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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第八十八話 とてもにこやかな結婚式

 結婚式も近くなり、僕たちはそれぞれの席に着いた。

 僕はエレンお祖父様たちと一緒の席で、ルーカス様の関係者扱いになっていた。

 因みに、大騒ぎしていた四人の貴族当主が捕まって以降、何事もなかったかのように平穏に進んでいた。

 警備も強化されたし、今後は不穏なことはないはずだ。


「間もなく、新郎が入場します」


 係の人のアナウンスと同時に教会の扉が開き、ルーカス様が一礼して祭壇の前に向かった。

 いつもとてもカッコいいルーカス様なんだけど、今日はいつもよりも緊張していますね。

 それでも、背筋はピンと伸びていて、とても引き締まった表情だ。

 ルーカス様の顔見知りがルーカス様に声をかけており、ルーカス様もにこやかに対応していた。

 厳格な雰囲気だったアーサー様の結婚式とは違い、とてもアットホームな感じだ。


「それでは、新婦が入場します。大きな拍手で出迎えて下さい」

「「「「「わあっ!」」」」」


 係の人のアナウンスで再び教会の扉が開くと、とても綺麗な純白のウェディングドレスに身を包んだシーリアさんが現れた。

 いつもは元気いっぱいなシーリアさんだが、スタイルもいいのでウェディングドレスがとても映えていた。

 そして、新婦のシーリアさんと腕を組みながら一緒に入ってきたのは、シーリアさんの父親のポール侯爵だ。

 ポール侯爵は角刈りのあごひげの凄く迫力のある軍人で、しかもとても頭も良かった。

 なんだけど、娘のシーリアさんのことをとても大切にしていた。

 今も必死に涙をこらえていて、言い方が悪いけど物凄く悪人面になっていた。


 シュ、シュ、ふわー。


 そして、シーリアさんたちの少し先では、スラちゃんたちが小さな籠に入った花びらを宙にまいていた。

 しかもリーフちゃんが得意の風魔法で花びらが綺麗に舞うように調整しており、教会にいる人からとても綺麗だと感嘆の声が上がっていた。

 ポール侯爵とルーカス様がガッチリと握手をして、ルーカス様はシーリアさんを受け取った。

 ポール侯爵は、来賓席に着くと思わず涙を抑えることができなかった。

 その間に、スラちゃんたちは大役を果たして僕の席にやってきた。

 とても良い演出で、僕の隣に座っているシンシアお姉様もとても良かったとスラちゃんたちをとても褒めていた。


「それでは、これより神に新たな夫婦が誕生することを報告する」


 神父役のサイオン枢機卿様の声に、集まった来賓も真剣な表情でルーカス様とシーリアさんを見た。

 教会内が静まるのを待ってから、サイオン枢機卿様は言葉を続けた。


「それでは、ルーカス・ホークスターはシーリア・ポールを妻とし、終生愛することを誓いますか?」

「誓います」

「シーリア・ポールは、ルーカス・ホークスターを夫とし、終生愛することを誓いますか?」

「誓います」


 婚姻の宣誓も無事に終わり、続いて指輪の交換を行った。

 そして、結婚式のメインイベントです。


「それでは、神の前に誓いの口づけを」


 サイオン枢機卿様の言葉に、ルーカス様とシーリアさんはお互いに向かい合った。

 そして、ルーカス様はシーリアさんのヴェールを持ち上げると、サッとキスをした。

 おお、流れるようなとてもスマートなキスだ。

 来賓から、カッコいいという言葉も漏れ聞こえる程だった。


「おお、ここに新たな夫婦が誕生した。大きな拍手で祝福して下さい」


 サイオン枢機卿様の声にルーカス様とシーリアさんが改めて一礼すると、会場から大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 そして、腕を組んでバージンロードを歩く二人に、祝福の声がかけられていた。

 二人ともとてもにこやかに返事をしていて、終始和やかな雰囲気だ。


「以上をもちまして、結婚式を終了します」


 こうして、多くの人に祝福されながらの結婚式は無事に終わった。

 この後は、順次王城に向かって披露宴が行なわれる。

 アーサー様の時と同様に、王家や上位貴族から順に王城に移動する。

 僕は後の方なので、ゆっくり待つことにした。

 すると、王妃様が席を立って僕にこんなことを言ってきたのだ。


「ケン君、念のためにスラちゃんたちをルーカスのところに向かわせてくれないかしら。大丈夫だと思うけど、念には念を入れておきたいのよ」


 貴族主義勢力の四人の貴族当主の暴走もあり、万が一を懸念しているみたいだ。

 僕よりも先にスラちゃんたちが王妃様に触手をフリフリとし、ルーカス様とシーリアさんのいる控室にぴょんぴょんと向かった。

 スラちゃんたちはとても強いし、アーサー様とメアリーさんのパレードの際にも護衛についている。

 僕も、きっと大丈夫と思いながら馬車の順番を待っていた。

 そして順番が来て僕も馬車に乗り、ノーム準男爵家の人々と王城に向かった。


「うーん、今のところ嫌な感じはないですね」

「なんにもないよ」


 王城に着いて披露宴会場に入ったけど、どうやら危ない気配はなさそうだ。

 勘の鋭いクリスちゃんも、危ない気配を感じてはなかった。

 来賓も気心しれた人たちだし、平民の人たちも全く問題ない。

 参列者の三分の一が軍の関係者だから、何かあっても直ぐに対応できそうだ。


「静粛に。間もなく新郎新婦が入場します」


 そして、お色直しを終えたルーカス様とシーリアさんが、披露宴会場に姿を現した。

 二人の足元に、またまたスラちゃんたちがぴょんぴょんとしていた。

 殆どの人たちは結婚式でスラちゃんたちの頑張りを知っているから、微笑ましい表情でスラちゃんたちを見ていた。


「それでは、二人の将来を祝し乾杯とする。乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」


 陛下の乾杯の挨拶で披露宴は始まり、挨拶対応もとてもにこやかだった。

 特に、食堂のおばちゃんはニコニコ顔でシーリアさんと仲良く話をしていた。

 ルーカス様も顔見知りの軍人と楽しそうに話をしており、中にはルーカス様の結婚を泣いて喜ぶ軍人もいた。

 こうして披露宴は和やかな雰囲気の中で進んで行き、結果的に何もトラブルは起きなかった。

 そして、スラちゃんたちがとても頑張っていると、僕に話してくる軍の関係者もたくさんいた。

 スラちゃんたちには、美味しいご褒美をあげないとね。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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