9話 大坂へ
とある武将が登場しますが、
ちょっとした日常回です。
さてさて、誰が出てくると思いますか?( ´ ▽ ` )ノ
長政様が亡くなった。
それは、私達の家が無くなった事を意味する。
これまで浅井家の臣下として過ごして来たが、これからは別の場所で生きねばならない。
だって、長政様の最期の手紙に。
”生きていてほしい”と、そう書かれていたから。
「恵様。貴女は1人ではありませんよ」
「あぁ、我らはたとえ地の果てまでも、貴女について参る所存」
「そーゆーこと。だからさ、これからも一緒に居させて‼︎」
そう、私は1人じゃない。
あの時、生まれ育った村を出た時とは違う。
だからこそ、もう絶対に失いたくない。
そして、長政様を死に追いやった信長を、私は許さない。
絶対に…。
「長政様の仇は、私達が取る…‼︎」
ーーーーーーーーーー
「恵様、現在大坂の石山本願寺の顕如殿が、織田家臣の明智光秀と戦闘状態にあります。そして長政様の亡くなった今、信長包囲網の最重要拠点の一つが本願寺です」
「分かった。じゃあみんな行こうか、本願寺へ」
「えぇ、参りましょう」
燃え落ちた小谷城をあとにした私達は大坂に向かった。
その途中、草津の宿場町に着いた時だった。
衛兵がこちらに向かって来た。
「貴様ら、そんな武装しているが何者だ。もし織田の敵ならば即刻排除する。身分を示すものはあるか?」
「そんなのないよ。それに、私達は浅井家に仕えていたの」
そう言った途端、衛兵は予想通り身構えて、抜刀した。
「小谷城から逃げ延びた者共か‼︎ 神妙に縛にっ…ぐぁ‼︎」
最後まで喋らせる間も無く、暦が薙刀を一閃させた。
「さすが暦ちゃん。さあ恵様、先へ進みましょう」
そう言う夢も、今矢を射る寸前だったよね?
そこから先も、何度か織田の兵士に捕まりそうになりながら、片っ端から倒して大坂を目指した。
しばらく琵琶湖の畔を南下し、大津を抜けて、私達は京に着いた。
「おや?そこ行く貴女達。もしや浅井家で長政様とお市様の側近だった者達では?」
突然、鴨川の四条大橋で私達は呼び止められた。
「貴方は?」
「俺は浅井家に仕えていた下級武士、藤堂高虎だ。今はいい士官先が見つからなくてな。浪人中だ」
「そうでしたか。私は紅月恵。こっちの3人は…」
「我は神薙暦。薙刀が得意だ」
「私は朝渚夢。弓をよく使いますわ」
「あたしは夕凪篠‼︎ 高虎さん前に何度か見掛けたよ。あたしには気付いてないみたいだったけどね」
「…ふむ、いい部下達じゃないか。ちょうどいい、急ぎでないなら、美味い餅屋を知ってるし一緒にどうだ?」
うーん、今は大坂に急ぎたいけど、そういえばここまであまり食べてなかったよね。
「それじゃ、少しご馳走になろうかな?」
「やったぁ、久々に食べるぞ〜‼︎」
「篠、ご馳走になるのだから少しは自重するんだぞ?」
「…そう言う暦も食べ過ぎちゃダメですよ」
みんな、少しは自重して食べてね?
と言いつつ、その餅屋さんのお餅はとっても美味しかった。
抹茶や、餡で包んだもの、きな粉餅などもあり、団子なんかも沢山の種類があった。
結局、私達全員食べ過ぎて、高虎に少し驚かれたのだった。
「そうか、貴女達はこれから本願寺へ?」
「えぇ、長政様の仇は私達で取る。そう決めましたから」
その日の夕方、私達は高虎に見送られていた。
「仇、か。俺は引き止めたりはしないが、無理はするな。…ひとつだけ助言するなら、信長はああ見えて用心深い。奇襲や、暗殺のような、搦め手も考えておくことをオススメするよ」
「…そうね、ありがとう」
「お餅美味しかったよ‼︎ またね〜‼︎」
「高虎殿、健勝でな」
「またいずれ会いましょうね」
「暦、夢、篠の3人も。貴女達の活躍は浅井軍の希望でもあった。これからも恵殿を頼む。
そして恵殿。もしも何かあれば、俺は出来るだけ助けになる。1人で抱え込むなよ?」
「ありがとう、高虎。ではまた」
「あぁ気をつけて」
彼と別れて、私達は大坂に向かった。
さあ、また戦いが待っている。
待ってなさい、信長。
貴方は、私達が倒す…‼︎
はい、答えは藤堂高虎でした‼︎
築城の名手として知ってる方も
いらっしゃるかもですね。
彼と次に会う時は、果たして
味方なのか敵なのか…>_<