バスケ
眠たい。
何でこんな時間に書いたんだろう。
ミスしまくってそう。
「うぅぅぅ…。……はぁ。」
吐瀉感を我慢しながら電車に乗るのは気持ち悪いらしい。紗良は1駅で電車を降りてしまった。
「この封筒どうしよう…。」
鞄に入らないこともないがA4のファイル程もある封筒を鞄に入れるのは少し不安がある。高級そうな見た目なので角を折ってしまったり千切れさせてしまってはいけないと思ったからだ。
「気分は悪いし封筒は邪魔だし…。使い方あってるのかわかんないけどこれが踏んだり蹴ったりってやつなのかな…。」
合ってるよ、使い方。だから、自信持ってよ。
「そういえばこの辺に公園あったよね。ちょっと休憩してから行こうかな。」
本当は授業に着いていけなくなるからなぁ…と呟く。
(というか、既に着いていけていないのが事実なのだが。)
「う、んー。」
まだ、この季節というのもありベンチの上には青々と葉を繁らせた桜の木があった。
「これなら、気分はマシになりそう。封筒は…うん、どうにもならないね。」
半ば諦めている紗良。
ともあれ、吐き気でこれ以上考え事が出来そうにない。
「んんー。寝ようかな…。」
横になりかけて、後ろから誰かに手を出され横になることを阻止される。
「阿保か、馬鹿めが。仮にも女なんだからこんなとこで寝んなよ。朝だからって油断してたら襲われるぞ?さらは、顔だけはいいしな。」
といって現れたのは先程帰ったと思われていた翔だった。
「アホじゃないしー、バカでもないしー。あ、いや、うんバカでは、あるかな?」
素で返す紗良。
「そうだよなー、確かに馬鹿だよな。中学ん時はいつも俺がテストの点勝ってたもんなー。」
紗良が阿保なのもありますが、違います。この残念イケメン、腹立つほど頭がいいだけです。まぁ、紗良が阿保なのもやっぱりありますがね。
「べっつにー。一緒の高校行ってるんだし学力なんてそうそう変わらないよ!」
とは、言ったが本当は翔が紗良の学力の学校までレベルを下げたのだ。県下どころか、全国でもトップクラスの学校を狙える翔としては些か(というより、大分)物足りない学校だが設備が充実しているため割と気に入っているようだ。
「んで、さらは何でこんなとこで寝ようとしてたの?まさか、襲われたかったのか?!」
ニヤニヤしながら聞く翔。おっさん系残念イケメンという新しいジャンルを開拓中のようです。
「わ、わたしが襲われるわけないじゃん?!ていうか如何して翔がここにいるの?」
顔を真っ赤に染めながら言い返す紗良。ああ、純潔って素晴らしい。大和撫子。
「あー、うん。頑張れ、俺の心。んで、俺がここにいる理由はアレね。」
泣くフリをしていた翔は顔を上げ小さな公園の隣にあるバスケのコートを指さした。
「ま、いろいろあったっていうか。それで、部活やめたんだけどやっぱやりたくなるんだよなぁ…。」
そう言い残すとスタスタとコートの方へと歩いて行き備え付けのバスケットボールを手に掴んだ。
「ふっ…!」
ボールの置いてある場所はコートから5mほど離れている。つまりゴールまでは33mほど。
「うっし!」
しかし、入ってしまった。
「すっご…。」
紗良は思わず声を漏らした。
「ん、ありがとー。」
翔はさして嬉しそうにはせず棒読み口調で言った。その瞳は何故か悲しげだった。




