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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第九十五話 実践的な話と父親の様子

 翌日から、実践的な話を聞くことになった。

 僕たちに説明をしてくれるのはワーナーさんで、ヘルナンデス様とハーデス様は国防に関する話をするという。

 僕もヘルナンデス様とハーデス様の話に参加した方がいいかなと思ったが、僕の代わりにスラちゃんが話を聞いてくれる事になった。

 スラちゃんなら筆談もできるし、意思疎通も全く問題ない。

 そして、チビスライムたちはランディちゃんの遊び相手をするという。

 ランディちゃんも、チビスライムの事をとても気に入っていた。

 僕たちは、応接室に移動して早速勉強を始めた。


「辺境伯領は、ただ国境を守っているわけではない。周辺領地を結ぶ街道の維持ももちろんだが、周辺の小領地をまとめる役割も持っている。小領地同士の紛争が起きた際には、辺境伯家が国に成り代わって対応しないとならない」


 小さな騎士爵領や準男爵領もあるため、やらないといけない事は沢山あるという。

 こういう時のために寄親寄子などを決めていて、普段はそこで対応するという。

 僕の場合は、僕自身を王太后様、ヘルナンデス様、エレンお祖父様が後見人として見てくれていて、アスター男爵家はヘルナンデス様とルーカス様が寄親として見てくれていた。

 でも、知り合いになった多くの貴族家が僕のことを見守ってくれるんだよね。


「いわば、辺境伯領とその周辺領地は小さな王国みたいなものだ。王国はとても広い領土を持っている。全てを王家でカバーするのは不可能だ。だからこそ、多くの貴族が協力して政策を進めなければならないのだ」


 ワーナーさんの説明を、上級官僚はメモを取りながら真剣に聞いていた。

 もちろん、僕も真剣に話を聞いていた。

 普段王都にいることが多いから、こうした地方の状況はとても勉強になった。

 その後もワーナーさんから辺境伯家のことを学び、午前中の勉強は終了した。

 そして、昼食の際に明日の予定を教えてくれた。

 どうやら、当初の予定から変更が入ったという。


「明日は、早朝より国境の前線基地に行くことになった。国を防衛している最前線がどんな仕事をしているのか、よく勉強するように」

「「「「「はい!」」」」」


 ヘルナンデス様の説明を聞き、上級官僚は揃って返事をした。

 でも、ちょっと気になることが。


「ヘルナンデス様、前線基地には父親を含む贅沢派が派遣されているはずですが……」

「それなら心配ない。奴らは、こんなところで寝られるかと騒ぎを起こして、麓の軍事基地に送られた。もはや、退役待ったなしだ」


 ヘルナンデス様も呆れながら説明してくれたが、もう誰が何を言っても無駄なのかもしれない。

 軍を追放された父親が別の仕事に就くのはほぼ無理で、実家の破滅へのカウントダウンが始まったと言えよう。


「もちろん、仮に戦争が始まれば再び前線に送られる。どんな仕事だろうが、もはや拒否するのは不可能だ」


 ヘルナンデス様も、少し厳し目の口調で話した。

 僕たちに、問題を起こせば相応の罰を受けることになると言っているに等しい。

 僕は自分勝手な行動をして罰を受けた貴族を見てきたから、進んで愚かな行為をしようとは思わない。

 そもそも、父親と兄みたいな人物にはなりたくなかった。


「なお、万が一戦闘が発生したら、上級官僚の諸君らは速やかに避難をする。ケン君は、状況に応じて治療を行ってもらう」


 ヘルナンデス様の方針に、皆が頷いた。

 僕たちは前回の戦闘と同じ対応をすればいいし、そもそも国境警備も強化されている。

 何かあっても、直ぐに対処できるはずだ。

 ということで、対応も決まったので僕たちは午後も休憩を挟みながらワーナーさんから色々な話を聞いた。

 かなり貴重な話も教えてくれ、充実した一日だった。

 チビスライムたちは相変わらずランディちゃんの相手をしていて、ランディちゃんもとっても喜んでいたという。


「我々が王都に戻ってからになるが、ギャイン騎士爵を始めとする贅沢派は武装解除されて王都に送られる。その際に、魔導船を使って送ることになった」

「昨年の震災時の、問題を起こした兄みたいですね」

「言い得て妙だが、まさに同じケースになる。多数の命令違反により、軍事裁判にかけることになった。貴族家としての罰は受けないが、少なくとも現当主の間はまともな扱いを受けることはない」


 夕食時に、ヘルナンデス様が父親たちへの処分について教えてくれた。

 ヘルナンデス様曰く、詳細は教えてくれなかったがどうも麓の軍事基地でも父親たちは問題を起こしたという。

 僕は、もはや呆れを通り越して何も言えなくなった。

 軍人や貴族としてでなく、人として全くダメダメだ。

 恐らく、偉い人たちも激怒するのは間違いないだろう。

 それでも、父親たちは自分たちは偉いという信念を崩さないのだろうな。

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