~第六話~
「何処へ行かれるんですか!?」
そう言って、セラフィナイトを呼び止めたのはクロサイトだった。
「…………」
「こんな事だろうと思いました。貴方を追って来て良かった。もう時間がない、島を離れましょう!」
クロサイトはセラフィナイトの腕を掴んで、半ば強引に“森”の入り口から遠ざかろうとした。
「何故、貴方がこんな処に? 島から離れるように言った筈です」
セラフィナイトはクロサイトの手を振り解きながらそう答えた。
「分かっています。だから此処に来たんです。島から離れる時は四天王全員で、と。ジェムシリカ殿とクリソコラ殿も西の浜辺で私たちを待っていて下さっている筈です」
「何故、そんな事を?」
クロサイトの真意は分かっていた。
分かってはいたが……
「私にはやらなければならない事があります。貴方は御二人と今直ぐ島を離れて下さい」
「そして貴方は、シェルタイト様の御許へ行かれるのですか?」
普段の温和な彼とは思えぬ厳しい口調でクロサイトはそう切り返した。
「……っ!!」
「貴方もご存知でしょう? 神殿を護る為の“森”の機能は完璧です。首飾りを持たない貴方が一歩でもこの森に踏み込めば命はない! 貴方は絶対に神殿には辿り着けません!!」
「そんな事は分かっています! それでも私はっ!!」
「死ぬ覚悟は出来ている……という事ですか? 貴方は、最初からシェルタイト様と共に逝くおつもりだったのでしょう? 貴方のお気持ちは痛いほど分かります。でも、そんな事は許しません! そう思っているのは貴方だけではないのですよ! ジェムシリカ殿もクリソコラ殿も! そして勿論、この私も!!」
「それが、あの方の最期のご命令ならば……私たちはどんなに苦しくても哀しくても、生きていかなければならない! それが臣下としての責務です!!」
“共に来い!”と仰ってほしかった。
けれど、あの方はそんな事は絶対に仰らない。
だからこそ、私たちはあの方を愛した!
「行きましょう、セラフィナイト殿!」
「……???」
「ムーカイトが沈めば“森”の護りは効力を失う。私たちは直接オーバルで神殿を目指せる。行きましょう、シェルタイト様の御許へ!!」
「クロサイト殿……」




