第四十六話 慰労会会場へ
昼食後も、僕は王太后様と王妃様と共に要人との面会に同行していた。
流石に夕方前になると疲れてしまったが、今日はここからが本番だ。
慰労会の準備が整ったそうなので、少し早めに移動することにした。
なお、王太后様と王妃様は王家として動くため、シーリアさんとメアリーさんが一緒についてくれることになった。
「うわあ、とっても広いです!」
「ふふ、ケン君も年相応の反応をするのね」
「そうですわね。とても可愛いですわ」
場所は王城の中にある大広間で、ダンス会場にもなるらしい。
あまりの広さに、シーリアさんとメアリーさんの反応も忘れてるほど驚いた。
今日は兵も多く参加するらしく、きっと知り合いの人もいるかなと思っていた。
すると、会場で最初に会った知り合いはこの人でした。
「シンシアお姉様、こんにちは」
「あっ、ケンはもう来ていたのね……って、ええ!?」
シンシアお姉様は、僕の隣にいるシーリアさんとメアリーさんを見るなりかなり驚いてしまった。
王太子様と第二王子様の婚約者だから、シンシアお姉様もよく知っていたみたいだ。
「僕のお母様の実家である、ノーム準男爵家のシンシアお姉様です。僕の母親の妹になります」
「ははは、はじめまして! ノーム準男爵家のシンシアと申します。まだケンと知り合ったばっかりですが、宜しくお願いします」
僕がシーリアさんとメアリーさんにシンシアお姉様を紹介すると、シンシアお姉様はペコペコと何回も頭を下げた。
しかし、シーリアさんとメアリーさんは別のところに注目していた。
「シンシアさん、ケン君から『お姉様』と呼ばれるなんてズルいですよ!」
「そうですわ! こんな可愛いケン君から、『お姉様』とよばれるなんて。私も呼ばれてみたいです!」
「は、はい?」
う、うーん。
なんというか、凄く残念な戦いが繰り広げられていますね……
僕としては血縁関係者以外で姉と呼ぶのは少し恥ずかしいし、それ以前にシーリアさんとメアリーさんは凄い貴族のお嬢様だ。
本当は、「様」を付けて呼ばないといけないんだよなあ。
この間に、僕も知っている人たちが大広間にやってきた。
「ケン君、こんにちは。今日はカッコいい衣装だね」
「お貴族様になったんだもんね。でも、とても似合っているよ」
姿を現したのは、国境の前線基地で一緒だったセレナさんとユリアさんだった。
兵の制服を着ていてたが、今日参加する兵はみんな軍の制服を着ているらしい。
すると、セレナさんとユリアさんはシーリアさんにある質問をしてきた。
「シーリアさん、こちらの方はどなたですか?」
「メアリー様はよく知っているのですが、ケン君と同じ髪の色をしています」
おお、メアリー様は本当に良く知られているんだ。
あと、気になっているのは恐らくシンシアお姉様だね。
「ケン君の母方である、ノーム準男爵家のシンシアさんよ。だから、髪色がケン君と一緒なのよ」
「「なるほど……」」
どうやら、セレナさんとユリアさんはシーリアさんの説明に直ぐに納得してくれた。
すると、今度はシンシアお姉様とメアリーさんが僕に質問してきた。
「ねえねえ、この人たちは誰かな?」
「見た感じ、軍人のようですわね」
どうやら、シンシアお姉様とメアリーさんは、僕が女性と話をしているのが気になったみたいだ。
別に、何も隠す必要もないしね。
「セレナさんとユリアさんで、軍の魔法兵です。国境の前線基地で、とてもお世話になりました」
「まあ、ケンがお世話になった人なのね」
「ご挨拶しないといけないですわ」
セレナさんとユリアさんは、最初はシンシアお姉様とメアリーさんの挨拶に驚いていた。
だが、そのうち僕の話題で盛り上がっていき、前線基地ではこうして過ごしていたと話に花が咲いていた。
うん、五人は完全に意気投合しているね。
「よお、ケンじゃねーか。うん? こりゃどうした?」
「お偉いところのご令嬢と、セレナとユリアじゃねーか」
国境で一緒だった兵もやってきたが、どうやら中々レアな組み合わせにビックリしていた。
うーん、どうやって説明すればいいのだろうか。
でも、放置されている僕とスラちゃんにとっては、知り合いが来てくれてとても助かった。
というのも、さっきから僕にいやらしい視線を向けている貴族がいたのだ。
まるで、僕を値踏みするようなそんな視線だった。
「ふむ、あれは貴族主義の連中だな。贅沢派とまでとはいかないが、自分の権利ばかり主張する厄介な連中だ。恐らく、何とかケン君を取り込もうと何か企んでいるのだろう」
「「「「「ヘルナンデス様!」」」」」
僕の背後から声をかけてきたヘルナンデス様に、この場にいた多くの人が驚いていた。
というか、ヘルナンデス様はわざと大声で話していませんか?
そのお陰か、僕に嫌な視線を向けていた貴族はそそくさと別の場所に移動した。
「金の臭いがするところにたかるのが得意なのが、まさにあの連中だ。今日は仕方なく呼んでいるが、何かトラブルを起こしたら直ぐに出禁になるレベルだ」
なんというか、本当に面倒くさい連中なんだ。
そんな連中以上に、父親のいる贅沢派は酷いらしい。
ともあれ、近づかないことが大切だ。
「ほら、そろそろ始まるからお前らもそれぞれの場所に移動しろ。ケン君は、私が預かる」
「えっ?」
そう言うと、ヘルナンデス様は僕の手を取ってずんずんと前の方に歩き始めた。
あの、そっちって大広間に設けられている王家の座る場所じゃないかな。
シーリアさんとメアリーさんと共に、シンシアお姉様も一緒についてきた。
すると、エレンお祖父様とフリージアお祖母様が待っていたのだ。
「ケン君、やっと来たか。主役は一番前にいないとな」
「そうですわね。それにしても、多くの兵と親交を深めていたのね」
どうやら、僕の祖父母は最初から僕が一番前に来るのを知っていたみたいだ。
来賓から物凄い注目を集めていたが、逆に偉い人たちの側なので安全なのかもしれない。
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