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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第七十六話 久々のゆっくりとしたお茶会

 こうして、普段の訓練や勉強と並行してスラム街にある教会を拠点とした奉仕活動を行った。

 犯罪者が反抗して兵に切りかかったこともあったが、屈強な兵によって直ぐに抑えられた。

 軍もこの程度の反抗は想定済みで、ある意味軍の訓練になると言っていた。

 年末までに三箇所全てのスラム街での奉仕活動を終え、得られた情報を元に犯罪組織の壊滅作戦も行われた。

 僕には未だ危ないということで、スラちゃんたちが僕の代わりに犯罪組織の拠点壊滅作戦に参加して大活躍していた。


「犯罪組織を潰していくと、貴族主義勢力の貴族に繋がっていくケースもあった。スラム街の治安向上だけでなく、貴族にとっても大きな効果があった」


 今日は、王城に呼ばれてアーサー様、ルーカス様、ヘルナンデス様と話をしていた。

 ルーカス様曰く、今は軍も情報分析や尋問などでとても忙しいという。

 とはいえ、問題のある忙しさではないので大丈夫らしい。


「スラム街の改善点も把握し、現在改革を進めている。上手くいけば、スラム街の解体にも繋がる」


 アーサー様も、僕たちの聞き込みから得られた情報はとても有益だと言っていた。

 王家の代々に渡って、スラム街の改善は大きな悩みのタネだという。

 少しずつでも、スラム街の改善が進んでいくだけ凄いらしい。

 官僚も大忙しらしいが、アーサー様曰く問題ない忙しさだという。


「流石に、私でもケン君たちがここまでやるとは思わなかった。ある意味怪我の功名とも言えよう。しかし、ケン君がおばさんに襲われたと聞いた時は、何が起きたのかとおもったぞ」


 ヘルナンデス様は、苦笑しながら大教会であったことを思い出していた。

 あの、僕もあのことは思い出したくないですよ……

 できることなら、頭を殴ってでも記憶から抹消したい。

 そして、僕を襲ってきたおばさんはなんと貴族家の令嬢だということが判明した。

 行き遅れた中年の独身女性で、兄である貴族当主は何度も謝ってきた。

 おばさんの対応は兄に任せることにしたが、流石に屋敷にいるのは難しいだろう。


「気分転換に行った奉仕活動が、これだけの効果を出したんだ。普通なら、勲章をもらうレベルだ」

「あの、もう勲章とかいらないです……」

「ケン君らしい返事だな。まあスラム街の対応は終わっていないし、勲章授与は後日になるだろう」


 ヘルナンデス様、それだと既に勲章授与が決まっている言い方ですよ。

 他の人たちも、うんうんと頷かないで下さい。

 これだと、何かのタイミングで強制的に勲章を渡されそうだ。

 僕は、思わずガクリとしてしまった。

 これで話し合いは終わりらしく、僕は別の応接室に向かった。


「ケン君を、無理矢理抱きしめるのはよくないわよね。身体的接触は、相手との信頼関係がないと単に嫌悪感を与えるだけだわ」


 王太后様とメアリーさんとお茶をする事になり、王太后様は大教会での一幕をありえないと断じていた。

 同じおばさんでも、ハンナおばさんに抱きしめてもらうのは全然平気だ。

 やはり、信頼関係ってのは大切だと改めて感じた。


「ケン君が熱狂的なファンに無理矢理抱きしめられたことは、実は結構な衝撃だったのよ。私も、かなりビックリしたもの。そして、ケン君がファンの少ないスラム街で奉仕活動をしていると知って、大教会で奉仕活動に参加した令嬢もだいぶ気にしていたわ」


 元々奉仕活動に参加していた貴族令嬢は、僕のことをとても心配しているという。

 メアリーさんのところに様子を聞きに来た人もいるそうで、そういう人はとてもありがたかった。


「とはいえ、ケン君の人気は暫く続きそうね。明日行われる夜会でも、ケン君の人気にあやかって接触を試みるものがいるはずよ」

「私も挨拶対応に回るから、シーリアさんに頼んでおくわ」


 王太后様とメアリーさんは、かなり僕のことを気にかけていた。

 本当にありがたいと思うのと同時に、申し訳なく思ってしまった。


「ケン君は上級官僚になったとはいえ、まだまだ幼いわ。両親がいないに等しいのだから、誰かが面倒をみないといけないのよ。きっと、他の人たちもケン君を気にしているわ」


 王太后様の言葉を聞き、僕のことを気にしてくれる人たちのことを思い出した。

 シンシアお姉様やクリスちゃんはもちろんのこと、フリージアお祖母様も僕のことをかなり気にしていた。

 そういう意味では、とてもありがたいことなのかもしれない。


「スラム街での奉仕活動は、一旦春で終わりにする予定よ。この後はどう動けばいいのか、情報分析を行うことにするわ」


 メアリーさんが、この後の予定を教えてくれた。

 奉仕活動自体は問題ないので、今後も引き続き行うという。

 こういう依頼なら、僕たちも張り切って行うつもりだ。

 こうして少し穏やかな年の瀬が過ぎていった。

 屋敷に戻ると、スラちゃんが他のチビスライムたちに魔法を教えていた。

 もっと強くなるぞと、チビスライムたちは気合を入れていたのだった。

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