カレーなる左手
掲載日:2026/06/16
妻がカレー作り置きしてくれた。
五感をフルに使い、食事をする。
その語呂に憧れて俺はカレーを手でいった。
確か左手しか使ったらダメだった気がする。
右手がトイレで拭くときの手で不浄の手らしい。
というわけでカレーに手をインした。
急に後悔が押し寄せたが、気にせず行こう。
カレーは液体で、時々具、
米は少し固まっている粒々の感触だった。
混ぜ合わせると米の粒々感とカレーのとろとろ感が合わさり、なんだか不思議な感じになった。
百均の粒々スライムみたいな感じ?
食欲や、腹を満たすために食事をするが、手で食べたら他の何かも満たされた気がした。
手で食べているという表現が正しいのかもしれない。
いつものカレーが急に彩り豊かになった様だった。
新たな感覚に出会い、大満足だ。
あ、手がベトベトだ。
手を洗いに行った。
軽い気持ちで。
洗った。
なんかベトベトする。
洗った。
手からカレーの匂いがする。
洗っても洗ってもカレーの匂いがする。
手のカレーの匂いが部屋に充満する。
カレーの匂いが……。
……妻にスプーンがなんで綺麗なのか聞かれたので話してみると、
そもそも左手が不浄の手だし、フツーに仏教徒なのにカレーを素手で食べるヤツは嫌だと言われた。
俺はカレー臭のする不浄の手を手に入れた。




