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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第九十三話 研修のためにガルフォース辺境伯領へ

 二週間後、僕たちは魔導船に乗ってガルフォース辺境伯領へと向かっていた。

 魔導船も改良型で、一度に乗客が十人乗ることが可能だった。

 因みに研修は数回に分けて行うそうだが、これは魔導船に乗船できる人数に制限があるからだった。

 途中軍の基地に泊まり、いよいよ今日ガルフォース辺境伯領に到着する。


「国境に来るのも、何だかとても久しぶりです」

「ケン君が六歳の時に、初めて国境に行ったのか。その頃と比べると、ケン君も大きくなったはずだ」


 今回は国防に関する打ち合わせを行うため、ヘルナンデス様も僕たちに同行していた。

 最新の国境の情報を入手して、この先どうするかをハーデス様と話し合うという。

 そして、チビスライムたちは久々の魔導船の窓から見る風景に釘付けだ。

 空から町並みを眺めることは、前世でもこの世界でも中々ない。

 道中は何もなく、僕たちを乗せた魔導船はお昼前にガルフォース辺境伯領にある軍事基地に無事に着陸した。

 そして、馬車に乗り換えてハーデス様の屋敷に向かった。


「前に来た時よりも、町の様子に活気が溢れていますね」

「町が平和な証拠だ。人々も、とても良い笑顔をしている」


 ヘルナンデス様も、馬車から見える活気ある町の光景に満足そうな表情を見せていた。

 商店に商品も多く並び、市場にもたくさんの野菜と果物が並んでいた。

 そんな活気ある通りを過ぎ、僕たちを乗せた馬車は無事にヘルナンデス様の屋敷に到着した。

 玄関で馬車から降り、直ぐに屋敷の応接室に案内された。


「ようこそ、ガルフォース辺境伯領へ。諸君らの来訪を歓迎する」


 応接室に入ると、ハーデス様が僕たちを出迎えてくれた。

 僕とヘルナンデス様は笑顔で久々の再会の握手をしたが、他の人たちは迫力あるハーデス様に少しビクビクしながら握手をした。

 そして、僕たちは席について改めて挨拶をした。


「しかし、ケンの活躍ぶりは凄いな。昨年の震災の復興の際の大活躍も、辺境伯領でも大きな話題になっているぞ」


 ハーデス様が上機嫌で話すので、僕は恐縮しっぱなしだった。

 すると、ハーデス様がこんなことを話してきたのだ。


「既に国に伝えているから、君たちにも伝えよう。どうも、帝国側で不審な動きがあるという。兵糧を集めているという噂だ」

「普通は、基地に必要な分しか兵糧を集めないですよね」

「ケンの言う通りだ。早速、各地の軍事基地から応援が到着することになっている」


 よく考えると、王都から特別訓練の名目で父親たち贅沢派の兵が国境に向かっていたはずだ。

 そろそろ国境に到着したタイミングだが、ヘルナンデス様はその辺の対策もしているという。


「奴らが最前線を志願すれば話は別だが、そうでなければ後方支援をやらせる。仕事は山ほどあるからな」


 確かに、最前線の国境の基地はみんな何かしらの仕事をしていた。

 父親たちも、仕事をやらざるを得ないはずだ。

 というか、父親にできる仕事は限られている。

 前線の兵は貴族など関係ないし、生きるか死ぬかの世界だもんね。


「諸君らは、長旅で疲れているだろう。今日は体を休め、夕方に歓迎会を開く」

「「「「「はい!」」」」」


 僕たちが返事をすると、ハーデス様は満足そうに頷いた。

 そして、客室に案内されて荷物を置いて、昼食を食べるために食堂に案内された。


「「「「「「うわあ……」」」」」

「どうした? 遠慮せずに席に着いてくれ」


 既に、食堂には昼食には思えない豪華な食事が用意されていた。

 ハーデス様に促されてようやく席に着くが、僕以外は全員平民出身なので豪華な食事に圧倒されていた。


「上級官僚の諸君らは、我々のような立場のものと食事をする機会も増える。こういう食事をするのも、一種の勉強だ」

「「「「「頑張ります」」」」」


 ハーデス様に促されて、上級官僚たちはようやく昼食を口にした。

 マナー講座も受けているので、食事マナーも完璧にこなしている。

 しかしながら、緊張だけはどうしようもなかった。


「そうそう、歓迎会の時に息子夫婦を紹介しよう。前回の戦争時は、たまたま王都にいたのだよ」


 ハーデス様の息子さんがどんな子どもなのか、僕もかなり気になった。

 因みに、ハーデス様の奥様は既に亡くなられており、息子の嫁が屋敷を取り仕切っているという。

 更に、追加情報ももたらされた。


「周辺貴族の領主も歓迎会に来る予定だ。良い機会だから、話をするといいだろう」


 既にハーデス様の息子夫婦でお腹いっぱいなのに、更におかわりまで来てしまった。

 上級官僚たちは、無事にやっていけるのかととても不安になっていた。

 そんな上級官僚たちの様子に、ヘルナンデス様は思わず苦笑してしまったのだった。

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