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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第四十三話 母の墓へ墓参り

「ふふふ、とてもいいものが見られたわ。王城に戻ったら、みんなに伝えないといけないわ」

「ええ、本当ですわね。とても素晴らしい光景でしたわ。まるで、イリスさんがそこにいるかのようでしたわ」


 王太后様と王妃様は、公務の都合でこれで帰るという。

 僕たちは大教会の入り口に移動し、物凄くニコニコしている二人を見送った。


「さて、イリスさんの墓参りに行く前に少し話をしよう。ついてくると良い」


 そして、サイオン枢機卿様は、僕、フリージアお祖母様、シンシアお姉様を大教会の応接室に案内してくれた。

 間違いなく、顔面蒼白だったシスターたちの件も絡んでいるはずだ。

 因みに、その顔面蒼白だったシスターたちはいつの間にか姿を消していた。


「あのシスターたちは、教会内の鼻つまみ者だ。仕事も不真面目で、いい歳なのに結婚もせず助司祭にもなれない。そうそう、贅沢派貴族の子女といえば分かるじゃろう」


 応接室で話を始めるなり、サイオン枢機卿様はシスターたちをバッサリと切り捨てた。

 例えがとても分かりやすく、僕とスラちゃんも直ぐにどんな人なのかイメージできた。


「あの者共は、真面目に奉仕活動をして人気のあったイリスさんを目の敵にしていた。ことがある度に、イリスさんを邪魔していたのだよ。注意しても全く気にせず、寧ろイリスさんを追い出そうとしていたくらいだ。ギャイン騎士爵と裏でやり取りをしていたという噂もあったほどだ」


 教会としても、とても面倒くさいシスターだったんだ。

 うーん、人としてどうかと思うが父親と似た人種だと言われると妙に納得してしまった。


「本日王太后様と王妃様が来られることは事前に聖職者に通知しており、あのシスターは出迎えから外しておいた。なのに、媚びを売ろうとして王太后様と王妃様に近づこうとした。そうしたら、自分たちが邪険にしていたイリスさんの息子で大手柄を挙げて貴族になったケン君が現れたというのだよ。ケン君が素早く母子を治療したのがトドメになったな」


 サイオン枢機卿様は、ズバッと言っちゃうんだ。

 フリージアお祖母様とシンシアお姉様が祈りを捧げていた時に姿を現さなかったのは、母親の関係者だと分かっていたからだという。


「イリスさんのような、真摯に民に向き合い奉仕する素晴らしい人は中々現れない。だが、ケン君はとても厳しい環境下で育ったのに真っ直ぐ育っている。イリスさんの記憶が無くとも、間違いなくイリスさんの血を受け継いでいると確信した」


 サイオン枢機卿様は、僕に優しい表情で話しかけた。

 それは、どこか昔を懐かしむかのようだった。

 フリージアお祖母様も、サイオン枢機卿様と同じく昔を思い出していたみたいだ。


「私も数回しか会ったことはないけど、お姉様はとても優しい方だったわ。周りの人からもとても尊敬されていたけど、いつも自然体だったのよ」


 シンシアお姉様も、母親の思い出をニコリと微笑みながら話してくれた。

 どこに行っても、母親を悪く言う人はいない。

 優しいからこそ、母親は家族の為にギャイン騎士爵家に嫁いだのだろう。


「話はここまでにしよう。そうそう、今度王太后様経由でケン君に治療施設に入院しているものへの治療を依頼する予定じゃ」


 治療の依頼なら、僕は頑張ってやらないと。

 やる気満々の僕とスラちゃんを、他の人たちが温かい目で見ていたのでした。


「さあ、ここよ」


 サイオン枢機卿と別れた僕たちは、フリージアお祖母様に連れられて大教会裏手にある墓地に向かった。

 その一角に、僕の母親の墓があった。

 僕たちは事前に花を用意していたので、墓に供えて祈りを捧げた。


「イリス、貴方の大切な息子が会いに来てくれたわ。こんなにも大きくなって、イリスもきっと喜ぶはずよ」


 フリージアお祖母様は、墓に手を当てながら嬉しそうに語りかけていた。

 僕も、墓に手を当てて目をつぶった。

 もし母親が生きていて大きくなった僕に会ったら、どんな表情をするのかな。

 スラちゃんも、僕の隣でお祈りをしていた。

 こうして、暫くの間穏やかな時間が流れたのだった。


「ケン君、今度は慰労会で会いましょうね」

「私も行くことになったのよ。とっても楽しみだわ」


 大教会の馬車乗り場で、フリージアお祖母様とシンシアお姉様と別れた。

 今日は、また僕の母親の一面を知れて本当に良かったと思った。

 二人に手を振りながら、僕とスラちゃんも馬車に乗った。

 今日は一日ゆっくりしてねと王太后様からも言われていたので、魔法の訓練を軽くして本を読もう。

 スラちゃんは、庭の池にいるスライムに魔法をもっと教えると張り切っていたのだった。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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