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僕は知っているよ。けど、僕は知らないからね

迷子なう。うん、前も言ったけど話思いつきすぎて纏まらないの。うふふ。


「うわー、広い…。」

それが、シャワールームへと足を踏み入れた翔の第一声である。

「そうよねー、広いよねー。あはは、ぶっ…」

そう応えながら、とめど無く鼻血を垂れ流すのは小鳥遊。

「いや、ほんと。服着たままでもいい身体だと思ってたけど、まさかここ迄とは…。」

眼福、眼福と変態じみたことをブツブツと呟く。

今の翔の格好はというと、ほぼ全裸である。まぁ、要は腰にタオルを巻いているだけなのだ。

程よく鍛えられた身体には余計な脂肪がなく、スラリと細く長く美しい形の良い手足が伸びている。

「あー、えっーと、髪洗ってくれるん「さ、ほら髪洗うから座った!座った!」です…よ…ね…、」

シャワールームとはいったものの、そこは銭湯の様な感じである。尤も、ここも秀の私物(?)であるが。

「あ、はい。」

と、言って差し出されたイスに腰を掛け翔。

「髪の毛解くよー。」

と、小鳥遊が言うのと同時に解かれる髪。サラサラと解けていく髪は何処となくキラキラと輝いて見えて美しい。

「……。」

小鳥遊はその様子を静かに見る。何となく、こうやって翔を見ていると自分が酷くちっぽけに思えてくる。彼も、彼の兄である社長も常軌を逸している。何がと言うと、うまく説明出来ないが見た目の美しさ、纏う空気(オーラ)、そんな様なモノだと思う。あまりに抽象的で、うまく説明出来ない自分に何故か嫌気がさしてくる。

「……。」

こんなに美しくなれたら、と翔の背中と髪を見ながら思う。

別に今の自分に満足していない訳では無い。しかし、こうも見せつけられれば(翔に見せつけているつもりはもちろんないが)思ってしまうのである。

「あ、えっと、洗わないんですか?」

首だけを此方に向けながら、問いかける翔。

「あ!そうね。そこにあるシャンプー取ってくれるかな?」

小鳥遊は翔の前に置かれたシャンプーを指差す。

「これですね、はい。」

翔は、ボトルを掴み後ろにいる小鳥遊に渡す。

手の形も爪の形も綺麗だなぁ、とか小鳥遊は思っていた。

「えぇ、ありがとう!」

小鳥遊は立ち上がり同じく翔の前にあるシャワーのヘッドを掴み、蛇口を捻る。もともと、丁度いい温度に設定されている優れモノなので小鳥遊はお湯を出すなり翔へかけた。

翔は、反射的に目を瞑る。

睫毛も長いなぁ、と小鳥遊は上から眺めながら思った。

シャンプーを3、4回プッシュしたあと泡立てて翔の頭を洗っていく。少しくすんでいた紺色の髪が綺麗な藍色へと色を変えていく。

その後、小鳥遊は背中を洗って

「後は自分でやってね!出たところで待っておくわ!」

と言い出て行く。


「お待たせしました…。」

5分程経ったとき、翔は覚束ない足取りで伝い歩きをしながら出て来た。乾ききっていない髪から出てきた水滴がポタポタと床へ落ちていく。何と言うか、色っぽい。じゃなくて、

「どうしたの?!」

もやしと言われるほど白い、否、蒼白い翔の顔はさらに蒼みが増していた。

「いや、何かすごくフラフラして…。」

小鳥遊はパタパタと翔に駆け寄っていく。そして、翔を支えようとしたが、

「小鳥遊、それ以上翔に寄らない方が賢明だよ。」

と、言う声と共に(いつもながら颯爽と)秀が現れた。

「何でですか!こんなにぐったりしてるんですよ!」

小鳥遊は怒ったように声を荒げる。怒ったように、というか怒っているが。

しかし、それに秀はフルフルと左右に首を振った。

「あぁ、ぐったりしているね。だからこそ、危険なんだよ。ちょっと精密検査と洒落込もうと思ったけどそれは又の機会にしようかな。小鳥遊、もう一度言うよ。翔から離れろ。」

秀は冷めた瞳で小鳥遊を見る。しかし、小鳥遊は

「好い加減にしてください!」

と言って、翔を支えに行く。

「僕は知らないからね、」

忠告はしてあげたのにね。と小さく心の中で呟いた。

翔の瞳は紅い…。

秀くんの説明文考えよう、

ついでに小鳥遊も。

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