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2358年…
今は、生物が増え人々も生きることができるようになった。
だが、ほとんどの人々は家がなく、食料を獲るためだけに生きていた。
今、この世は力が全てだった。
力が無ければ、食料を獲ることはできない。
食料が獲られなければ生きることはできない。
人々は本能的に知っていたのだ。
そんな[力が全て]の世界で『最強』の名を持つ者がいた。
その者は女でありながら、この世で最も強く残酷なモノだった。
幼い頃、両親を殺されそれを目の前で見た少女は心を失い優しさまでも無くしてしまっていた。
そんな少女、桜良ノ 優〈サクラノ ユウ〉は親を失った時から復讐だけを心に誓い、自分に向かってくる者全てを葬ってきた。
そのうち、『最強』という通り名が付いていた。
最強という通り名が付いたことにより、前よりも向かってくる者の数が増え、争う機会が多くなった。
しかし、そんなことは関係ないとばかりに優は変わらず向かってくる者を葬り続けた。
何十、何百という数の人間を……
だが、いくら人間を葬ろうとも決して満たされることはなかった。
満たされない思い……
それは、両親が殺された時からずっと心の奥底にあるもとのだった。