第六十八話 陛下からのある依頼
アーサー様とメアリーさんの結婚式が、五日後に近づいてきた。
最近は護衛につく兵の訓練も熱を帯びてきていて、その度に負傷兵への治療をしていた。
町も段々と華やかな雰囲気になってきていて、パレードを行う道の両側は飾り付けなども始まっていた。
もちろん、パレード時の安全対策のために不審者の取り締まりも強化されていた。
そんな中、僕たちは陛下に呼ばれて王城の大会議室にいた。
ヘルナンデス様や閣僚もいるとても重要な会議なのだけど、僕がいていいのだろうか……
「ケンに頼み事があって呼んだ。それに、ケンは上級官僚なのだから今後はこういう会議にも出ることになるぞ」
陛下、ニヤリとしながら言わないで下さい。
上級官僚試験に合格したといっても、僕はまだまだ未成年ですよ。
とはいえ、僕を呼んだのはまさに間近に迫ったアーサー様とメアリー様の結婚式に関することだという。
「用件というのは、ケンのスライムを結婚式の前後に貸して欲しいということだ。厳重な警備を敷くが、万が一ということもある。特に、小さなスライムならポケットに入る事も可能だ。スラちゃんにも、パレードの際に馬車に入って万が一に備えてもらう。とにかく、使えるものは何でも使って対応する」
陛下からの直々のお願いに、スラちゃんたちは綺麗な臣下の礼をしていた。
スラちゃんたちもアーサー様とメアリーさんとは仲良しだし、頑張ろうととても気合を入れていた。
さっそく今日からアーサー様とメアリーさんと一緒に行動することになり、スラちゃんたちはとても張り切っていた。
「もし、ケンがいる場面で何かあったら、遠慮なく魔法で吹き飛ばして構わない」
僕が魔法を放つ前に、警備の兵が取り押さえると思うなあ。
とにかく、畏まりましたと答えておこう。
すると、更に予想外の展開になっていった。
「折角だから、ケンはこのまま会議に参加するように。今日は、そこまで重要な議題はない」
陛下の言葉を聞いた瞬間、僕は思わず固まってしまった。
ヘルナンデス様と閣僚は、ご愁傷さまって苦笑していた。
しかし、誰も僕を助けてはくれなかった。
こうして、僕は一時間みっちりと話を聞いていたのだった。
「まあ、そんなことがあったのですね。でも、みんなが側にいるのは心強いですわ」
昼食にも招かれて、その場にいた人たちにも事情を説明した。
メアリーさんはチビスライムたちとも仲良しだし、直ぐにみんなもメアリーさんの側に行った。
美味しそうな食事も出してもらっているが、みんなはお金よりも美味しいものの方がやる気になりそうだ。
因みに、既に結婚式に必要なものは全て揃えていて、後は当日対応するだけだという。
そして、王妃様はこんなことを口にした。
「アーサーに嫁を送り込めなかった貴族主義勢力のものが、私的には一番怪しいわ。もちろん、帝国のテロも警戒しないといけないけど」
陛下と王妃様が結婚した時も、一部の貴族が怪しい動きを見せたらしい。
今回は既に複数の貴族主義勢力の貴族が排除されたが、まだ怪しいものはいるという。
何事も起こらないことが、何よりも一番大切だ。
こうして色々と話をしつつ、昼食は終わった。
「じゃあ、折角だからケン君も公務に行きましょう」
あの、王妃様、何を言っているのでしょうか。
この後福祉に貢献のあった貴族夫人への表彰をするらしく、王太后様とメアリーさんも参加するという。
しかも、僕の参加は決定しているような口調だった。
上級官僚研修の中には式典の補佐というものがあり、ちょうどいいと言っていた。
こうして、僕の午後の予定が決定したのだった。
「【蒼の治癒師】様も王都に凱旋した時にはとても小さかったのに、こうしてとても大きくなったのね」
「史上最年少で上級官僚試験に合格したし、ケン君は本当に凄いわ」
「王家の方々はケン君の才能を見出したと、とても評価が高いのよ」
表彰式後はお茶を飲みながら話をしていたのだが、何故か僕のことが話題になっていた。
しかも、御婦人が話すことが全て事実なため、否定する事もできない。
僕は、何とか笑顔を保ちながら話をしていた。
そんなワタワタしている僕のことを、王太后様、王妃様、メアリーさんはにこやかに見つめていたのだった。
読んでいただき、誠にありがとうございます
ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
作者のモチベーションも上がります!




