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九十九の最後

あと、1か2話で完結させます。

(舐められたモノだな…。)

と、翔は思ったが実力差はかなりある。九十九は依頼も来るような本物(プロ)陰陽師(プレイヤー)。対する、翔は先にも述べたように昨日今日吸血鬼になった(ひよっこ)。この差を埋めることは難しい。絶対と言わないまでもほぼ不可能だ。

「手加減?寧ろ棒立ちしといてほしいな。」

だから、残念って言われるんだよ、翔。

「ふぅむ…。いいよ、棒立ちしといてあげるよぉ。」

と九十九は言うなり脚を肩幅に開いて仁王立ちした。

「これでいいかい?」

ニヤニヤと笑いながら問い掛ける九十九。余裕の笑みだ。

「随分と、余裕そうだな。何か切り札でも持っているのか?」

探るように問う翔。残念だけど、頭は良いんだよ。賢いんだよ。

「さてね、如何だと思う?」

未だ、ニヤニヤしながら話す九十九。

「思うよ、切り札持ってると。ちょっと見せてよ。」

翔は終始、無表情(ポーカーフェース)を貫く。

「まぁ、切り札であって伏せ札じゃ無いからいいか…。いいよ、でも、こんなことしたら死んじゃうかもね、黒神くん?」

わざと悼むような表情を作って話す九十九に

「始めから殺す気なんだろ?じゃあ、いいじゃん。」

翔はケロリと言って述べた。

「ふぅーん、尻尾巻いて逃げると思ったけどそうでもないみたいだね。」

じゃあ、教えてあげようかと九十九は続けた。

「清邪流だよ。」

九十九は色々、ペラペラ喋ったが内容は秀が言ったモノとほぼ同じだった。

(勝ち目があるかもしれない…)

翔は思った。

そして、翔はもう一つ思ったことがある。戦闘は先手必勝では無い。

「…一撃必殺。」

これこそ、戦闘に於いての真髄、

真骨頂。

これは、教えられたモノではない。本能的に悟ったモノだ。

「ほら、おいでよ。見せてあげるよ清邪流を。」

言うなり、九十九は身体の前に秀が創ったのと似た盾のようなモノを出現させた。しかし、明らかに違うことが一つ。それは、九十九のモノの方が清らかな雰囲気(オーラ)があるということだ。

翔は秀のときと同じように爪先(トー)に力を込める。

「う、らぁっ…!!」

パリンと、割れる音がするでも無くただ無音なのに崩壊する音が聞こえる。

「な、ぁ…っ?!」

自分の切り札をあっさりと破られ愕然とする九十九。

「これで、終わりだぁ…!」

蹴りをいれたことで九十九の懐に入れた翔はそのまま鳩尾を殴る。奇しくもこれは九十九が翔に喰らわせた一撃目と同じだった。

そのまま、重力に導かれ倒れて行く九十九。恨めしそうに上目遣いに睨みあげる九十九。

「殺さないのか、俺っちは殺す気だったのに。」

「殺さないよ、生憎人殺しには懲りたモノでね。」

九十九は致命傷を喰らったワケでは無い。仮に、翔が全力で殴っていたとしても蹴ったあとに体勢を整えれていなかったので致命傷になり得なかった。

鳩尾を殴られたのでもしかしたら肋骨なんかは折れているかもしれなかったがそれだけだ。

「はは……。」

九十九は、自嘲気味に笑い出す。

「そうか、そうか。ふぅーん、うん。はは……。」

そういいながら九十九はフラフラとヨロヨロと苦しそうに呻きながら立ち上がる。

…タァーーーーーーン。

「うぐっ…。」

立ち上がった九十九は再び倒れた。

「趣味、わりぃ、なぁ…。狙撃、銃、か…よ…。」

口の両端から血をタラタラと流しながら声を絞り出す九十九。

翔は理解出来ずに呆然とする。

「え…?」

「そうだよ、狙撃だよ。結構いい弾丸(たま)使ったんだよー。」

突如、靄がかかり靄から現れた秀。

手で、狙撃銃をクルクルと回しながら飄々と応える。

「生きていることは勝っていることと同じだよ。生きていること自体勝っていることだし、生きているから勝つことが出来る。ふふ、悪くないだろうこんな勝ち方でも。」

秀はニコリと微笑んだ。勝ち誇った強者のそれだ。

「知る、か、よ…。」

九十九の最後の言葉はそれだった。

「何も、殺すことなんて…。」

翔の言葉は誰の耳にも届かなかった。

さて、ラストスパート。

走って行きますよー!!

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