェ…ナメたことバッか言ってんじゃねぇー!!」
優の挑発で完全に我を忘れ、男達はナイフや小刀を取り出し斬りつけてきた。
予想通り、馬鹿な男だ。
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