第六十一話 乗馬訓練
カンカン、カンカン。
「「えい、えい!」」
僕とクリスちゃんは、週二回ダイナー男爵家で剣の訓練をしていた。
僕も頑張って毎日木剣を振るっていたが、クリスちゃんは僕よりも全然強かった。
やはり、僕にはまだまだ剣の経験が足らなかった。
少し悔しいのもあったが、素直にクリスちゃんは凄いとも思った。
「でも、ケン君が身体能力強化魔法を使うと、凄い動きをするんだよね。私も、もっと頑張らないと!」
手合わせを終えると、僕達は休憩しながらお互いに感想を言い合っていた。
身体能力強化魔法はまだまだだと思うし、魔法使いのタイプ的にもクリスちゃんの方が身体能力強化魔法を上手に使えるかもしれない。
タオルで汗を拭きながら、そんなことを考えていた。
「今度、ケン君の屋敷に行ったらお魚を見るんだ!」
ダイナー男爵家の庭には池がないため、僕の屋敷に来た時に池が羨ましいと言っていた。
僕の屋敷の池はスライムたちがしっかり管理しているため、環境もとても良かった。
さて、今日はこの後軍の施設に行って乗馬訓練をすることになっている。
僕とクリスちゃんは、身支度を整えて馬車に乗り込んで軍の施設に向かった。
「「「「「ヒヒーン」」」」」
「わあ、お馬さんが沢山いるね!」
厩舎の前に向かうと、沢山の馬が厩舎の中にいた。
朝の訓練を終えた後らしく、兵に体を洗って貰っている馬もいた。
クリスちゃんとスラちゃんたちは、沢山の馬にとても興奮していた。
「馬は多くの場面で活躍するから、しっかりと世話をしている。それに、馬糞などは発酵して肥料にして農家に配ったりもしている」
「へぇー!」
担当の兵の説明を聞き、とてもビックリしていた。
僕の屋敷でも、馬糞を肥料にして庭にまいたりしている。
そのお陰か、緑豊かな環境となっていた。
「では、さっそく馬の勉強をしよう。馬はとても性格が優しいと言われているが、嫌なことがあったら攻撃的になる。だから、優しく声をかけて褒めてあげるのが大切だ」
「「はい!」」
馬も生き物だから、嫌なことはしたくないはずだ。
クリスちゃんやスラちゃんたちも、真剣に話を聞いていた。
「実際に馬に触ってみよう。一頭の馬を連れてくる」
そういうと、担当の兵が厩舎に入った。
そして、一頭の鹿毛の馬を連れてきた。
こうして見ると、馬は僕の体よりもとっても大きかった。
「わあ、すごーい! 大きい!」
「ブルル」
クリスちゃんとスラちゃんたちが大喜びしているのを見て、馬は得意げに嘶いた。
ちょっとお調子ものの馬みたいだ。
「では、馬に触ってみよう。優しく撫でてあげて」
「はい!」
僕たちは、馬の鼻面や額を撫でてみた。
「わあ、温かいね!」
「ブルッ」
馬も、特に暴れることなくクリスちゃんに撫でられていた。
僕も馬を撫でるが、中々面白い感触だった。
「では、実際に馬に乗ってみよう」
「わーい!」
馬場で馬に乗ることになり、早速移動する。
馬の側に台が置かれ、最初に僕が乗ることになった。
「よいしょ、っと。わあ、とっても高い!」
「ブルル」
鞍に跨ると、いつもの高さが変わってかなりビックリした。
スラちゃんたちも一緒に馬の背中に乗っていて、その高さに驚いていた。
「最初は、私が手綱を引いて……」
パカパカパカ。
「凄いね、馬に乗るって不思議な感じだね」
「ブルル」
馬は歩くのは当然だと言っていたが、僕やスラちゃんの指示はキチンと聞いてくれた。
ゆっくり一周回って、台のところに戻ってきた。
「よっと。凄く賢い馬ですね。初めてなのに、ちゃんとお話できました」
「お、おお、そうか。とはいえ、馬には色々な歩き方があるから、次はキチンと覚えないとな」
とても貴重な体験に、僕もスラちゃんたちもとても興奮した。
担当の兵が何か言いたそうだったが、特に気にしないでおこう。
「よいしょ。わあ、すごーい! スラちゃん凄いね!」
「ブルル」
次に乗ったクリスちゃんも、直ぐに馬を操っていた。
僕たちが馬に乗せられている感じもしたが、初めての乗馬だと上々なのかもしれない。
交代で何回か馬に乗り、スラちゃんたちだけでも馬に乗っていた。
「おっ、中々上手く乗っているな」
すると、ルーカス様が僕たちの近くにやってきた。
どうやら、僕たちの乗馬訓練を見に来たようだ。
「ルーカス様、いきなり一人で馬を操っていました。しかも、スライムまで馬を操っています。こんなの初めて見ました」
「まあ、ケン君だからな。それに、クリスも周りの気配を察知するのが上手い。何よりも、みんな優しい心を持っている」
ルーカス様曰く、馬と心を通わせるのが大切だと言った。
確かに、こうして馬に乗るとその言葉の意味がよく分かった。
こうして、無事に初めての乗馬訓練は終了したのだった。
「色々と教えてくれて、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
僕とクリスちゃんは、教えてくれた担当の兵に深々と頭を下げた。
スラちゃんたちも、僕の腕の中でペコリとしているね。
「私も、勉強になった。また、次の訓練の時に会おう」
「ヒヒーン」
担当の兵だけでなく、馬も僕たちに挨拶をしてくれた。
屋敷に戻ったら、合間をみて乗馬訓練をしようと思った。
「この調子なら、二人とも直ぐに馬を乗りこなせるだろう。だが、今日教わったことを忘れないようにするのだよ」
「「はい!」」
馬も、とても大切なパートナーだ。
ルーカス様の言う通り、今日教わったことは忘れないようにしないと。
とても良い経験だったし、もっと上手に馬に乗れるようになりたいと思ったのだった。
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