第七十話 結婚式の始まり
「静粛に、間もなく新郎が入場します」
係の人のアナウンスで、大教会内の喧騒がピタリと止んだ。
程なくして大教会の後方にある扉が開き、王家の正装に身を包んだアーサー様が一礼して入ってきた。
普段もとてもカッコいいアーサー様だけど、今日は凛々しく歩いていて一段とカッコ良かった。
そして、アーサー様の胸ポケットにはリーフちゃんがちょこんと入っていた。
少しだけ体を出して、周囲の気配を確認していた。
アーサー様が祭壇前に到着し、いよいよ新婦が入場する番になった。
アーサー様も、少し緊張した表情に変わった。
そして、この時になってスラちゃんが神父役のサイオン枢機卿様の前にある祭壇にちょこんといたのに気がついた。
みんな、結婚式を成功させようと気合満々だ。
「お待たせしました。新婦の入場です。大きな拍手で出迎えて下さい」
再び係の人のアナウンスがあり、全員が一斉に入口の扉に注目した。
扉が開くと、純白のウェディングドレスに身を包んだメアリーさんと父親であるバンクシー公爵が一礼した。
メアリーさんはスタイルもとてもいいので、レースをふんだんに使ったウェディングドレスがとても似合っていた。
そして、ドレスのスカートのフリルのところに、シロちゃんがちょこんと入っていた。
シロちゃんは元々体が白いから、周りの人はシロちゃんの存在に全く気がついていなかった。
メアリーさんと一緒に入場してきたバンクシー公爵は、サイオン枢機卿様と一緒に枢機卿だ。
今日は立派な聖職者の服に身を包み、感慨深そうにメアリーさんと一緒にあるいていた。
そして、アーサー様が祭壇前でバンクシー公爵とガッチリと握手をしてからメアリーさんを受け取った。
こうして二人が並ぶと、美男美女でとても絵になった。
「それでは、これより神に夫婦が誕生することを報告する」
サイオン枢機卿様の言葉に、アーサー様とメアリー様も含めたこの場にいる全員が真剣な表情となった。
まさに、静寂とはこのことをいうのだろう。
「アーサー・ホークスターは、メアリー・バンクシーを妻とし、終生愛することを誓うか?」
「誓います」
「メアリー・バンクシーは、アーサー・ホークスターを夫とし、終生愛することを誓うか?」
「誓いますわ」
神の前での宣誓で、アーサー様とメアリー様はハッキリと答えた。
サイオン枢機卿様も、二人の答えに満足そうに頷いた。
「それでは、お互いに指輪の交換を」
サイオン枢機卿様の言葉の後に、シスターさんがリングピローを二人の前に差し出した。
アーサー様とメアリー様は、リングピローから指輪を取ってお互いの指に指輪をはめた。
シスターさんが元の位置に戻り、アーサー様とメアリー様も再びサイオン枢機卿様の前に向き直った。
「それでは、神の前にお互いの愛を示すように」
どうやら、この世界での誓いの口づけのことみたいだ。
かくいう僕も前世では一度も結婚式に参列したことがなかったので、文言などはよく分からない。
アーサー様はメアリー様のヴェールを上げ、一瞬見つめ合ってから口づけを交わした。
「今ここに、新たな夫婦が誕生した。盛大な祝福を与えよ」
アーサー様とメアリー様がこちらを向いて一礼すると、盛大な拍手が沸き起こった。
もちろん、僕も二人に大きな拍手を送った。
二人は、腕を組んでゆっくりと歩いていた。
その間も大きな拍手は起こるが、王家の結婚式なので囃し立てるような声を上げるものはいなかった。
二人は周囲の人たちににこやかに手を振っていて、僕とも一瞬目が合った。
そして、一礼してから扉から退出した。
結婚式はこれで終わりだそうで、前世にあったようなブーケトスはないという。
この後はパレードに向けて準備を進めるそうで、僕たちは少し教会の中で待つことになった。
因みに、スラちゃんはこっそりと祭壇から外に移動していた。
「エレンお祖父様、とても良い結婚式でしたね」
「うむ、殿下もメアリー様もとても幸せそうだった。これなら、王家も安泰だ」
エレンお祖父様だけでなく、周囲にいる貴族はみんな良い結婚式だと語り合っていた。
若干悔しそうな表情をしている貴族がおり、間違いなくアーサー様に嫁を送り込めなかった貴族主義勢力の貴族でしょう。
とはいえ、今のところ何かをしでかしそうな雰囲気は全くなく、もちろん警備兵も悔しそうな貴族を監視していた。
読んでいただき、誠にありがとうございます
ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
作者のモチベーションも上がります!




